これからを生き抜くためのライフデザインを考える(3)人生100年時代の資産形成

ファイナンシャルフィールド / 2020年7月17日 8時10分

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人生100年時代といわれるようになり、定年が延長される企業なども増えています。   その一方で、年金の支給開始年齢は原則65歳まで引き上げられました。今現役で働いている人たちには定年までに行う資産形成とともに、少なくとも65歳、できればもっと長く働き収入を得続けるような人生設計も必要になってきています。   今回は、長い人生を生きるために必要な収入の確保と資産形成術について考えます。

超低金利の継続

まず、今の日本が置かれている経済環境を考えます。
 
日本銀行は、銀行間での超短期の貸し借りに対する金利を決めることができます。金利が下がると、銀行や企業などの資金調達を容易にし、経済を活性化することができると考えられています。
 
1999年、当時の速水日銀総裁が「短期金利はゼロ」でもよいと発言したことがゼロ金利政策の始まりです。当時はバブル崩壊後の悪化した景気の改善策としての一時的な措置と想定していました。
 
一時期解除されたこともありましたが再び発動。それ後も景気が大きく好転することはなく、金利も低水準のまま。日本は超低金利時代といわれるようになって、もう20年以上経過している状況です。
 
銀行の預金金利は市場金利によって決まり、市場金利は経済情勢や政策などの影響を受けます。
 
金融機関が企業や個人に融資をする財源は、基本的には預金で預かっている資金です。預金と融資の金利差が銀行の主な収益源です。最近は低金利でこの利幅も小さくなっているほか、資金需要が落ち込んでいることから、金融機関は手数料などによって収入を補完しています。
 
世の中の資金需要が旺盛で、金利を支払って借りてでも企業が設備投資したい、個人が物を買いたいという状況の下では金利が上がります。裏を返せば今は、借りたい人が少ない、資金需要が小さいという状況だといえます。
 
今後の長期での景気動向はわかりませんが、少なくとも数年の間は低金利の状況が継続するとみて間違いないでしょう。もっと長引く可能性も否定できません。
 
このような状況下では、銀行などでほとんど利息が付かない預貯金に資産を預けても、元本割れするリスクはありませんが増えることもありません。

日銀が目指すインフレ目標

一方、政府と日銀はインフレーション(インフレ)への誘導を目指しています。インフレとはモノの値段が上がっていく状況です。2013年に黒田総裁が着任し「2年程度で物価上昇率2%を目標とする」と話しましたが、達成には程遠い状況です。
 
モノの値段が少しずつ上がり、今年より来年のほうが値段が上がるとわかっていれば、今買ったほうが得だと考えるでしょう。緩やかなインフレは消費を促し、経済活性化につながります。
 
しかし、モノの値段が下がっていくデフレーション(デフレ)の状況下では、今どうしても必要でなければ来年以降にしようかと考えます。すると、消費が落ち込み経済は停滞します。
 
日銀は自ら発行した通貨で国債やETF(上場投資信託)などを購入し、資金を市中へ供給し続けています。世に出回るお金の量が増えても、それに見合ってモノの量が増えているわけではないので、お金の価値は徐々に薄まります。
 
お金の価値が薄まると、去年100円で買えていたものが100円では買えなくなるはず。結果としてインフレになる、という論理です。
 
しかし、実際には政府や日銀が思ったとおりにはなっていません。
 
1つの要因として、企業などが内部留保を厚くしていることがあげられます。財務省が2019年9月に発表した法人企業統計で、2018年度の内部留保(利益剰余金)が7年連続で過去最大を更新。前年比で3.7%増え、463兆1308億円に達しています。
 
また、個人の預金残高も増えています。株式や投資信託などを除いた現預金は10年前は800兆円程度だったのに対し、2019年度末には1008兆円に達しています。
 
企業や個人にため込まれて消費になかなかお金が回らないため、日銀が資金供給してもインフレに向かわないと考えられます。

資産形成・運用は必須に

低金利が継続する中では、預貯金ではほとんど資産は増えません。
 
今の状況ではインフレに向かうのがいつになるかはわかりませんが、政府・日銀が目指すインフレ目標に近づき、インフレ率が預金金利を上回れば、実質の資産価値は目減りしていきます。
 
資産形成のためには、当面の生活に必要な資金は預貯金とし、すぐに使わない資産を金融商品などで保有、運用することが必要です。
 
元本が保証されている預貯金と異なり、投資の場合には元本割れのリスクがあることも事実です。投資に慣れないうちは失敗することもあります。プロの投資家でも100戦100勝ではありません。
 
大事なのはいかに負けを小さくするか、ということです。そのためには経験も必要ですし、余裕資金を投資に回し、1つの銘柄だけではなく分散して投資することも重要です。

資産形成は早く始めるほど良い

資産形成においては、時間を味方につけるのが重要です。長期にわたり投資運用を行うことで、複利の効果も得られます。複利の効果とは、その年の収益を再投資することで元本が増え、さらにそれを繰り返すことで利息が利息を生み、雪だるま式に資産が増えていくというものです。
 
30〜50代の収入には、老後資金が含まれていると考えておく必要があります。
 
初めて投資をするときには、日経平均や東証株価指数(TOPIX)などの指数に連動したETFを積立てで始めるのがお勧めです。実際に自分の資産を投資運用し始めるとその値動きや経済動向との関係が気になるようになります。
 
積立てで、自動的に決められた金額を決められた銘柄に投資する「ドルコスト平均法」を活用するのが、最も手間がかからず、最も負ける可能性の低い投資法だと思います。慣れてきたら個別株に挑戦してみるのも良いでしょう。
 
※ドルコスト平均法については以前に執筆した記事「さあ、投資を始めよう!ドルコスト平均法とは」をご確認ください(※)。

それでもお金が足りないときは

なるべく早いうちに、将来の貯蓄がどうなりそうか予測を立て、現状を把握することが重要です。老後2000万円問題が話題になりましたが、現在の60代以上の方で2000万円以上の資産をお持ちの方は2割程度しかいないともいわれています。その年齢になってから気づいても、打てる対策は限られています。
 
早めに「貯蓄が底をつく可能性が高い」と気づいた場合には、支出を減らすか収入を増やすかしかありません。
 
収入を増やすには、自分自身の働く期間を延ばすことができるか、副業などで新たな収入源を確保し、退職後も継続して収入を得る方法を模索する。奥さまにも働いてもらうなどの方法も検討する必要があるでしょう。

まとめ

かつては、定期預金の金利が5%を超えていたときもありました。人生100年時代を生きる上での人生設計、すなわちライフデザインを考える上では、これまでの常識から考え方を切り替えなければいけない時代になったといえます。
 
定年するまでお金に困ったことのない人が、定年後にお金がなくなることは非常に苦しいと思います。できれば早いうちに自分の収入に見合った消費スタイルを確立し、将来収入が減ってもこのくらいの生活レベルは無理なく維持できるという状況を作り、慣れておく必要があります。
 
自分が理想とする将来像とともに、それを実現するためのロードマップを描くこと。それが「ライフデザイン」です。
 
(※)ファイナンシャルフィールド「さあ、投資を始めよう!(ドルコスト平均法とは)」
 
執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役

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