投資信託って何? FPがわかりやすく解説
ファイナンシャルフィールド / 2020年3月23日 9時30分
資産運用において、投資信託は今や欠くべからざる手段です。今話題のつみたてNISAやiDeCoの投資手段も投資信託です。では、私たち投資者にとって投資信託とはどんなものでしょうか? この記事でそれを説明してみたいと思います。
株式投資と投資信託
投資信託の説明の前に、まずは株式投資について改めて考えてみましょう。
市場に上場されている株式を購入してキャピタル・ゲイン(売買差益)やインカム・ゲイン(保有中の利益)を狙うのが株式投資です。ところが株式投資には、市場に上場されている無数の会社の株式の中から、自ら選んだ1社に対して投資せざるを得ないという制約があります。
1社ではなくそれを複数にしたところで、1社の複合体にすぎません。その会社の業績が上がれば株価は上昇する可能性がありますが、不況や経営の失敗によって業績が落ちれば株価は下落する可能性があり、倒産すれば株式は紙くずになります。
1社に集中して投資をすることはリスク分散ができなくなることを意味しますが、そのリスクの分散を可能にするのが投資信託です。
リスク分散の手段としての投資信託
投資信託のメリットは、アメリカのハイテク製品を扱っている会社数十社に投資をする、世界の資源関連の仕事を行っている十数社に投資をする、日経平均に連動するインデックス投信に投資をするといった、集合体にまとめて投資をすることができることにあります。
すなわち、銘柄を多数組み込むことで株式投資ではできない、一定の産業に投資をする、一定に国のインデックスに投資をする、または全世界の株式インデックスに投資をするといった銘柄間のリスク分散が可能になるのです。
その点をとらえれば、投資信託は資産運用における便利で画期的な投資手段であることは間違いありません。ただ、その便利さとは裏腹に、コストがかかることを忘れてはいけません。
投資信託のメカニズムとコスト
便利な投資信託を運用するためには、いろいろな関係先がそれぞれの仕事をする必要あります。投資信託に関係する会社は次の通りです。
委託会社―投資信託財産の運用指図を行う。
受託会社―委託会社からの指図に基づいて有価証券を売買するとともにその保管を行う。
販売会社―投資信託の募集・売買、分配金・償還金の受益者への支払いを行う。
これらの関係先が分担して、資産運用をしているのが投資信託です。関係先が多いことから、その分のコストはかなりかかりますし、それは投資の成果である運用益から差し引かれます。投資信託の基準価額とは、これらの関係先の費用を差し引いた後の数字を示しています。
これらの関係先の費用は投資期間全体にわたり、毎年いくらという形でかかってきます。それを信託報酬手数料といい、その金額やパーセンテージは投資信託の目論見書に記載されています。また信託報酬手数料以外にも、株式の保険費用やファンドの監査費用もかかります。
これらをすべて引いた結果が基準価額でその上がり下がりの状況がチャートに表示されているのです。それでも上がっているうちはよいのですが、いつもそうとは限りません。チャートをいくつか見るとなぜこの投資信託はこんなに上がらないのと疑問に思うものもあります。
投資信託は信託報酬手数料に注意
信託報酬手数料は一般に年率0.2%から2%くらいのものが主流となっています。そしてインデックス・ファンドでは安く、いろいろと工夫を凝らして特定の分野に特化しているものや、保有している投資信託を売却し別のファンドに乗り換えるスイッチングをやるファンドは手数料が高くなっています。
注意すべきは、信託報酬手数料は年率であるということです。いったん落ちて上がるのを待つと、信託報酬2%のファンドの場合、10年で20%の信託報酬手数料が引かれます。
20%も引かれたら、信託報酬引き去り前の価格は当初の価格に戻っても、信託報酬引き去り後の価格はいつまでたっても戻らないということが起こってしまいます。なお、この他にも購入時手数料や投資信託解約時に発生する信託財産留保額などがかかります。
まとめ
投資信託は便利な投資手段ですが、そのコストを忘れてはなりません。信託報酬手数料が0.5%以下のファンドに投資するのが、投資信託のメリットを生かす方法だということを忘れないでください。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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