えっ、この言葉もダメなの?!あなたの知らない“放送禁止用語”の世界
ガジェット通信 / 2018年2月14日 23時0分
どうもどうもどうも、河原乞食歴17年の丸野裕行です!
(※編注・「河原乞食」:役者・俳優などの芸能人を卑しめていった語)
以前、私もソラトニワというラジオ局で、パーソナリティーをつとめていたラジオ番組がありました。放送禁止用語ばかり言いすぎて、1年半で打ち切りとなってしまったわけなんですけれども。
これがまぁ、土曜日の午後7時30分からのゴールデンタイムに放送する内容ではなくてですね、各業界の裏社会で生きる方をお迎えしまして、さまざまなお話を聞くという番組だったんです。
元闇金融の人からはじまり、現役のSM嬢やソープ嬢、裏風俗の人、ヤクザ、盗人、オナニストなんかもやってきまして、ウラネタ話に花を咲かせるというものでした。
しかしですよ、電波に乗せてはいけない言葉というのがありまして、再三注意を受けておりました。
僕とディレクターが上の人に……。
色々調べてみると、中には「これも放送禁止用語なの?」という言葉もありまして、今回は、「それはさすがにヤバいだろう……」というド直球の言葉ではなく、あなたが知らない“放送禁止用語”を解説していきましょう。
板前、おまわりさんすらNGのご時世
人格・人権を損なう言葉や肉体的・精神的な侮蔑の言葉は別にして、職業差別用語というものが放送禁止用語の中には数多く含まれています。
職業差別用語というわけではなく、女性蔑視の言葉としては、看護婦さんやOLさん、スチュワーデスさん、女中さん、産婆さんなどがありますが、あくまでも女性側の人権を配慮して、女性看護師さん、女子社員さん、キャビンアテンダントさん、家政婦さん、助産師などと言い換えるわけですね。
ここまでは納得できるんですが、なんと、板前さんやおまわりさん、運ちゃん、坊主、土建屋、町医者、郵便屋さん、潜水夫、パーマ屋、床屋、散髪屋、日雇いなんてのも放送上適切ではない、放送倫理規定に反する言葉とされます。
大好きな作家である中島らもさんの著書『こらっ』にもありますが、彼のラジオ番組に“虚無僧(こむそう)”という言葉が出てきて、録音が一時中断したとか。
なんでも、“虚無僧”はC級放送禁止用語になっているようです。
このように放送禁止用語とは、A級、B級、C級という風にランク分けがされているようなんですね。
例えば、少し前にフジテレビの『バイキング』にゲスト出演した小林旭が放った“キチガイ”はA級放送禁止用語で、アイスのブランドにもあった“エスキモー”がB級、虚無僧がC級に当たるわけです。なんとなくわかるような、わからないような、微妙な感覚ですよね。
ですから、時代劇に虚無僧が登場する、京都・鴨川の橋の上で托鉢をしている虚無僧にはモザイクをかけなければならないんですね。
では、同じく時代劇にも登場する忍者や浪人、岡っ引きなんてのも職業差別の言葉として扱われないとおかしいと思うんですけど……。
その他にも職業差別用語としては、百姓、人夫、親方(建設系)、代書屋、政治屋、雑用夫、土方などがあります。
「不快だ」と抗議すれば放送禁止用語になる
では、放送禁止用語はどのように決まるのでしょうか?
調べていくと、実は放送禁止用語の定義というものはほぼ存在せず、電波法などの法律とも関係せず、単なる放送事業者の自主規制の産物であることがわかりました。
もっと掘り下げると、主に、番組を観る、聴く視聴者からのクレームにより定められ、“放送注意用語”または“放送自粛用語”と呼ばれているようです。
ですから、視聴者や各団体からの抗議があれば、国営放送、民放が判断して、さらに放送禁止用語が追加されていくのです。
足切りや名門校、後進国、将棋倒し、朝鮮人参、トルコ風呂、ブラインドタッチなどは、様々な団体からの抗議で自粛されたものと言われています。
さらに広がる被害妄想の言葉狩り
最近では、放送上の自粛用語が右肩上がりに増え続けています。危険水域に入ってきているのは、“標準語”という言葉。首都・東京で使われる言葉を意味する標準語は、日本の“共通語”と言い換えられるようになってきています。
付き合いのあるテレビ関係者の話では「ウチの住んでいる地域は標準ではないのか!」「地方都市をナメている!」「東京基準で物事を考えるとは何事だ!」と地方の視聴者の苦情が多くなってきているとのこと。これからは、自粛用語になる可能性が高いと言います。
さらに危険水域の言葉が、“ハーフ”です。
ローラやベッキー、ダレノガレ明美、トリンドル玲奈、シェリーなどなどハーフタレントは非常に人気です。しかし、日本語に直せば、単純に「半分」という意味。失礼だというのです。ですから、クオーターパウンダーやピザハットのクォーターシリーズなんてのは、もってのほかです。ピザに対して失礼です。
首をかしげてしまうのは、“老人”という言葉に苦情が多いという事実。では、乳幼児や少年、青年、中年なども失礼ということになります。「誰が少年やねん! 『ガラスの少年』なんて放送禁止歌にしてしまえ!」という風になってしまいます。
さらにひどいのは、「頑張れ」という言葉まで放送禁止用語になる危機まであるということ。「努力は報われる」もそうです。武田鉄矢の『声援』も放送禁止歌に認定です。
最近、第七版が発刊された広辞苑にも記載されている言葉なのに、この言葉狩りは続いていくのでしょうか?
(C)写真AC
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