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法務局で自筆証書遺言書の保管制度が開始

ファイナンシャルフィールド / 2020年8月3日 0時10分

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終活で欠かせないのは遺言書の作成です。「円滑に相続を進めるためには、遺言書を残すことが大切」と理解していても、実践するにはいくつかの課題がありました。これらを解決すべく、背中を押す制度が7月10日から始まりました。

遺言書は預かってもらう時代に

始めに、遺言書の作成に関するいくつかの課題について整理してみます。一般的に作成されている遺言書は、大きく2種類あります。自筆証書遺言と公正証書遺言です。
 
公正証書遺言は、公証人が証人2人の立ち会いのもと、遺言者から遺言の内容を聞き取り作成します。できあがった遺言書の原本は公証人役場で保管されますので、紛失や改ざんの心配がありません。
 
また相続が発生した時に裁判所の検認が不要です。信用度は高いのですが、内容を証人に知られてしまうことや費用がかかることがデメリットです。
 
一方の自筆証書遺言は、自分1人で書けます。内容を知られる心配はありませんし、好きなタイミングで自由に書くことができます。
 
公正証書遺言のような費用がかかりませんので、「作成するのなら自筆証書遺言で」と思っている人は多いはずです。でも実際に作成する人が少ないのには以下の3つの理由がありました。
 
(1)すべてを自書で書く必要がある。
(2)保管場所も自由なので、紛失や改ざんの心配がある。また相続人に、存在を見つけてもらえない可能性がある。
(3)相続が発生したら、遺言書の開封前に家庭裁判所の検認が必要である。
 
民法(相続法)が改正され、自筆証書遺言が作成しやすくなりました。
 
(1)これまでは全文を自書しなければなりませんでしたが、昨年1月からは財産目録については緩和されました。パソコンで作成した財産目録や預金通帳・登記事項証明書のコピーなどを添付することが認められ、作成の負担は軽くなりました。
 
(2)(3)についての解決策となるのが、今回の「法務局で保管制度」です。

遺言書作成から保管までの流れ

法務局(遺言書保管所)での保管制度を利用する場合、申請の流れは以下のとおりです。

(1)自筆の遺言書を作成する

法務局(遺言書保管所)で預かる遺言書は、大きさ等の形式面で注意事項があります。詳細は下記パンフレットの5ページを参照ください(※1)。

(2)遺言書の保管場所を決める

 
・遺言者の住所地
・遺言者の本籍地
・遺言者が所有する不動産の所在地
 
このいずれかを所管する遺言書保管所です。

(3)申請書を作成する

申請書は法務省のホームページからダウンロードするか、法務局(遺言書保管所)窓口で入手できます。

(4)保管申請の予約をする

必ず予約が必要です。

(5)保管の申請をする

事前に予約した日時に、遺言者本人が法務局(遺言書保管所)で手続きをします。
 
<必要な書類>
・遺言書(ホチキス止めはしない、封筒は不要)
・申請書(あらかじめ記入して持参)
・添付書類(本籍の記載のある住民票の写し等(作成後3カ月以内)
・本人確認書類(有効期限内のものをいずれか1点)
マイナンバーカード/運転免許証/運転経歴証明書/旅券/乗員手帳/在留カード /特別永住者証明書
・手数料(1通につき3900円)
 
法務局職員(遺言書保管官)に、外形的な確認(全文と日付及び氏名の自書、押印の有無等)をしてもらいますが、内容について相談することはできません。また保管された遺言書の有効性を保証するものではありません。

(6)保管証を受け取る

手続き終了後、遺言者の氏名、出生の年月日、遺言書保管所の名称及び保管番号が記載された保管証が発行されます。
 
遺言書の閲覧や保管申請の撤回、住所等変更の届出、また相続人等が遺言書情報証明書の交付の請求等をする時にも、保管番号を利用しますので、大切に保管することが必要です。
 
預けた遺言書は保管の申請の撤回手続きをすることで、返却してもらうことができます。費用はかかりません。また閲覧請求することで、保管されている遺言書の内容を確認することができます。保管申請や閲覧等に係る手数料は図のようになっています。
 
遺言書の保管の申請等に係る手数料

出典:法務省ホームページ(※2)

保管制度を利用していることを家族に伝えておく

自分の遺言書が法務局(遺言書保管所)に保管されていることを、家族の誰かに伝えておくことは必要です。
 
遺言者が亡くなった時に、相続人・遺言執行者・受遺者は、遺言書が預けられているかどうかを確認することはできますが、保管証に記載されている保管番号を利用すれば相続開始後の遺言書情報証明書の交付手続きがスムーズになります。保管されている遺言書は裁判所の検認が不要なので、相続人の負担軽減メリットは大きいです。
 
今回は、預ける場面を中心に新制度を見てきました。このように制度はかなり整備されましたので、そろそろ遺言書の作成を前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
 
(※1)法務省「相続に関するルールが大きく変わります」
(※2)法務省「09:自筆証書遺言書保管制度の手数料一覧・遺言書保管所一覧・遺言書保管所管轄一覧」
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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