10月1日からの酒税率改正でビールが値下がり、新ジャンルが値上げ。ビールを買う人は増える?
ファイナンシャルフィールド / 2020年10月7日 23時0分
10月1日からビール類の酒税率が改正されました。酒文化研究所の発表(※1)によると、今回の酒税率改正の対象となる酒類は、ビール類と清酒・ワインです。9月末までの350mlあたりの税額は、ビールが77円、発泡酒が47円、新ジャンルが28円、RTD(Ready To Drink:缶入りチューハイやハイボールなど)が28円、清酒が42円、ワインが28円です。
10月1日からは、ビールが70円、清酒が39円と減税になるものの、新ジャンルが38円、ワインが32円と増税になります。発泡酒とRTDは据え置きです。今後は2023年にも酒税率の改正があり、2026年にはビール、発泡酒、新ジャンルが55円に、RTD、清酒、ワインが35円となる予定です。
ビールは350ml缶あたり7円値下げ、発泡酒は据え置き、新ジャンルは10円値上げとなります。それでは、10月からビール類の消費はどう変わるのでしょう。
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ビール類でよく飲むのは「ビール」「新ジャンル」「プレミアムビール」「発泡酒」の順
同じく酒文化研究所が発表した調査によると、ビール類を週に 1 回以上自宅で飲む“ビール類ユーザー”では、ビール類の飲酒頻度は「毎日飲む」が 43%と最多で、「週に 4~5 日」(22%) と合わせると 65%を占めます。一度に飲む量は350ml缶で「 1 缶程度」が 43%、「1~2缶」が 30%と、晩酌の最初の1杯でビール類を飲む人が多いようですが、「 3 缶以上」という人も 11%います。
よく飲むビール類は「ビール」が最多の87%、2位は「新ジャンル」50%、「プレミアムビール」44%、「発泡酒」43%と、ビールだけ、新ジャンルだけというよりも、さまざまなビール類を組み合わせて飲んでいるようです。できればビールを飲みたいけれども、高いので安い発泡酒や新ジャンルと組み合わせて買っている人が多いのでしょう。
さらに最もよく飲むものを一つ選んでもらうと「ビール」が43%、「新ジャンル」38%、「発泡酒」19%という順になりました。
発泡酒ユーザー、新ジャンルユーザーの3割がビールが値下がりしたらビールを買うことが増えると回答
さらに同調査において、10月の酒税率改正で1缶10円増税される新ジャンルを増税前に買いだめするかを聞いてみたところ、ビール類ユーザー全体では18%が「買いだめする」と回答しましたが、「買いだめしない」も同じ数字でした。うち、主に新ジャンルを飲んでいる人では33%が「買いだめする」と回答し、「買いだめしない」の25%を上回りました。発泡酒を飲んでいる人では21%とある程度買いだめする人がいましたが、ビールを飲んでいる人ではわずか4%にとどまりました。
10月にビールの税率が引き下げられ、350ml缶1本あたり7円下がると、ビールの消費は増えるのでしょうか? 増減税があっても選択は「変わらない」という回答が78%を占めました。数円価格が変わってもこれまで通りの量という人が大半のようです。
今回の酒税率引き下げで、「ビールが増える」は17%でした。「ビールが増える」と回答した人は新ジャンルユーザーでは 27% 、発泡酒ユーザーの 38%でした。安いから発泡酒や新ジャンルを飲んでいるという人は、ビールが値下がりするならビールが飲みたいと思っている人が多いのでしょうね。
2010年以降、ビールの購入量は下降の一途で、発泡酒などと差が開く。酒税率改正で変わるかも?
ここからは、統計局「家計ミニトピックス」から、「ビール」と「発泡酒・ビール風アルコール飲料」の購入数量について、二人以上の世帯の結果から見てみましょう(※2)。
1世帯あたりの年間購入数量を2010年から2019年まで見てみると、2010年の時点では「ビール」は26.76L、「発泡酒・ビール風アルコール飲料」が27.38Lと、大きな差はありませんでしたが、「ビール」の購入量は年々下がり、2019年には19.42Lと、「発泡酒・ビール風アルコール飲料」の27.15Lと大きく差が開きました。安くて味もビールと遜色ない発泡酒・ビール風アルコール飲料に流れていったことが伺えますが、今回の酒税率改正で、この傾向にストップがかかるかもしれませんね。
[出典]
※1:酒文化研究所「10月に減税で安くなったらビールを買いますか?」(株式会社共同通信ピー・アール・ワイヤー)
※2:総務省統計局「家計ミニトピックス 『ビール』及び『発泡酒・ビール風アルコール飲料』の購入数量」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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