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データカタログ運営のNeudataが解説 海外のオルタナティブデータ最新事情

Finasee / 2024年9月25日 7時0分

データカタログ運営のNeudataが解説 海外のオルタナティブデータ最新事情

Finasee(フィナシー)

Neudata 研究部 アソシエイト董 芃妤 氏 (Paris Tung) 

――まずはNeudataについて教えてください。
 Neudataは2016年に英ロンドンで設立されたオルタナティブデータの研究機関であり、機関投資家を対象にオルタナティブデータのさまざまな情報を提供しています。具体的にはオルタナティブデータに関するリサーチカタログや機関投資家とデータプロバイダーのマッチングイベント、機関投資家向けのデータ仕入れコンサルティングなどのサービスをグローバルに提供しています。

これまでは欧米諸国や中国で事業展開してきましたが、今後は日本にも力を入れていく方針です。日本国内での認知度向上を目指すべく、業界団体であるオルタナティブデータ推進協議会(JADAA)にも加盟しました。

――日本国内の機関投資家にはまだオルタナティブデータが浸透しているとは言えない状況かと思いますが、どのようなポテンシャルを感じていますか。
 成長余地が十分あると考えています。今ではオルタナティブデータが広がっている中国も、3年前は日本と大差ない状況でした。データホルダーの企業ポリシーや言語の壁、金融商品に関わる各種規制などさまざまな課題はありますが、国家による規制の厳しい中国に比べればオルタナティブデータを浸透させやすい環境にあると言えるでしょう。

また中国経済が停滞する中にあって、日本はこれまで以上にアジア地域の有力マーケットになると見ていますし、なにより名目GDPベースで世界第4位の経済大国です。オルタナティブデータの潜在的ニーズも多くあると見ています。

――海外におけるオルタナティブデータのトレンドをお聞かせください。
 一部のオルタナティブデータで低価格化が進んでいます。取引情報や位置情報といった人気かつデータソースを入手しづらいものは従来通りの価格設定が続いていますが、インターネット上から情報抽出する「ウェブスクレイピング」を用いたオルタナティブデータなど参入障壁の低い分野は競争が働き安価になりつつあるのです。例えばウェブスクレイピングを主なソースとしてSEC提出書類などを解析するセンチメンタル商品の購入価格を見てみると、2018年ごろは5万~15万ドルほどでしたが、現在では一部のトップクラスベンダーを除き、2.5万ドル程度まで低下しました。

――日本と海外で提供されているオルタナティブデータに違いはありますか。
 日本で人気のある取引データや位置情報のオルタナティブデータは、海外でも定番化しています。

大きな違いとしては、やはりデータベンダーの数が欧米諸国の方が圧倒的に多いことが挙げられます。特にウェブスクレイピングや各種ニュースなどデータソースを得やすいオルタナティブデータは、先述の通り参入障壁が低いため、新興データベンダーが続々と新商品を開発しています。

――新しく開発が進んでいるものとしてはどのようなものがあるのでしょう。
 多くの企業が意欲的に取り組んでいるものの一例として、大統領選を予測するオルタナティブデータが挙げられます。具体的には、政治広告支出や人口統計情報、センチメンタルなどを分析するオルタナティブデータの提供が進んでいます。

特に注目されているのが政治広告支出を分析するオルタナティブデータです。BtoBのクラウドサービス企業などからデータソースを集めることで、政治広告にかける資金の調達総額を試算する企業が出てきています。Magnaのような、人種や公的申告といった情報を考慮することで最大5年先までの予想支出を報告するサービスもあります。また近年増えているデジタル広告の分野でも、Pathmaticsのような、14万~15万社程度の広告主をカバーして政治関連の広告支出を分析する企業があります。

いわゆる「フェイクニュース」を見抜くオルタナティブデータも開発が進んでいます。例えば、Deception and Truth Analysisのような、テキスト化した最高経営責任者(CEO)のスピーチから「欺いている度合い」を検出するようなサービスがあります。もっともテキストからフェイク情報を検出するのは容易ではなく、現状では正解率は20-50%程度と低いのも実情です。そこで現在は、音声・動画などを用いて発言者の表情や声色を分析し、より正確なデータを導出するための取り組みが見られます。

――個人投資家によるオルタナティブデータの活用状況については、国内外で差はありますか。
 欧米では投資関係のアプリが充実しており、オンライン上で個人投資家のコミュニティーが広がっています。米国株式についての議論は白熱していますし、おのおのの研究結果をシェアするような場にもなっています。シェアされる情報は伝統的指標のみならずオルタナティブデータにも及びますので、オルタナティブデータに関する情報に触れる機会が多いのです。

日本でも銘柄ごとの売買代金・出来高の内訳や信用取引残高といった東証の売買内訳データをオルタナティブデータとして提供する証券会社が出てきましたが、個人投資家が触れる機会は限られているのが実情です。これから黎明期を迎えると言っていいでしょう。

――オルタナティブデータを巡る日本と海外の違いや、欧米諸国におけるトレンドを理解できました。ありがとうございました。

オルイン編集部

「オルイン」は、企業や金融機関で業務として資産運用に携わるプロフェッショナル向けの専門誌です。株式・債券といった伝統資産はもちろん、ヘッジファンドやプライベートエクイティ、不動産といったオルタナティブもカバーする、国内随一の年金・機関投資家向け「運用情報誌」として2006年に創刊。以来、日本の年金基金や金融法人、公益法人といった機関投資家の運用プロフェッショナルに対し、その時々のタイムリーな話題を客観的かつ独自の視点でわかりやすくお伝えしています。

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