家電の脳波コントロールが現実味を帯びてきた

FUTURUS / 2014年12月10日 17時30分

12月4日、ATR(国際電気通信基礎技術研究所)は頭でイメージするだけで家電製品を遠隔操作できる技術を改良したと発表した。この研究はATRが島津製作所、積水ハウス、NTT、慶応大学と2011年7月から共同開発していた技術だ。

イメージで遠隔操作するとは、脳波や脳の血流の動きを捉えて家電製品のスイッチを入れることができるという技術だ。

今回発表された技術が画期的なのは、従来の類似研究では操作者の脳ががかなり集中した状態に入らなければできなかった遠隔操作を、通常の脳状態で可能にしたことだ。つまり、極端な集中力や訓練は必要無くなる。

この技術は手足が不自由な人や高齢者の生活支援に活かされることを目指しているが、その操作の容易さから、ゲーム業界も注目を始めたという。

■ 念じるだけで操作するBMI技術

今回、念じやすくしたのは脳波だけでなく、脳の血流を測定・解析したことに理由があるようだ。そのため、従来の類似技術よりも容易に遠隔操作ができ、成功率は84%にまで高まっている。

この新しいインターフェイスをBMIと呼ぶ。「ブレイン・マシン・インターフェイス」の略だ。

目指すところは、寝たきりや車椅子生活を余儀なくされている人達の生活を支援するシステムの実現で、2020年を目標としている。テレビやエアコンといった家電品を、念じるだけで操作できるようにする。

発表時に公開された実演では、頭にセンサー機器を装着した人がテレビに手を向けるだけでスイッチを入れて見せた。

これはテレビを付けようと考えたときに生じる血流の変化の仕方が分かっており、それをセンサーが感知しことで可能にしている。やはり血流がミソだ。

これが脳波だけだと、かなりの集中が必要になってしまうらしい。例えば集中するために手の動きを想像したり、暗算を行ったりしなければならなかったという。

また、一般家庭での日常使用を想定しており、装置をより小型にするために島津製作所と慶應義塾大学が携帯型脳活動計測装置を開発した。

脳の活動を計測するためには近赤外分光と脳波を利用し、近赤外分光脳計測装置はバックパックに入る程度まで小型化しており、脳波計測装置は頭皮へのクリーム塗布やジェルシートが不要なタイプを開発している。

一方、測定された脳の活動情報をクラウド上で解析する技術はNTTが開発し、大規模なデータを参照することでより精度の高い操作を可能にするという。

そして実環境実験設備(BMIハウス)はATRと積水ハウスが共同で開発し、脳情報を活用して日常生活を再現できる環境を用意した。

今回改良されたBMIでは安全性にも配慮されている。ネットワークが断絶したり、脳活動の解析ミスがあった場合でも機器は安全に制御される技術になっているという。

その安全性は3重になっており、機器自身のセンサーによる安全性、環境側のセンサーによる安全性、遠隔モニタリングによる安全性だ。

これらの3重の安全対策によって、機器が不用意に作動してしまうことは防がれるようだ。

■ 脳とクラウドが接続される世界は予想が付かない

BMIの開発では今後、数百人規模の脳情報をデータベース化して制度や機器の反応速度向上に役立てようとしている。

また、現在は高齢者や要介護者の利便性を追求しているが、ゆくゆくは一般の人を対象に、脳活動で家電を制御したり、コミュニケーション手段として活用することも視野に入れているという。

しかし、脳とクラウドが繋がる社会では、何が起きるのか、まだ想像できない部分も多くある。

*画像出典:NTT持株会社ニュースリリース

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