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無料点検からの悪質契約、クーリングオフも拒否…“トンデモ業者”に絶望した女性を救った「強力な解決策」

Finasee / 2024年9月24日 11時30分

無料点検からの悪質契約、クーリングオフも拒否…“トンデモ業者”に絶望した女性を救った「強力な解決策」

Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

美奈さん(仮名・40代)は、ある日「地域貢献を兼ねて無料で住宅診断を行っています」と訪問してきた堤(仮名)という男にだまされた。堤は家の中を見て回ると「湿気で家の柱の一部が傷んでいます。今すぐ修理が必要です」と美奈さんに告げた。美奈さんは焦って110万円の契約を結んでしまう。

翌日、美奈さんが堤の不審点に気付いて解決方法を調べたところ、クーリングオフという制度を知る。クーリングオフとは訪問販売など一定の販売方法によって契約を結んでしまった場合、一定期間内であれば無条件で契約を解除できるものだ。

美奈さんはクーリングオフを利用して契約を解除するため、書面を作成して書留の形式で堤に送付した。

●前編:【湿気で傷んだ自宅の修理に110万円…「点検商法」の被害に絶望した女性が使った“最強の切り札”とは】

クーリングオフを拒否されるまさかの展開に…

堤から美奈さんへ対する返答はなんとクーリングオフを拒否するものだった。堤による返答書面には「契約の当日においてすでに施工が完了している以上、クーリングオフは認められない」との内容が記載されていた。

美奈さんは慌てて堤に電話する。だがしかし、何度かけても電話に出る気配がない。美奈さんは絶望した。この日ですでに契約を結んでから9日が経過している。クーリングオフの期間である8日を超えていた。

私と美奈さんが知り合ったのはその時だ。とある依頼者から「困っている人がいる」と美奈さんを紹介され、お手伝いさせていただくこととなった。

契約解除に使える「強力な解決策」とは?

美奈さんを紹介してから会合に至るまで数日かかったが、対面時の美奈さんは意外にも落ち着いていた。

挨拶もそこそこに本題に入る。私はすぐに「内容証明で送りましょう」と打診した。

内容証明とは内容証明郵便だ。内容証明郵便なら、いつ、どんな内容の文章を、誰が誰宛てに送ったのかを郵便局が証明してくれる。これは強力だ。「送った」「送っていない」といったトラブルだけでなく内容についてまで証明されるため、送られてきた側は受け取った書類について曖昧にできない。

内容証明郵便はお金の貸し借りにおいて返済を促す際によく用いられるが契約の解除についても十分利用できる。特にクーリングオフにおける効果は高い。

普通郵便や書留程度では無視を決め込む事業者であっても、内容証明郵便で送った途端、手のひらを返したように契約解除の返金に応じる事業者も多い。このことを当事務所の事例をもとに美奈さんに説明し、費用についても今回のケースなら1万円程度で可能であることを補足した。

「それなら安心です!」と美奈さんは大いに喜んだ。だが一抹の不安を私に伝える。

「あ、でも……もうクーリングオフの期限の8日をとっくに過ぎてしまっているんです」

クーリングオフは書類の発送時に効果を生じる

美奈さんの言う期限への心配は正直なところ全く問題はない。なぜなら、クーリングオフは発送時に効果を生じるからだ。美奈さんは契約から3日後には書面を送付している。書留の形でも送っているため書類を送ったという事実は明らかだ。

私は発送時にクーリングオフの効果が生じていることを説明する。そして、あくまでも今回は相手方にクーリングオフの効果が発生していることを理解させるために強力な内容証明郵便で説得するようなものだとも付け加えた。

私の説明を聞いて美奈さんは安堵(あんど)し涙を流した。

「よかったです……これで安心できる」

早速その日に文面を作成し、美奈さんの確認を経て堤氏宛てに送付した。

クーリングオフは内容証明郵便で

2日後、美奈さんから電話が入る。「堤氏から全額返金がされました!」との朗報だった。

美奈さんによれば、堤氏からの返答はないものの支払ったお金の全額が返金されたようだ。発送した内容証明郵便の追跡記録を見てみると堤氏は内容証明郵便の到達後すぐに返金をしていたようだ。

クーリングオフというのは強力で消費者側にとって非常に有利な制度だ。しかし、事業者にとってはそれだけ自身らにとって不利な制度でもある。そう簡単に従わない悪徳な事業者も少なくない。

しかし、そこに内容証明郵便という強力な制度で説得力を持たせて対応することでより確実に相手にクーリングオフの制度による返金を促せる。

美奈さんは何とか内容証明郵便によって返金を受けられたが、同様の状況で内容証明郵便を利用することをせず泣き寝入りとなっている方は少なくないはずだ。

内容証明郵便ははがきや手紙形式で送っても無視されてしまうことも珍しくはない。その上、手間がかかりハードルも高く感じられるかもしれない。だが、クーリングオフを使いたいと思っているのであればそれ以上に行うべき価値はある。

クーリングオフを使うのであれば絶対に内容証明郵便で行うべきだ。そうすることで、クーリングオフで悩み、返金されないといった最悪の事態を防ぐことができるはずだ。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

柘植 輝/行政書士・FP

行政書士とFPをメインに企業の経営改善など幅広く活動を行う。得意分野は相続や契約といった民亊法務関連。20歳で行政書士に合格し、若干30代の若さながら10年以上のキャリアがあり、若い感性と十分な経験からくるアドバイスは多方面から支持を集めている。

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