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ついに始まった中小企業の残業規制。内容を詳しく解説!

ファイナンシャルフィールド / 2020年6月18日 23時20分

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働き方改革の真っ最中ですが、ついに中小企業でも残業(時間外労働)の上限規制が始まりました。効率的に仕事をこなしてアフターファイブを楽しみましょう。

労働時間とは

労働基準法第32条で、労働時間は原則として、1日8時間・1週40時間以内とされています。これを「法定労働時間」といいます。また、休日は原則として、毎週少なくとも1回必要です。これを「法定休日」といいます。
 
会社が、法定労働時間を超えて労働者に時間外労働をさせる場合や、法定休日に労働させる場合には、労働基準法第36条に基づく労使協定(これを36(サブロク)協定といいます)を所轄の労働基準監督署長への届ける必要があります。

残業(時間外労働)の上限規制の内容とは

信じられないことに、今までの残業上限は罰則による強制力がなく、また特別条項を設けることで上限なく残業を行わせることが可能になっていました。
 
今回の労働基準法の改正によって、やっと罰則付きの上限が法律に規定され、さらに臨時的な特別な事情がある場合にも、上回ることのできない残業の上限が設けられたのです。
 
今回の改正によって、法律上、残業の上限は原則として月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができなくなります。 臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項といいます)でも、以下の4つを守らなければなりません。
 
(1)残業(時間外労働)が年に720時間以内
(2)残業と休日労働の合計が1月に100時間未満
(3)残業と休日労働の合計について、「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平均」「5ヶ月平均」「6ヶ月平均」がすべて1月当たり80時間以内
(4)時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6ヶ月が限度

 
上記に違反した場合には、会社に対して、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。1月平均80時間の残業とは、1月に20日間働くとして1日当たり平均4時間です。終業時刻が午後5時なら9時まで残業を毎日する状態です。

実施時期

労働基準法改正の施行に当たっては経過措置があって、中小企業では2020年4月1日以後の期間を定めた36協定に対して上限規制が適用されます。
 
ということは2020年3月31日を含む期間について定めた36協定については、その協定の初日から1年間は引き続き有効となり、上限規制は適用されないことになります。

適用が猶予・除外される事業・業務

以下の事業・業務については、上限規制の適用が2024年3月31日まで猶予されます。
 
・建設事業
・自動車運転の業務
・医師
・鹿児島県および沖縄県における砂糖製造業

 
ここで注意することは、建設事業は事業全体が対象ですので、建設会社で事務をする従業員も含みます。ただし、自動車運転の業務は運転手だけが対象ですので、運送会社の運転手以外の方は除外されません。
 
また、医師は当然医師だけで、病院やクリニックにおける医師以外の方は除外されません。

労働時間と過労死の関係

残業が多くなると病気になる傾向にありますで、注意しなければいけません。
 
「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」(平成13年12月12日付け基発第1063号厚生労働省労働基準局長通達)によると、
・1週間当たり40時間を超える労働時間が月45時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まるとされていること
・1週間当たり40時間を超える労働時間が月100時間、または2~6ヶ月平均で80時間を超える場合には、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いとされていること
 
以上のことに留意しなければなりません。

どう対応すれば良い?

会社は、限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保するために、次のようなことをすることが望ましいとされています。
 
(1)医師による面接指導
(2)深夜業(22時~翌5時)の回数制限
(3)終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)
(4)代償休日・特別な休暇の付与
(5)健康診断
(6)連続休暇の取得
(7)心とからだの相談窓口の設置
(8)配置転換
(9)産業医等による助言・指導や保健指導

 
会社としては、今まだ残業でカバーしていた仕事を残業なし(または残業減少)で行わなければならないので、労働生産性を上げる必要があります。しかし、従業員の中には、残業が減少すると給料も減ってしまうので嫌だと思う方もいらっしゃるかもしれません。
 
例えば、従業員の方が効率良く仕事を行うことで労働生産性が上がれば、給料・ボーナスが増えるといった仕組みをつくることが、会社として求められていることではないでしょうか。
 
実際にそのような制度をつくり、業績を伸ばしている会社があります。皆さんも会社に提案してみてはいかがでしょうか。
 
(参考)厚生労働省「時間外労働の上限規制が 大企業:2019年4月から 中小企業:2020年4月から 導入されます」
 
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント

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