サクラと星条旗 MLBと米大統領選の知られざる歴史 大谷には縁起のよくない話、国民的スポーツとのつながり トランプ氏「スカウトされた」と豪語

ただ、誰もが彼のファンだったわけではない。オンライン・マガジンSlateによると、ある時、借り物のバットで凡退すると、彼はそれを粉々に打ち砕いてしまった。持ち主に謝罪の言葉はなかったという。

大統領になる以前の2004年、ニュージャージー州にあるマイナーリーグのスタジアムのセンターフィールドにヘリコプターで降り立ち、始球式を行ったことがある。ボールはホームベースの直前でバウンドした。大統領就任後は始球式を行っていないのは、反トランプ・ファンからの「ロック・ヒム・アップ（彼を拘束せよ）」の大合唱を避けるためだろう。

ゴルフでズルをすることでも知られている。スポーツ・イラストレイテッド誌のリック・ライリー記者はそれだけで一冊の本を書いている。

トランプの対抗馬であるカマラ・ハリス氏は、サンフランシスコ・ジャイアンツのファンを公言しており、WNBA（女子プロバスケットボールリーグ）の熱心なサポーターでもある。

来春のMLB開幕日に始球式を行うのは誰になるのか。世論調査では五分五分。私はトランプに賭ける。理由はただ、バイデン／ハリスの経済があまりにひどかったから。利下げが行われるなら、変わるかもしれない。

■Robert　Whiting　作家。米ニュージャージー州生まれ。『和をもって日本と成す』（1990年）で日本のプロ野球の助っ人外国人を描き、独特の日米文化比較論を展開した。この逆バージョンともいえる本コラム「サクラと星条旗」は2007年から好評連載中。