3Dプリンターで髪の毛より小さい彫刻が作れる

FUTURUS / 2014年11月22日 8時1分

アート作品である。ただし肉眼では見えない。

なぜならサイズが数十ミクロンだからだ。1ミクロンってどれくらいかって? 0.001ミリだ。髪の毛の太さが50〜100ミクロンくらいらしい。彫刻がのっているのが髪の毛の上だ。見ればわかるとおり髪の毛の直径よりもずっと小さい。

これはJonty Hurwitz氏というアーティストの作品だ。題名は「TRUST」。サイズは80×100×20ミクロン。ただし手で作ったものではない。本物の人間をキャプチャーして、3Dプリンターで製作したものだ。

また下の作品は「The First Kiss」。サイズは100×90×100ミクロンだ。


■ 最先端のテクノロジーを使ったアート

このサイズの彫刻が作れるということは、3Dプリンターの性能としてはミクロン単位ではない。ナノ単位の造形になる。これには最先端の「マルチフォトン・リトグラフィー」という技術が使われている。

液体の光硬化樹脂に紫外線を当てると、当てたところが硬化して固体になる。それが光硬化樹脂を使った3Dプリンターの原理だ。しかし、より長い波長の強い光を、顕微鏡を使って焦点を絞って照射すると、その焦点の場所だけ二光子吸収という現象が起きて、紫外線を当てたときと同じような硬化が起こるという。

この二光子吸収は非常に小さな焦点のポイントだけで起こる。その原理を応用した3Dプリンターで、このような微細な彫刻を製作したのだ。製作者のJonty Hurwitz氏は、コンテンポラリー・アートは、その時代を反映させたものでなくてはいけないと考えている。そこで最先端の科学技術を使った芸術作品を生み出しているのだ。

この二光子吸収に関する記述を積水化学のホームページに見つけた。それによると、この二光子吸収という技術は、光ディスクへの多層的な書き込みを可能にしたり、身体の中のガン細胞をピンポイントで治療することなどへの応用が考えられているもののようだ。

もちろん、そういった実用的な場面での活用こそが、テクノロジーの真価ではあるのだが、こういったアート作品には、そのテクノロジーの”すごさ”を直感的に思い知らせるパワーがある。

*出典:Jonty Hurwitz -nano-、積水化学工業-自然に学ぶ研究事例-

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