バリで話題の泥まみれ格闘技がもつ意外な役割とは

FUTURUS / 2014年10月31日 7時45分

2012年に世界遺産にも登録されたバリの棚田風景は、バリ・ヒンドゥーの宇宙観や水利システムに裏支えされ1000年にもわたり維持されてきた文化的景観だ。バリを訪れる旅人たちは、その美しさ魅了され、また癒されてゆく。

しかし、眺めるだけでは田んぼの本当の素晴らしさはわからない。バリを訪れたら、ぜひ田んぼに入ってみよう。バリの新名所、メパンティガンで。


■ 新しいマーシャルアーツ”メパンティガン”の生い立ち

テコンドーのチャンピオンとして名を馳せたPutu Witsenによって創設されたMepantigan Baliは、田んぼの泥の中で行われる総合エンターテイメント。かつてこの島で神事として行われていた”地面に人を投げて叩き付ける”という”日本の相撲”のような儀式を現代風にアレンジして生み出された。

ベースになるのはインドネシアの護身術ともいえるシラットと呼ばれる古式武術。”真実・公正・調和”などの精神性を重視した”稲穂の教え”を説くシラットは、かつてのオランダ統治時代は当局に危険視され活動を禁止された過去を持つ。

その後、日本の統治時代に米・英・蘭に対抗するゲリラ戦のために日本軍によって体系化され、それが現在の姿に至る。1960年代にはブルース・リーも自ら創設した武術に取り入れたことにより世界的に認知された。

メパンティガンは、このシラットとバリの神事を巧みに組み合わせ、テコンドー・空手・柔道・中国武術・サンボ・カポエイラ・ルチャリブレ・プロレスなど世界の格闘技の”美味しいところ”を”ごった煮”にした、新しい”エンタメ系格闘技”だ。

泥の中で”のたうちまわり”力強さや精神性を表現する姿は、まるで空手の型の様。組手では相手を倒すことよりも、互いの呼吸や投げ合うこと自体の美しさを競い、合間にバリ舞踊を織り交ぜながら戦う。男女も分け隔てなく混合し、単純な強さよりも協調性や呼吸の合わせ方、つまりは”場の作り方”を重要視する。


■ バリの精神世界と自然体験

メパンティガン・バリは体験型のエンターテイメントでもある。ツアー参加者は、バリの伝統的な食事をとり、泥の中で瞑想し、ヤシの木に登り、棚田を走り回り、泥に投げつけられる。近代バリ・ヒンドゥー以前のシャーマニズム全盛時代の部族民のように全身けばけばしいペイントをし、泥の中で雄たけび、川に飛び込む。

泥の中でのヨガは、女性観光客に人気のプログラムだ。肌がカエル・・・ではなくイルカの肌のようにしっとりとツルツルになるという。呼吸を整えた後は、自然と一体化し、腹の底から大声を出して泥の中で投げ合おう。

また、創設者のPutu氏はメパンティガンを子供たちへの情操教育として普及させることにも熱心だ。瞑想やバリの伝統的発声法で呼吸の重要性を伝え、礼儀作法を身に付けさせ、自らの体を守る術を教える。そして、都市化が進むバリにおいて、子供たちに自然との一体感や伝統文化への理解を図る。

格闘技が大人だけでなく子供たちにも人気で盛んなバリにおいて、非常に注目されている試みだ。

バリ島を訪れた際には、ぜひ泥まみれになって体感してほしい。

*写真出典:Mepantigan Bali

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