テレビ用語の基礎知識 日本のテレビに年4回、期末期首の「クール」は必要か？ 一斉に始まり一斉に終わる…番組の契約期間を横並びに設定する不思議

（夕刊フジ）

いやー、期末期首になるとテレビで見るものが一層なくなって困りますよね。ドラマは終わっちゃうし、いつものバラエティー番組もなんだか変な特番に変わってしまいますし。

特に最近は、はやりなのか経費削減のあおりなのか、やたらと過去の映像を使った特番ばかりで、あまり面白くないなあと思ってしまいます…。いや、過去の映像を使った特番でも面白いものもありました。

9月16日にTBSで放送されたTBS「今夜復活！8時だョ！全員集合」はやっぱり面白かったですね。僕みたいなオッサンがこういうことを言うと、昔を懐かしんでいるように聞こえてしまって嫌ですが、やっぱり「8時だョ！全員集合」は文句なく面白い。

驚くほど手間ヒマとお金をかけて、しかも斬新なことをやっていて、あの頃が間違いなく、日本の地上波テレビの黄金期だったんでしょうね。

ただ、残念ながら「現在手を加えた部分」がことごとく不要に思えました。今のタレントの反応がワイプでインサートされていたり、令和の親子連れの映像がカットインされていたりしたのですが、蛇足だなと思いました。「面白い昔のテレビマンの作品に、今のテレビマンが手を加えてつまんなくしてる」というのは、ある意味象徴的ですね。

それは置いといて、なぜ日本のテレビには年に4回も「期末期首」があるのかというと、「クール」というよく分からないものがあるからですが、今でも必要なんですかね？　「クール」と言っても涼しいわけじゃなくて3カ月の放送期間というか、番組の契約期間なんですけど、もういっそ「クール」とか横並びで設定する必要ってないんじゃないでしょうか。

一斉に番組が始まり、一斉に終わる。そんで合間に「あまり面白くない特番だらけ」の季節がある。視聴者の都合だけ考えたら、別にバラバラに番組が始まってもいいわけですし、3カ月以上続くような長いドラマも見たいですよね。外国のドラマとか結構長いのが普通ですし。つまらない特番シーズンがなくなるとうれしい人も多いのでは。

制作者側からしても、年に4回も特番やらされるのは、正直面倒なだけですもんね、じゃあスポンサーの都合？　なんでしょうか。営業経験がないから分かりませんが、そんなこともないような気がしますよね。

なんだか分からないけど長年の慣習が当たり前のように守られていて、それがズルズル続く。日本のテレビ界のよくないところは、だいたいそこですよね。

■鎮目博道（しずめ・ひろみち）　テレビプロデューサー。1992年、テレビ朝日入社。「スーパーJチャンネル」「報道ステーション」などのプロデューサーを経て、ABEMAの立ち上げに参画。「AbemaPrime」「Wの悲喜劇」などを企画・プロデュース。2019年8月に独立。新著『腐ったテレビに誰がした？　「中の人」による検証と考察』（光文社）が発売中。