コロナ離婚が急増化!?コロナ離婚を考える前に確認しておきたいポイント
ファイナンシャルフィールド / 2020年6月8日 10時15分
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で、外出自粛により自宅で過ごす時間が多くなっています。そのため、家庭内での人間関係がこれまで以上に密になり、これまで気づかなかった部分が気になったり、お互いにイライラが募りけんかになってしまったりすることもあるかもしれません。 けんかの度合いが進むと、こんな人とは思わなかった、こんなはずではなかった、などと思い詰めて、「離婚」の二文字が頭をよぎる人もいるかもしれません。 深く考えた末の結論であれば、離婚も1つの選択肢ですが、コロナをきっかけにふと頭をよぎっただけの人は、離婚をすると経済的にどうなる可能性があるのか、一度冷静に考えてみる機会にするとよいかもしれません。
離婚に伴いもらえるもの
<財産分与>
結婚期間中に共有で築いた財産について、分けることをいいます。その財産の中には、以下のものが含まれます。
・現金
・不動産
・有価証券
・家具・家電
どちらかが専業主婦(夫)であっても、基本的には2分の1の割合で分割されるようです。結婚期間中の借金(ギャンブルなどを除く)や住宅ローンなどの、マイナスの財産についても同率の割合で分割される可能性が高いです。
<慰謝料>
離婚の理由が性格の不一致などでは、慰謝料は該当しません。配偶者のDVや浮気などがあれば、慰謝料を請求することもできるでしょう。個々のケースによりますが、慰謝料は50万~300万円くらいが多いようです。
年金や退職金も分割できる
<年金分割>
厚生年金や共済年金を分割する制度です。配偶者が会社員や公務員の場合に適用になり、自営業の人には適用になりません。国民年金は分割の対象外ですので注意が必要です。
分割制度は2種類あります。
■合意分割
分割の対象:婚姻期間に夫婦双方が支払った厚生年金・共済年金保険料の納付記録を合算したもの
分割の割合:最大で2分の1
■3号分割(会社員や公務員の扶養に入っている専業主婦(夫))
分割の対象:平成20年4月以降に相手が支払った厚生年金保険料の納付記録
分割割合:2分の1
会社員や公務員の扶養に入っている専業主婦(夫)は、婚姻期間が平成20年4月以降のものについては、例外なく配偶者の厚生年金記録の2分の1を分割できますが、それ以前のものについては、合意して分割しなければなりません。
共働きの場合は、合意分割制度を利用することになります。所得が多い人は少ない人よりも年金保険料を多く支払っているので、支払い保険料の実績も多くなります。所得が多い人から少ない人への分割が一般的です。
つまり、いずれの場合も、相手が自分より多く保険料を払っている場合には、自分にメリットがあるということです。
<退職金>
■今後支払われる場合
若年離婚などで、あまりに遠い将来の場合は未確定の要素が多いため、現在退職が決まっているなどの場合を除き、分割が認められないことが多いようです。
近い将来に受け取る場合は、「今退職したらいくらになるか」を基礎に「同居中の労働期間」を勘案した上で、分割割合を決めて算定します。
■すでに支払われている場合
残っている金額があれば、それを分割割合に応じて算出します。
子どもの親権や養育費は?
■子どもの親権
子どもが幼い場合には、母親が親権を取ることが多いようですが、裁判所は下記事情を考慮するといわれています。
・子どもへの愛情
・肉体的・精神的健康
・子どもの年齢
・子どもの意思
・子育てに割ける時間
・経済的余裕
・養育環境の安定性
■子どもの養育費
主に下記のものが子どもの養育費に含まれます。
・衣食住の費用
・離婚時から基本的に20歳までの公立学校等の教育費・教材費・クラブ活動費
・医療費
・その他、子どもが自立した社会人として成長するために必要な費用
教育費には、私立学校や塾、習い事などは含まれていません。基本的に20歳までとなっていますが、両親の学歴に照らして、大学卒業までとする場合もあるようです。ただし、相手の収入が低く、現実的に養育費を支払えない場合もありますので、必ずもらえると保証されているものではないことに注意が必要です。
養育費の金額は、両親の年収金額などにより自由に決めることができます。相場は、裁判所の作成した養育費算定表(下記)を参考にできます。
損得勘定はいかに?
相手が安定した職業について多収入で、借金を差し引いても結婚期間中に築いた共有財産が多い場合は、一定の財産分与が見込めます。
また、相手が引き続き安定した高収入を得られれば、自分が子どもの親権者になっても、養育費を欠かさず送金してくれる可能性が高く、離婚後の経済的不安は少なくなります。
一方で、自分のほうが相手より収入が高く、親権者にならない場合などは、養育費を払う立場になり、さらに年金も分割される可能性があります。損得勘定だけで離婚を決断することは少ないですが、真剣に悩む際にはこうした事情も勘案してみるのもよいでしょう。
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
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