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「相続分の放棄」と「相続放棄」は大違い、借金を放棄できるのはどっち?

Finasee / 2024年11月30日 19時0分

「相続分の放棄」と「相続放棄」は大違い、借金を放棄できるのはどっち?

Finasee(フィナシー)

いつか訪れるのに、ついつい話し合いを先延ばしにしまいがちな「相続」。相続問題に詳しい弁護士の古山隼也氏は「相続には予想外のトラブルがつきもの」といいます。相続をきっかけに家族がバラバラになる「争族」にならないためにも、今回は相続に関するよくある疑問を、Q&A形式で古山氏に解説してもらいます。(全4回の4回目)

●第3回:認知症への備えとして注目度が高まる「家族信託」。弁護士が仕組みを解説

※本稿は、古山隼也著『弁護士だからわかる!できる! あんしん相続 手続きの「めんどくさい」「わからない」「ストレス」が消える!』(Gakken)の一部を抜粋・再編集したものです。

相続のマイナス財産、債権者からの請求を拒否したい

Q, 姉から「相続分を放棄して」と言われました。これは相続放棄のことですか?

A. 「相続放棄」と「相続分の放棄」は別物です。

相続放棄とは

はじめから相続人でないことになります(民法939条)。

相続放棄をするには、家庭裁判所での手続きが必要です(民法938条)。

相続放棄をすると、プラスの財産もマイナスの財産も何も受け継ぎません。債権者からの請求も拒否できます。

放棄した相続分は他の相続人に分けられます。

相続分の放棄とは

相続分の放棄とは、自分の相続分を放棄することです。

放棄された相続分は、他の相続人に相続割合に応じて分配されます(したがって、他の相続人の相続分の変動が相続放棄と異なるケースが生じます)。決まった方式や熟慮期間のような期間制限はありません。

相続放棄と違うのは、家庭裁判所での申述が不要なことと、相続人の地位が維持されたままであることです。

相続分放棄証書は作成しておくべき

家庭裁判所での申述は不要ですが、後々トラブルになるのを防ぐためや、不動産の名義変更手続き、預貯金の解約手続きなどに使用するため、相続分放棄証書を作成しておくべきです。

また被相続人の債務を承継しているので、債権者から請求されると自分の法定相続分に相当する部分を負担しなければなりません(負担額を他の相続人に請求できません)。

【参考】相続分の譲渡について
自分の相続分を他の人に譲ります(民法905条1項)。譲った相続分は、譲り受けた人だけがもらいます。例えばA・B・Cの3人の相続分が各3分の1のとき、AさんがBさんに相続分を全部譲渡すると、相続分の割合はBさんが3分の2、Cさんが3分の1となります。

負債も移転させることができます。譲渡人は債権者に負債を支払った場合、譲受人に請求できます。

なお、譲る相手は相続人に限られず、内縁の配偶者など第三者でも構いません(しかし、第三者に譲渡するケースはあまりないようです)。

決まった方式や熟慮期間のような期間制限がないのは相続分の放棄と同じで、相続分譲渡証書を作成すべきなのも相続分の放棄と同様です。
 

弁護士だからわかる!できる! あんしん相続
 

著者名 古山 隼也

発行 Gakken

価格 1,760円(税込)

古山 隼也/弁護士

1980年生まれ。大阪府出身。大阪市立大学(現・大阪公立大学)法学部卒業。大阪市職員として勤務後、京都大学大学院法学研究科卒業。2011年に司法試験合格。大阪市内弁護士法人、京都市内法律事務所勤務を経て、「生活を支える法律事務所はもっと身近な場所にあるべきだ」という思いから、2017年に出身地である大阪府枚方市に古山綜合法律事務所を設立。地域密着型の法律事務所として、個人の身近な法律問題をサポートしている。大阪市職員時代に介護保険を担当していた経験から高齢者問題に明るく、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格も有していることから、とくに相続など税務に関わる案件を得意とする。著書に『弁護士の顔が見える 中小企業法律相談ガイド』(共著/第一法規)、『弁護士だからわかる!できる! あんしん相続』(Gakken)。

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