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日本の解き方 日銀金融政策の「大きな欠陥」経済見通しに失業率含まず 米国は高いインフレ圧力も雇用重視して利下げ、年内の追加も

zakzak by夕刊フジ / 2024年9月26日 11時0分

米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、連邦公開市場委員会(FOMC)の決定を受けて0・5%の利下げを決定した。これによって、政策金利は4・75~5%になった。

多くのエコノミストが0・25%の利下げを予想していたため、0・5%の利下げ幅はサプライズだった。1990年以降の米利下げサイクルにおいて、0・5%の利下げ幅で開始したのはITバブル崩壊後の2001年と、サブプライム住宅ローン問題のあった07年の2回だけだ。ただし、本来は7月に0・25%下げるべきだったので、7月分も含めて一気に下げたともいえる。

パウエルFRB議長は、雇用の伸びが鈍化するなど労働市場の減速を踏まえたものだという考えを示したうえで「おくれをとらないという決意の表れだ」と述べた。

米国の8月のインフレ率は2・5%で、食料・エネルギーを除いたコアインフレ率は3・2%だ。一方、日本は、8月の消費者物価指数の総合指数の上昇率が3・0%で、生鮮食品・エネルギーを除く総合指数の上昇率は2・0%だった。一般的なインフレの基調は、食料・エネルギーを除いたコア指数でみることが多いので、米国のほうが日本よりインフレ圧力は高いと思われるが、米国が雇用の悪化を考慮して利下げを行ったのは印象的だ。

FOMCの資料には、実質国内総生産(GDP)成長率、失業率、インフレ率、コアインフレ率の4つの指標の見通しが書かれている。一方、日銀の同様の資料では失業率は含まれていない。このため、雇用の悪化を理由とする利下げは、形式的にはあり得ないということになる。

筆者は、この点は今の金融政策の大きな欠陥だと思うが、こうした指摘は学会やマスコミからは出てこない。そのため、今回のパウエル議長の「おくれをとらない」という言葉尻を捉えて、利上げに「おくれをとらない」と解釈して解説するエコノミストもいる。

FRBの先行きの見方は大きく異なっている。上に述べた資料には、年内残り2回の会合での追加利下げ幅について、FOMC参加者の間で「0%」から「0・75%」まで意見が分かれている。19人の参加者の内訳をいえば、「0・5%」が9人、「0・25%」が7人、「0%」が2人、「0・75%」が1人だった。いずれにしても、利下げがあるのはほぼ間違いない。しかし、それでも、失業率は大きく下がらず、4%強で当面推移するとしている。

今回、日本でも同時期に日銀の金融政策決定会合が開かれたが、利上げは見送られた。日米の中央銀行はインフレ目標を採用しており、ともに目標が2%である。米国ではインフレ率が2%を超えているが、雇用を配慮して利下げした。それなのに、ここで日本が利上げというのは説明がつかないだろう。

筆者の持論であるが、日銀も失業率を経済見通しに入れるべきだ。その上で、雇用にも配慮した金融政策を明示的に行うべきだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授)

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