教育とエンタメの融合体験を与え続けるヤングアメリカンズとは

FUTURUS / 2014年10月12日 15時0分

全米のみならず、世界中を旅しながら人々へ”自分を表現すること・協力して何かをつくりあげること”の素晴らしさを伝えるNPO団体The Young Americans(ヤングアメリカンズ、YA)。

彼らの生い立ちとその軌跡、そして彼らが目指す未来とは、いったいどのようなものなのだろうか。


■ 誕生

1962年、LAの高校音楽教師ミルトン・C・アンダーソンは、校内オーディションを行いコーラス部を立ち上げた。そこからヤングアメリカンズの長い旅が始まる。

この時代、アメリカ社会は大きな不安の中にあった。東西冷戦と核の恐怖、ベトナム戦争とケネディ、旧世代と新世代の確執。

”新しいアメリカ”の始まりを高らかに謳うビートニクやヒッピーなどの若者たちに対し、”古き良きアメリカ”の時代を生きてきた親世代は困惑するしかなかった。

テレビに映るプレスリーの腰つきに眉をひそめ、ビートルズへの熱狂ぶりに耳を塞ぐ旧世代の期待を、YAは一身に背負うこととなる。

今までのコーラスに付き物だった宗教色を排除し、「これぞ、現代アメリカの若者の理想像」と言わんばかりのネーミング。

“こぎれい”で”ロックしない”若者たちは、瞬く間に全米保守層の注目の的となった。

クラシックやミュージカルなどを中心に、家族が安心して楽しめるレパートリーを揃えたYAは、テレビやツアー公演に引っ張りだことなる。

シニア層に人気のリゾートホテルの大ホールにてハリウッドスターばりのロングラン公演。ディナーショーも人気となり、全米ツアーも始まった。

また、建国200周年の公式イベントでもYAは”模範的アメリカ人”の役割を演じる。

若者文化や音楽シーンがディスコ一色に染まった70年代から80年代も、YAは”古き良きアメリカ”を懐かしむ人々の期待に応え続けた。

■ アメリカとYAの転機

転機はじわじわと、そして突然やって来た。

冷戦下で膨らみ続けた軍事費と、新興国日本の台頭による巨額の貿易赤字は、じわじわとアメリカ経済を蝕んだ。そのしわ寄せは、巨額の教育費削減となり、全米の子供たちを襲う。学校から教師が次々と去り、音楽やスポーツの時間が消えた。低所得者が多い地域の学校は荒廃し、大きな社会問題と化した。

YAはその活動を、全米の学校へ出張するというスタイルに移す。

アウトリーチと呼ばれる2〜3日間のワークショップで子供たちに歌やダンス、そして表現することの楽しさを伝え、最後には全員で1時間のショーを親たちに見せる。ツアー期間中は参加者の家へホームステイしながら各地を転々。子供たちやその家族もアウトリーチという体験を共有し、ともに作り上げていくことを重要視する。

”アメリカの模範を示す”という役割から、個人主義や無関心で分裂していた”人々の心を一つにする”という役割への転換だ。

■ アメリカのエンターテイメントを世界に

そして、冷戦終結と東欧の民主化は、もう一つの転機を与えた。

アウトリーチの世界ツアー開始と、非アメリカ人のYAへの参加が本格化。”模範的なアメリカの若者像”であるYAから、”アメリカ的エンタメ文化の楽しさを世界へ伝える”YAへの転換。

様々な国籍の若者が加入したことにより、現代アメリカ社会やグローバル世界の多様性がそのままYAに縮図化された。名前だけはヤング”アメリカンズ”のままだが、もはや”アメリカンズ”はアメリカ人のことではなく、多様な”アメリカ文化”を指す言葉となる。

折しもこの時期、長らく低迷していたディズニーなどアニメシーンやブロードウェイのミュージカルシーンが復活し、世界市場に向けて新しい戦略を打ち出し始めた。YAの世界ツアーは、その下地作りとしての役割も果たすことになる。

彼らはディズニーやブロードウェイのヒット作品をメドレーにして演じ、アメリカ音楽のヒットナンバーを子供たちと歌い、踊る。最後のショーを観る聴衆も含め、その影響力は計り知れない。

■ 日本にて、そして未来へ

日本もYAにとって重要な場所だ。YA初めての海外公演ツアーにも選ばれ、2006年からは毎年アウトリーチが開催される。また、多くの企業が社員研修の場としてアウトリーチを利用。

東日本大震災以降は、数ヶ月かけての東北ツアーも毎年続けられている。他人を家の中に住まわせる、という習慣が薄れた日本でも、YAのホームステイ受け入れは大人気で、高い倍率の抽選にもなるほどだ。

カリフォルニアにパフォーミング・アートのカレッジも開校し、YAとして活動しながらエンターテイメントや教育業界へのキャリアを積むことも出来るようになった。

教育とエンターテイメントを繋げるYAたちの役割は、ますます大きくなっていくことだろう。

*映像:The Young Americans、KDDIキボウのカケハシ、じぶん未来クラブ、Charlotte Dart

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