輝きを失った香港、中国人から見た「返還後20年」の変遷

Forbes JAPAN / 2017年9月24日 12時30分

写真

イギリスの植民地だった香港が、中国に返還されて20年が経った。香港と中国の関係はどう変わったのだろうか。

北京在住の37歳の弁護士エバ・トンは、子どものころ、テレビで見る香港に強いあこがれを抱いていた。しかし、今はその香港がすっかり色あせて見える。「香港は面積が狭いなかに人が多すぎる。旅行ですら行こうと思わない。上海の成長で金融のハブとしての地位も失いつつある」

トンと同様の考えを抱く中国人は少なくない。香港は多くの課題に直面している。中国が成長するにつれ、香港は中国本土に対する優位性を失い始めた。例えば2003年、香港は世界で最も取扱量の多いコンテナターミナルだった。しかし、今は中国本土の上海、深セン、寧波舟山、そしてシンガポールに追い抜かれ5位に甘んじている。

世界の金融センターとしてのポジションは健在だが、中国の支配下に置かれていることに変わりはない。全体の時価総額ベースで、香港証券取引所は上海証券取引所に9兆元(約150兆円)以上水をあけられ、深セン証券取引所とも差が小さくなった。世界最大の消費者向けドローンメーカーDJIやテンセントのような巨人が上場する深センは、テクノロジー関連のイノベーションの中心地となっている。

中国経済における香港の重要性は急速に低下している。返還当時、香港のGDPは中国全体の20%近くを占めていたが、今では3%に満たない。

北京大学HSBCビジネススクールで、政治経済を専門とする准教授クリストファー・ボールディングは「香港と中国のつながりは、劇的に薄れつつある」と語った。しかし、一方で香港は中国の西側諸国に対する重要な玄関口だ。

テンセントやMeitu(美図)のような海外志向の企業は、資本規制が厳しい中国本土を避け、香港で上場している。香港浸会大学の准教授ビリー・マクスイ-チョイは「香港は、現時点では他に置き替えられない独自の機能を持つ」と話す。

独自の道を歩む香港

中国は昨年、香港、上海、深センの取引所で相互取引を開始した。香港と珠海、マカオを結ぶ橋の建設プロジェクトも進んでいる。中国政府は香港、マカオ、広東省を含むテクノロジーゾーン構想も描いている。

一方、中国の経済的な影響力が高まり、香港の人々は中国の干渉が強まることを恐れている。中国政府が香港の選挙を制限し、何万人ものデモ隊が3カ月にわたって街の金融地区を麻痺させた事件も起きた。

若い香港人は中国への拒否感を強めている。香港大学の最近の調査によると、香港戸籍を持つ18歳から29歳の間では、自分を広義の「中国人」と考える割合は3.1%にとどまり、1997年時の31%から大きく減った。

中国本土に住む人にとっても、それは驚くことではない。「中国本土は、香港を追い抜いてしまったから」と、海外ファッションブランドの中国地区のマネジャー、サブリナ・リウは言う。

「彼らは優越感を失ってしまったから、我々に属したくないのだろう」とリウは述べた。

Forbes JAPAN

トピックスRSS

ランキング