売上8兆円の中国ファーウェイが悩む「米国市場の高い壁」

Forbes JAPAN / 2017年9月14日 7時0分

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今年で創立30周年を迎えた中国のファーウェイは、サムスンやアップルに次いで世界3位のスマートフォンメーカーとなり、欧州や米国の消費者らを魅了しようとしている。

ファーウェイのスマホは最新のiPhoneやGalaxyをライバルに見据え、テクノロジーやデザインに磨きをかけている。10月に発表される新モデル「Mate 10」は、究極のベゼルレススクリーンに3D顔認証機能を搭載し、iPhoneの10周年モデルに対抗する。

さらに、Mate 10にはファーウェイ傘下のHisilicon Technologiesが開発したKirin 970チップが採用され、カメラ性能ではGalaxy 8を上回る。Kirin 970に内蔵されたAIが撮影シーンを判別し、適切な露出やシャッタースピードを自動で調整するのだという。

しかし、現状ではファーウェイのスマホの利益率は競合に比べると著しく低い。ボストン本拠のコンサルタント企業、Strategy Analyticによると世界のスマートフォンが生み出す利益の91%はアップルに渡っている。

ただし、ファーウェイには別の収益源もある。通信事業者向けネットワーク事業の好調に支えられ、ファーウェイは2016年に総額740億ドル(8.1兆円)の売上高を記録した。4G通信ネットワークの導入に続き、ファーウェイは次世代の5Gネットワークの構築を主導するポジションを得ようとしている。

さらに、ファーウェイはマーケティング面でも巨額の投資を行い、ハリウッド女優のスカーレット・ヨハンソンやサッカー選手のリオネル・メッシを広告に起用。ワルシャワやヘルシンキ等の欧州の街角では、ファーウェイの広告が至るところに設置されている。

調査企業Canalysのデータでは、ファーウェイはフィンランドやイタリア、ポーランド、スペインといった国々で出荷台数ベースでアップルを追い抜き、2位のポジションとなった。また、ドイツでは3位、フランスでは4位に入っている。

背景にはファーウェイと欧州の通信キャリアとの深い結び付きがある。同社はフランスのオレンジやフィンランドのエリサといったキャリアに古くから通信機器を納入しており、そのチャネルを通じ、欧州でスマホを販売している。

しかし、高価格帯のスマホの販売額は競合と比べるとかなり見劣りする。Canalysのデータでは、ファーウェイの600ドル以上のスマホの出荷台数は、今年上期に360万台だった。アップルの同期間の出荷台数は7780万台、サムスンは3160万台だった。

ファーウェイが売上を伸ばせない最大の原因の一つは米国市場に本格参入が果たせていないことにある。米国の4大キャリア(ベライゾン、AT&T、Tモバイル、スプリント)は2012年以来、ファーウェイ製品を取り扱っていない。

これは2012年に米国議会で、ファーウェイ製品が中国政府によるスパイ行為に利用されているとの報告があげられて以来のことだ。ファーウェイは度々、この疑惑を否定しているが最近もトランプ政権が反中国的な姿勢を見せるなか、この疑念はなかなか消えそうもない。

しかし、ファーウェイ側は米国市場をあきらめた訳ではない。「米国は我が社にとって非常に重要な市場だ。良い製品をつくり続けていれば、米国市場が我が社を受け入れるのは時間の問題だ」とファーウェイの広報担当は述べた。

逆風はあるものの、ファーウェイがハイエンドのスマホ市場でアップルやサムスンに匹敵しうるメーカーであることは確かだ。通信ネットワーク事業から得た巨大な利益を、ファーウェイはスマホのテクノロジーやマーケティングに投入できる。

「3年ほど前、ファーウェイは中国の中価格帯のスマホメーカーの一社に過ぎなかった。しかし、ファーウェイ製品のクオリティは劇的に向上している。このままの勢いで発展が続けばもう1年ほどで、そのクオリティはアップルやサムスンと同等のレベルになる」と調査企業、Counterpointの担当者は述べた。

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