業務チャット界の新ユニコーン「Intercom」がアプリストア開設

Forbes JAPAN / 2018年8月11日 16時30分

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企業向けチャットツールを手掛ける「Intercom」は7月31日、専用アプリストアを立ち上げてプラットローム化に舵を切った。しかし、同社CEOのEoghan McCabeはプラットフォーム化という表現は気に入らないようだ。

「プラットフォームは使い古された言葉で退屈だ」と彼は話す。それでも、アイルランド出身のMcCabeは、サンフランシスコで長年ソフトウェア開発に携わってきた経験から、あらゆるスタートアップがプラットフォーム化を目指していることを良く理解している。

プラットフォーム化を図ることでユーザーを様々なツールにつなげ、ビジネスパーソンにとって不可欠なサービスにできるからだ。Intercomのアプリストアには、アトラシアンやグーグル、マルケト、セールスフォース、ストライプを含む100社以上のパートナーが参加している。同社は、独自のアプリを開発したい企業向けに、Intercomのメッセンジャーソフトにアプリを簡単に組み込めるツールをリリースした。

「最初に電話が開発され、次にウェブとウェブサイトが登場した。企業はオンライン化することで驚異的な成長を遂げた。我々は、メッセンジャーこそが次の大きな波であり、企業に多くの機会をもたらすと考えている」とMcCabeは話す。


Courtesy of Intercom

一定の規模に成長したソフトウェア企業の多くは、アプリストアを開設してプラットフォーム化を図っている。CRM大手のセールスフォースは、アプリのマーケットプレイス「AppExchange」を10年以上運営しており、有料ダウンロード数は500万回以上に達する。同社は、ダウンロード金額から手数料を徴収している。

規模がIntercomに近いスラックも2015年12月にアプリストアを立ち上げ、昨年7月には新たな機能を追加した。McCabeによると、Intercomがアプリストアをリリースした狙いは、APIを使いやすくすることでユーザーが幅広いプロダクトを利用し、ワークフローアプリケーションとして活用してもらうことだという。

ベータ版には750社以上が登録

同社によると、3万人を超える有料ユーザーの多くがアプリストアの開設を希望していたという。アプリストアのベータ版は多くのマニュアル操作が必要だったが、750社以上が登録したという。そのうち、150社近くが積極的にアプリを組み込み、30社が新規のアプリをアプリストア上で公開したという。

「世の中に開放することでアプリ構築の障害を取り除くことができる。誰でもドキュメンテーションを閲覧してアプリを公開したり、独自のアプリを開発することができる」とMcCabeは話す。

Google Docsのようにインタラクティブなオンラインドキュメントを作成する「Coda」は、プロダクトチームが顧客からのフィードバックを有効活用できるようにするため、Intercomのアプリストアと提携した。「フィードバックの大半はIntercomのチャット経由で取得している」とCodaの共同創業者であるShishir Mehrotraは話す。

「顧客からのフィードバックは宝の山だ」とCodaでマネジャーを務めるEvan Daviesは言い、2週間ほどかけてIntercomのメッセンジャー上にフィードバックを取得しやすくするアプリを作成したという。このアプリはフィードバックを自動的にタグ付けしてドキュメントに加えるため、開発者が優先度の高い機能を把握することができるという。

HubspotもIntercomアプリストアのパートナーだ。同社は、顧客層がIntercomと重複していることに気が付き、2つのシステム間でデータを同期させる方法を模索していた。戦略的提携担当ディレクターのKevin Rahejaによると、現在ではIntercom上のチャットから自動的にHubspot内に顧客コンタクトを作成するなど、より簡単で安全なデータ連携ができるようになったという。「何千人もの共通の顧客がツールを連携できるようになったことをとても喜んでいる」とRahejaは述べている。

Intercomは3月に1億2500万ドルの資金調達を完了し、このラウンドでの評価額は12億7500万ドル(約1410億円)に達した。Intercomは、パートナー企業に多くの顧客をもたらすことで彼らのロイヤリティを高め、長期的な提携関係を維持したい考えだ。「コードは真似できても、新しいアイデアや基準を真似ることはできない。パートナー企業との関係は、我々にとって防御壁のようなものだ」とMcCabeは語った。

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