子どもの大学の学費、どうやって準備すればいいの?
ファイナンシャルフィールド / 2020年5月10日 3時0分
文部科学省の調査(※1)によると、大学の学費(入学金、授業料、施設利用料など)の合計額は、私立で約459万円、国立で約243万円(2018年度)となっています。 大学の学費を準備する場合は以下の順に考えましょう。 ・自己資金で貯める ・奨学金を利用する ・教育ローンを利用する 自己資金を貯める場合は、毎月口座から自動的に引き落とせる「天引き」の仕組みを利用するのがおすすめです。 子どもが生まれたら、天引きによる教育資金の貯蓄を始めましょう。 現在は「児童手当」の制度(※2)や、2019年10月から始まった「幼児教育の無償化」の制度(※3)があります。これらの制度によって得られる金額相当分は貯蓄できるとよいでしょう。 ここでは上記の3つの方法について解説しますが、まず自己資金を貯めるための天引きの仕組みとして、学資保険とつみたてNISAをご紹介します。
学資保険はこんな人におすすめ
学資保険とは保障を得ながら教育資金を積み立てるタイプの保険です。そのメリットとデメリットは以下の通りです。
〈メリット〉
口座から天引きで積み立てできる。
保護者に万が一のときにも学費は確保できる。
〈デメリット〉
低金利のため運用効果は乏しい。
中途解約すると元本割れする可能性がある。
返戻金の合計額が、払込金額の合計額を下回る商品もある。
以上のようなメリット・デメリットをふまえ、学資保険は以下のような方におすすめです。
・教育資金を貯めながら保険機能も付けたい方
・自動的・強制的に天引きしないと貯蓄ができない方
・価格変動リスクを取りたくない方
つみたてNISAとは?
つみたてNISAとは、毎年上限40万円まで譲渡益を20年間非課税で運用することができる制度です(※4)。投資信託の運用なのでリスクはありますが、リターンも期待できます。
つみたてNISAのメリットとデメリットは以下の通りです。
〈メリット〉
高いリターンが得られる場合がある。
解約すればすぐに資金化できる。
〈デメリット〉
元本割れの可能性がある。
銘柄を自分で選ぶ必要がある。
自己資金の貯め方として、学資保険とつみたてNISAについてご紹介しました。次に、大学の学費をまかなうための奨学金について解説します。
奨学金の種類と特長
大学生を対象とした奨学金といえば、日本学生支援機構の奨学金が一般的です(※5)。この制度には以下の通り「貸与型」と「給付型」の2種類があります。
借り入れにあたる貸与型奨学金には、第一種(無利子)と第二種(有利子)の2つのタイプがあります。貸与型奨学金のメリット・デメリットは以下の通りです。
〈メリット〉
第一種は無利子、第二種は利息あり(上限年3%)。
返還の開始は卒業してからでよい。
〈デメリット〉
入学後に貸与されるため、入学金や前期の授業料払い込みには間に合わない。
学力基準と家計基準がある。
(2)給付型奨学金
給付型では原則、返還の義務はありません。
しかし、貸与型と同様、入学前には給付されないため、入学金や前期の授業料の払い込みには間に合いません。
また、給付型奨学金は住民税が非課税、もしくはそれに準ずる世帯が対象となります。
これら日本学生支援機構による制度のほかに、自治体や大学が独自に行っている奨学金制度もあります。それぞれの機関で利用条件などを調べて検討してみましょう。
授業料などが減免される新制度
2020年4月から国による「高等教育の修学支援新制度」がスタートします(※6)。
これは、住民税の非課税世帯の学生とそれに準ずる世帯の学生を対象として、授業料と入学金の免除または減額が受けられる制度です。
住民税非課税世帯の学生は満額、それに準ずる世帯の学生は満額の3分の2または3分の1の支援額を受けることができます。
教育ローンを利用するには
教育ローンには主に、日本政策金融公庫が行う教育一般貸付(※7)と民間の金融機関による教育ローンがあります。まず日本政策金融公庫の教育一般貸付を検討し、それが難しい場合は民間の金融機関の教育ローンを検討しましょう。
教育ローンのメリットとデメリットは以下の通りです。
〈メリット〉
受験前にも申し込みができる。
早ければ申し込みから20日程度で借り入れができる。
各種奨学金と併用できる。
〈デメリット〉
金利は奨学金制度と比較して高い。
世帯年収の上限が定められている。
審査によっては借りられないこともある。
教育資金の贈与も一手
教育資金の手段の一つに祖父母からの贈与があります。
教育資金の一括贈与時の非課税制度を活用することで、1500万円まで非課税で贈与を受けることができます。
ただし、これは2021年3月までの期限付き制度で、活用にも条件や段取りが必要であるため、国税庁のウェブサイトなどで確認しましょう(※8)。
まとめ
子どもの教育資金、特に大学の学費はできるだけ早く準備を始めることが大切です。
自己資金だけでは不足する場合には、さまざまな制度の利用を確認することで、お子さまの進学を経済的な理由で断念することのないようにしたいものです。
[出典]
※1 文部科学省「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
※2 内閣府「児童手当Q&A」
※3 内閣府「幼児教育・保育の無償化はじまります。」
※4 金融庁「つみたてNISA」
※5 独立行政法人日本学生支援機構「奨学金」
※6 文部科学省「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」
※7 日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)」
※8 国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」
ろうきん「その他 ろうきんの生活応援融資制度」
社会福祉法人全国社会福祉協議会「生活福祉資金」
執筆者:遠藤功二
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