兼原信克 日本の覚醒 石破首相また「変節」か 中国の「核脅威」は本物、実戦に向けた協議が急務 米原潜の日本入港「核持ち込み」と騒ぐ方がおかしい
zakzak by夕刊フジ / 2024年12月6日 11時0分
石破茂首相は3日、参院本会議の代表質問で、9月の自民党総裁選では前向きだった「核共有」について、「非核三原則などとの関係から認められない」と答弁した。日本は、中国とロシア、北朝鮮という核保有国に取り囲まれている。石破首相は総裁選で、非核三原則の「持ち込ませず」の見直しにも言及していたが、また「変節」したのか。ロシアがウクライナに侵攻して、世界を「核兵器で恫喝(どうかつ)」した2年10カ月前、安倍晋三元首相は「国民の生命と財産、国家の独立を守るために、『核抑止の議論』が必要だ」と訴えた。元国家安全保障局次長の兼原信克氏は、日本が直面する「核の脅威」を指摘した。
一昨年8月、広島テレビの番組「核とPeace~2022揺れる広島」に出演したとき、女性の被爆者が「核保有がないと領土を守れない。侵略されることがどれほど恐ろしいか」と述べたのに驚いた。同番組の世論調査によると、安倍元首相が提唱した「核共有」に、広島県民の4分の1が賛成した。国民は、現実主義に立った核の議論を求めている。
習近平国家主席率いる中国による「核の大軍拡」は止まらない。米中央情報局(CIA)によれば、2035年には中国の核弾頭数は1500発となり、米国の常備配備核弾頭数に並ぶ。米国は史上初めて、中国とロシアという二大核大国と対峙(たいじ)する時代を迎える。
中国は、大陸間弾道弾用サイロの建設に余念がなく、戦略爆撃機は核弾道ミサイルを搭載している。中国は12発の発射口を持つ「晋級戦略原潜」に「巨浪3」という大陸間弾道弾を搭載し、中国沿岸部から米西海岸を射程に収めた。やがて新型の「巨浪4」が登場する。中国はすでに第2撃能力を備え、米国との本格的な核対峙に臨もうとしている。
中国はさらに、広島型原爆のような低出力の戦術核の開発にいそしむだろう。そのターゲットは、「台湾有事」の前線国家となる台湾、日本、フィリピンである。民間人被害の少ない海上作戦では、空母機動部隊も攻撃対象となるであろう。
米議会は、国防授権法で、攻撃型原潜に戦術核搭載巡航ミサイルの再搭載を認めている。ジョー・バイデン政権は容認に向かっている。ドナルド・トランプ次期政権は、明確な前向き姿勢を示すであろう。10年後には、神奈川県・横須賀基地や、長崎県・佐世保基地に核搭載原潜が再び入港してくる。
米国の核ミサイルは、日本に対する中国の核攻撃を抑止するためのものである。その寄港を認めないのは大きな過ちである。
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