自民党総裁選で忘れられる〝防衛増税〟防衛力強化は必要だが…割高の外国製兵器に頼る問題「長期的に国内の産業強化を」
zakzak by夕刊フジ / 2024年9月25日 15時30分
報道アナリスト・新田哲史氏緊急寄稿
自民党総裁選の投開票日(27日)まで残りわずか。中国やロシアが軍事的威嚇を繰り返し、外交・安全保障政策は重要関心事となったが、茂木敏充幹事長(68)が打ち出した「増税ゼロ」で焦点となる「防衛増税」については、国民負担に直結する割には注目されていない。報道アナリストの新田哲史氏が緊急寄稿した。
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岸田文雄政権はウクライナや台湾情勢を背景に「防衛費の倍増」を計画した。2023年度に前年の5・4兆円から6・6兆円に急増し、27年度までの5年間で総額43兆円規模の予算を投じる方針だ。
財源は、国有財産の売却などの税外収入や、歳出改革などで確保し、不足分は法人税、所得税、たばこ税の増税でまかなうという。
茂木氏も「防衛力強化の必要性」は認めている。ただ、近年の税収増を念頭に、185兆円に積み上がった外国為替資金特別為替(外為特会)などの活用を打ち出した。
これに対し、小泉進次郎元環境相(43)が「(防衛増税は)岸田政権で決めたことを踏襲する」(共同通信のインタビュー)と話すなど、他の総裁候補は見直す意向は示していない。
わが国は民主国家である。納税者の理解を得られない「ムダ遣い」は許されまい。
ここで懸念されるのが、米国から装備品を買う「有償軍事援助」(FMS)である。23年度予算では、巡航ミサイル「トマホーク」(2113億円)、最新鋭ステルス戦闘機「F35A」(1069億円)などを購入し、1兆4768億円と、前年度の3797億円から急増した。
24年度は9316億円に減ったものの、22年度以前の4年間(7013億~3797億円)と比べても多額だ。
外国製兵器に頼る要因の一つは、「国内の防衛産業弱体化」だ。輸出規制が厳しいために採算が取りづらく、大手を含めて撤退が続いた。かといって「舶来品」は割高だ。為替が円安基調となったうえ、兵器のコスト開示が十分とは言えず「言い値」が通りやすい。機種のバージョンアップに伴う費用も重荷だ。
元空自補給本部長の防衛アナリスト、吉岡秀之氏は「27年の『台湾有事』想定もあるという切迫したなかで(米国依存は)仕方ないが、長期的には国内の防衛産業を強化する必要がある」と、筆者の取材で指摘した。
政府は昨年、防衛基盤強化法を制定し、立て直しを図るが容易ではない。政治が、こうした構造的な問題を放置したまま、国民に負担を求めるのは釈然としない。
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