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似ているようでまったく違う「持続化給付金」と「持続化補助金」。何のための制度?

ファイナンシャルフィールド / 2020年6月27日 10時0分

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新型コロナウイルス感染症拡大を受け、国は中小企業に対する緊急経済対策として「持続化給付金」という制度を新設しました。   持続化給付金は、新型コロナウイルス感染症拡大で売り上げが50%以上減った場合に、中小企業で上限200万円まで、個人事業主で上限100万円までが給付されるというものです。   一方、これと似た言葉ですが、混同しない方がいいのが「持続化補助金」という制度です。   持続化補助金は、そもそも、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い新設された制度ではなく、もともと、アベノミクスがスタートした後、中小企業や個人事業主の生産性を向上させることを目的に、原則単年度ごとに設けられている制度です。   FP事務所を経営しながら地元商工会の理事を兼務していますが、混同されているケースが散見されるため、「持続化給付金」と「持続化補助金」の違いについて簡単に確認していきたいと思います。  

持続化給付金と持続化補助金の違い

持続化給付金については、さまざまな報道や案内を通じて、ある程度すでに周知されていると思います。
 
簡単に整理すると、対象となる月の売上高が前の年の同じ月と比べ50%以上減ってしまった中小企業や個人事業主に対し、中小企業の場合、上限200万円まで、個人事業主の場合、上限100万円までが給付されるというものです。
 
したがって、持続化給付金の目的は、経営状況が悪化した事業者に対する救済といえます。
 
一方、持続化補助金は、中小企業や個人事業主の行う販路拡大や売上向上に向けた取り組みを支援することが目的のため、持続化給付金とはそもそも趣旨が異なります。
 
持続化給付金では、売り上げが大幅に減った企業を救済すること、持続化補助金では、売り上げを増やすための企業の取り組みをバックアップすることが目的であるため、このような違いを理解しておくと無用な言葉の混乱を避けられると思います。
 

持続化補助金の概要

それでは、持続化補助金について、概要を見ていきましょう。
 
考え方はそんなに難しくありません。要は、会社の売り上げを伸ばすために国がサポートしてくれるという内容です。(※1)
 
例えば、「ブランド力を高めたい」、「商品を宣伝したい」、「HPを開設したい」と考えている事業者が、「オリジナルの商品を開発しました」、「顧客向けにチラシを作りました」、「お店のホームページを作りました」などの取り組みを行った場合、持続化補助金を活用すると、それらにかかった費用の一部が補助されるという内容です。
 
補助金の額は、原則、上限50万円となっています。補助率が3分の2であるため、例えば、チラシを作成するのに75万円かかった場合、最大でその3分の2の金額、つまり、50万円が補助されます。結構シンプルな内容ですよね。
 

持続化補助金「コロナ特別対応型」の事例

通常の持続化補助金を「一般型」と呼びますが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い「コロナ特別対応型」という新たな制度が設けられました。
 
活用例としては、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受ける中でも営業を継続するため、店内飲食のみであった洋食屋が、出前注文を受け付けるためのwebサイトを作成し、来店しない顧客への販売を開始した」場合などがあります。
 
コロナ特別対応型では、補助金の額が上限100万円に引き上げられています。洋食屋さんの例で考えると、webサイトを作成するのに150万円かかった場合、補助率が3分の2なので実質50万円で作ることができたことになります。
 
ただし、注意点としては、補助対象経費の6分の1以上が、「サプライチェーンの毀損(きそん)への対応」、「非対面型ビジネスモデルへの転換」、「テレワーク環境の整備」のうち、いずれかの要件に合致することが必要です。
 
先ほどの活用例で見ると、「来店しない顧客への販売を開始」となっているため、この場合、「非対面型ビジネスモデルへの転換」が該当します。具体的には「webサイトで出前注文を受け付ける」といった取り組みですね。
 

補助の対象になる経費

それでは、何が補助の対象になるのでしょうか。
 
簡単にいうと、持続化補助金の対象は「販路開拓や売上向上の取組」に使った経費の一部です。実に詳細なルールが規定されていますが、原則、次の3つの条件を全て満たすものとなっています。
 
(1)使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
(2)交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費
(3)証拠資料等によって支払金額が確認できる経費
 
持続化補助金は、つまるところ、税金で賄われている事業であるため、適用を受けるには、使った経費が制度の趣旨と合っているか精査されます。
 
そのため、いくつかの書類の作成が必要なのは当然ですが、同時に証拠資料などの添付が求められます。具体的には、認められる経費は次のとおりです。 
(1)機械装置等費
(2)広報費
(3)展示会等出展費
(4)旅費
(5)開発費
(6)資料等購入費
(7)雑役務費
(8)借料
(9)専門家謝金
(10)専門家旅費
(11)設備処分費
(12)委託費
(13)外注費
 
これらの費目の詳細については、「令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般形>【公募要領】」にてご確認ください。(※2)
 
見ていただければ分かりますが、大変細かい条件がそれぞれの費目について、際限なく列挙されています。
 
一般的に持続化補助金は、事業所のある地域の商工会議所や商工会を窓口として相談・申請を行います。
 
このため、商工会議所や商工会の会員になっている事業者にとっては、もともと馴染みのある制度といえますが、会員になっていない事業者にとってはとっつきにくいものかもしれません。
 
そのような場合、地域の商工会議所や商工会で相談に乗ってもらえますので、関心がある方は一度相談してみるといいでしょう。
 

まとめ

持続化補助金は、正式には「小規模事業者持続化補助金」といいます。
 
小規模事業者とありますが、中小企業のうち、比較的小さめの零細企業や個人事業主の販路拡大・売上向上を支援することが目的です。
 
対象企業の定義も先ほどの公募要領で示されていますが、端的にいうと、地域で頑張っている小さなお店を国が積極的にバックアップし、デフレ脱却を果たそうという目標のもと生まれた制度です。
 
今年度の「一般型」の公募開始は2020年3月10日ですが、申請の受付は2020年3月13日から始まっています。年度内で4回受付の締め切りが予定されていますが、取りあえず最終の締め切りは2021年2月5日となっています。
 
ちなみにコロナ特別対応型については、第一回締め切りは過ぎていますが、今後複数回の締め切りが設定されるようです。(※3)
 
地域経済のエンジンをふかすのが持続化補助金の活用目的なので、販路拡大・売上向上という基本的な目的は変わりませんが、地域経済が抱える社会的な問題を解決する側面もこの制度にはあり、このため、毎年度少しずつテーマが違っています。
 
今回のテーマには、「働き方改革」や「被用者保険の適用拡大」、「賃上げ」、「インボイス導入」などで影響を受ける事業者に対する支援という意味も含まれています。
 
地域経済の活性化が叫ばれる中、持続化補助金は生まれました。
 
また、一億総活躍社会という国のスローガンにも連動しているため、今後、この国がどのような制度設計を行うかによっても変わってくるでしょう。
 
事業者の中には、国の政策なんて自分の商売に関係ないと思う方もいるかもしれません。
 
しかし、実際は政府によるきめ細かいサポートが行われており、特に働き方改革などの環境変化をきっかけに、これから週末起業をしよう、一念発起して新しく会社を立ち上げようと思っている方にとっては、このような制度は有益なものといえるのではないでしょうか。
 
※この記事は令和元年5月18日までの情報をもとに執筆しています。

参考
※1 中小機構「持続化補助金チラシ」
※2 令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般形>【公募要領】
※3 令和2年度補正予算 小規模事業者持続化補助金 <コロナ特別対応型>
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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