民法改正によって変わった敷金のルール。原状回復義務の範囲って?

ファイナンシャルフィールド / 2020年7月8日 9時10分

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賃貸アパートや賃貸マンションに入居するとき、通常、大家さんに敷金を支払いますが、そもそも敷金は何のための金銭でしょうか?また、部屋を退去するとき敷金を返してもらえるのでしょうか?   実はこれまで、民法には敷金についての基本的なルールが定められていませんでした。敷金に関する取引慣行や判例(裁判例)はあったものの一般の方にとって分かりづらかった敷金。この4月に新しい民法が施行され、敷金のルールが明確になりました。   そこで今回は、新しい敷金のルールについて解説します。

敷金? 保証金?

敷金という言葉は全国で使われているわけではなく、保証金、権利金など地域によってさまざまな呼び方があります。呼び名だけではなく、その内容についても法律による定めがありませんでした。
 
そこで改正民法では、敷金の性質を次のように定めました。
 

敷金
いかなる名目によるかを問わず、賃借人が賃貸人に交付する金銭(ただし、賃料債務などを担保する目的で交付)

 
つまり、敷金だろうが保証金だろうが、賃借人が賃料を支払わないときに賃料に充てるための金銭を敷金と呼ぶことにしたのです。

敷金はいつ返ってくるの?

上述の通り、入居者が賃料を払えないときの担保が敷金です。賃借人が賃料を滞納したら、大家さんは敷金を滞納賃料に充てることができます。
 
なお、賃借人のほうから「いま払えないから敷金を充当して」とはいえません。大家さんにとっても賃料は大事な収入源だからです。賃借人は、入居中に敷金を返してほしいと請求する権利もありません。
 
では、アパートやマンションを退去すると、敷金は返してもらえるのでしょうか? 賃料などの未払債務を控除した残額があれば、敷金を返してもらえます。
 
例えば、10万円の敷金を入居時に支払っていた人が、3万円の家賃を滞納して退去するケースでは、その他の債務がなければ、7万円を返してもらえます。
 
ただし、返してもらえるのは賃貸借契約が終了して、大家さんに部屋を明け渡したときです。契約は終了したにもかかわらず引っ越さずにいる場合は、敷金を返還してもらうことはできません。大家さんにしてみれば、敷金を返還してしまったら何ら担保がなくなってしまうからです。
 
これら敷金の返還範囲や返還時期については、実務上、いままでも判例を指針としていました。しかし、民法にはっきりした規定はなかったので、大家さんと賃借人でトラブルになるケースもあり、明文化されたのです。

その他の変更点その1 普通に暮らしていても多額の修繕費?

ほかにも、民法の賃貸借契約に関する規定が改正されています。例えば、原状回復義務についてのルールが民法に明記されました。
 
賃借人は賃貸借契約が終了したら、部屋を原状(借りたときの状態)に戻して返還する必要があります。自分で戻さず、大家さんに修繕などしてもらい修繕費を負担するケースも多いでしょう。
 
このとき、問題になるのが原状回復義務の範囲です。多額の修繕費を請求されてびっくりした方もいるのではないでしょうか。原状回復義務の範囲は、大家さんと入居者のトラブルのもととなっていました。
 
そこで、改正民法では以下の通り、規定したのです。
 

 賃借人の義務に当たらない例
  • 通常損耗(賃借物の通常の使用収益によって生じた損耗)や経年変化の場合
  • 家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
  • テレビ、冷蔵庫などの後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)

 

 賃借人の義務に当たる例 
  • 通常損耗・経年変化に当たらない場合
  • 引っ越し作業で生じたひっかきキズ
  • タバコのヤニ、臭い
  • 飼育ペットによる柱などのキズ・臭い

 
なお、民法改正前に締結された賃貸借契約は、改正前の民法の規定に従いますので注意が必要です。ただし、改正民法施行日後に更新がなされた賃貸借契約は、新民法の規定に従います。

まとめ

敷金など賃貸借契約のルールは、賃借人にとっても大家さんにとっても大切です。契約の際に不動産会社に質問するなど、日頃から知識を備えておきましょう。
 
出典:
法務省「賃貸借終了時のルールの明確化(1敷金)」
法務省「賃貸借契約に関するルールの見直し」
 
執筆者:石井美和

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