健康のための「鼻うがい」と水道水の危険な関係 米国で死亡例

Forbes JAPAN / 2018年12月30日 11時30分

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水道水が飲用に適しているからといって、鼻の中を洗浄するためにも使用していいというわけではない。「鼻うがい」に水道水を使用してはいけない。

それは、水道水には鼻腔、副鼻腔とその周辺、さらには脳にも影響を及ぼす危険性があるさまざまな微生物が含まれているからだ。非常にまれなケースではあるが、恐ろしい結果につながる場合もある。

学会誌インターナショナル・ジャーナル・オブ・インフェクシャス・ディジーズに掲載された米ワシントン州にあるスウェディッシュ・メディカル・グループのチームの症例報告によると、慢性副鼻腔炎の症状を改善するために水道水で鼻うがいをしていた69歳の女性が、感染症のため死亡したという。

女性は鼻うがいをする際、「ネティポット」を使用していた。これは、鼻腔を洗浄するための専用の器具で、頭を横に傾け、注ぎ口を上になっている方の鼻孔に入れ、ネティポットの中の水を注ぎ入れるというものだ。そうすると、粘液と汚れが混じった水がもう一方の鼻腔を通り、下側になっている鼻孔から流れ出る。

女性は「ブリタ」の浄水器でろ過した水道水を使い、鼻うがいを行っていた。1か月ほど続けたところ、鼻筋と外鼻孔に赤い発疹が出始めた。鼻筋の発疹は25セント硬貨ほどの大きさになったという。その翌年、女性は皮膚科で受診したが、医師はこの発疹の原因を特定することができなかった。

女性はその後、発作を起こし、主に左腕のしびれを訴えた。CTスキャンで検査すると、脳の右側に1.5cm程度の病変が確認された。医師らは当初、これを腫瘍だと考えた。だが、外科手術を行った結果、バラムチア・マンドリルリス感染によって生じたアメーバ性肉芽腫性髄膜脳炎によるものであることが分かった。

病変は、アメーバの「バラムチア・マンドリルリス」によるものだった。このアメーバは文字通り、女性の脳細胞に寄生していた。抗アメーバ薬での治療を行ったものの、症状に改善はみられなかった。

「水」に注意

この女性の命を奪った感染症は、原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM)と呼ばれ、非常にまれな病気だ。だが、PAMを発症することが非常に少ないとしても決して、鼻腔の洗浄に殺菌していない水・食塩水を使用してはいけない。

米食品医薬品局(FDA)の勧告では、鼻洗浄を行う際には以下の水を使用することとされている。

・信頼できる筋から入手したものであり、滅菌水または蒸留水と明記されている水

・微生物を死滅させるため、少なくとも3~5分間、煮沸した水

・微生物を除去するための専用のフィルターでろ過した水

フィルターが効果的なものであり、細菌や微生物を実際に除去できるものであることを確認する必要がある。ブリタの浄水器やフィルターや、コーヒー用のフィルターは、適していない。また、鼻うがい用の器具などは使用後、必ずよく洗って乾燥させること。使用の前後に手洗いもしっかり行うことが重要だ。

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