「みかんは◯◯に効く」来年は農林水産業に注目か

FUTURUS / 2014年11月24日 8時1分

日本人の果物摂取は、海外と比べてかなり少なく、2009年度の1人1日あたりの果物消費量国際比較(データ/農林水産省)では、1位イタリア 426gに比べ、日本は144gで、176ケ国中127位でした。

その理由として、海外の国々では果物を野菜感覚で料理に使用し、加工品のバリエーションも豊富ですが、日本では果物を料理にはあまり使わない食文化だったという背景があります。

また近年の国民栄養調査で、特に20~40歳代は果実の摂取量は1人1日 50~70g台。厚生労働省が推奨する「健康日本21」における摂取目標200gの3分の1程度です。果実を食べない理由として、皮をむく手間などが面倒であること、そして日本の果物の値段が海外よりは高めで、一人暮らしの若者には手がでにくいといった側面があげられます。

例えば、みかんは最も庶民的な果物の一つで、かつてはこたつとみかんは冬の風物詩でした。しかし核家族化が進み、また70年代になり農産物の輸入自由化されると、みかんの消費量も低下し、農家の経営もたいへん厳しい状況にあります。

日本の国民の健康や暮らしが安定向上し、経済活動も活性化するため、現行制度の規制緩和が求められ、2015年度から新たな食品の機能性表示が導入されることとなりました。

■ 2015年度から何が変わる?

野菜はこれまで、トクホのように「○○の上昇を抑える」など、身体の健康の維持・増進に役立つ旨の表示はできませんでした。新制度からは、保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物も、一定条件を満たせば企業の責任で機能性表示ができるようになります。

例えばみかんは、β-クリプトキサンチンという色素成分が含まれ、産官学共同での栄養疫学研究も長年取り組まれ、科学的知見も多く集積されている農産物の一つです。筆者は、2014年10月23日に開かれた「『みかんで健康』シンポジウム」に参加しました。

農研機構果樹研究所では、みかん産地の住民1,000人を対象に約10年間栄養疫学調査を行った結果、色素成分の血中濃度が高い人ほど生活習慣病のリスクが低いことがわかりました。具体的な病気の予防として明らかになった点としては、次の7つがあげられました。

1.飲酒による肝機能障害
2.高血糖による肝機能障害
3.動脈硬化
4.インスリン抵抗性(インスリンの働きが悪くなる状態)
5.閉経女性での骨粗鬆症
6.メタボリックシンドローム
7.喫煙・飲酒による酸化ストレス等

また老化予防対策や、メラニン生成抑制効果などについても研究が行われるなど、ますます注目されています。

近年は、果物は甘いから太るという間違った噂が流れており、流通に携わる人たちからは、一般農産物は「機能性をうたえないために」言い返すことができず、悔しい思いをしてきたそうです。

■ 過度な期待は禁物だが

新しい機能性表示が実施されても、食品は薬とは異なり、病気を治すものではなく、過度な期待は禁物です。ただでさえ、昨今は情報が溢れ、「○○に効く」といった玉石混淆の食品がもてはやされ、トラブルも絶えません。新制度導入にあたっては、消費者側には情報を読み取る力=メディアリテラシーの教育が不可欠と思います。

その一方で日々の食事が身体をつくり、健康を支えていることは間違いありません。新制度により、科学的根拠がある成分を含む高品質の農林水産物を後押しすることで、後継者不足や自然災害などで苦労している生産者の労が報われるように展開されることを願います。

FUTURUS

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