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起きた奇跡と起きなかった奇跡と。(古坂大魔王のブログンだい魔くん!)

ガジェット通信 / 2018年10月3日 17時0分

今回はピコ太郎プロデューサー、古坂大魔王さんのブログ『古坂大魔王のブログンだい魔くん!』からご寄稿いただきました。

起きた奇跡と起きなかった奇跡と。(古坂大魔王のブログンだい魔くん!)

奇跡。

その確実な割合は知らないし、きっと定義がない言葉。

でも、人は多分にある考えられない確率に起こる物を通常「奇跡」と呼んでいる気がする。

2018年9月29日…僕はスペインの首都マドリードにいる。

JAPAN WEEKEND MADRIDとこちらの大人気番組「LATE MOTIV」にピコ太郎が呼んでもらえたのである。

僕はいつもの通りプロデューサーとして帯同していた。

無論、ここにそんな数年前では考えられない、1つのどでかい「奇跡」があるのは否定しようがない。しかし、今回はそこには触れずに書きたい事があるのです。

 

今年、4月…一人の可愛らしい三歳の女の子と出会いました。

名前は「あいり」ちゃん。

ある機関を通じて出会いました。

そこは重篤な病気と闘っている子供達等に、有名著名人らが協力して、治療の活力になるのを目指して、子供達の夢などを実行したりするなどの、とても素晴らしい機関。

基本、殆どの有名著名人はそのようにしたことを、公表しないことが多い。

僕もそうしようと思っていました。

マドリードに来るまでは…。

「起きた奇跡」と「起きなかった奇跡」を感じるまでは…。

あいりちゃんの話に戻します。

その、あいりちゃん。

とても嬉しいことにピコ太郎の大ファンだったらしいのです。

あいりちゃんの敵となっていた病気は…とても治療の難しい病気。

薬の副作用により、頭髪も全てなくなる強い薬を投与したり…入院と手術を繰り返していました。

ねえ、

三歳の女の子だよ。

ちっちゃいのよ。

ちっちゃくて可愛くて。

可愛くて可愛くて…。

大人とて、堪え難い辛い治療を必死に頑張っていたんです。

そんな女の子が…

毎日ピコ太郎のDVDやYouTubeを見て笑ってくれたり踊ってくれていたらしいのです。

嬉しい話じゃないですか。

そんな話を聞いて黙ってられるピコちゃんではなく。

何とか投薬時期や体調を考慮しつつ…やっと会える日が来ました。

4月13日。とあるホテルの一部屋を借りて、その機会を作ってもらえました。

控え室でスタンバイするピコ太郎。

隣の部屋からは歌ったり笑ったりする声が聞こえる…

時間が来たので…

その「強い」あいりちゃんが待っている部屋へと…ピコ太郎は向かいました。

部屋のドアを開け元気よく登場するピコ太郎。

そこに居たのは…

ちーーーっちゃなピコ太郎だった!

ピコ太郎に扮装してくれて待っていてくれたのです。

カツラまで被ってくれてサングラスまでしてたから…もう、本当のちっちゃいピコ太郎でしかない!

飛び跳ねて喜んでくれる、あいりちゃん。

とても低い「ハイタッチ」をしに来たり、抱きついて来てくれる。

あまりの喜びように、近くにいたお母さんが横で涙を堪えきれずにいたのが心に響きました。

すぐに歌おうとするピコ太郎。

マイクスタンドもカラオケも準備済みです。

PPAPを歌い始めたら横に来て…空を飛ぶように激しく楽しそうにピコダンスを踊り始めてくれる。

本当に飛んでいるように見えたよ、あいりちゃん。

すぐにNEO SUNGLASSを歌う。

「暗い暗い…明るーい!」をピコ太郎よりも大きい声で歌ってくれる。

最後の「トントン」の可愛い声たるや…ただの天使ですよ。

何度も何度も歌をせがんでくれる、あいりちゃん。ピコ太郎も汗だくで何度も歌う。

「次何歌おうか?」

「…えと、えと…

ロミータハシミコフ!」

部屋に爆笑が起こります。

ピコ太郎も歌いながら、あまりのひどい歌詞に反省しながらも歌う。

一緒になって飛び跳ねて笑って踊るあいりちゃん。

時折…被っていたピコ太郎カツラが脱げ落ちる。

ピッカピカにツルツルになった可愛らしい頭が見えて照れ笑いする。

三歳の女の子。三歳の。

何曲歌っただろうか。

少し休憩を取りながら、ピコ太郎の膝の上に座ったあいりちゃんとのお話タイム。

ここで、お母さんに頼まれた事がたった1つありました。「来週からまたキツイ投薬治療が始まるんです。もし良ければと言ってもらえると…有難いです。。」

これは必ず言おうとしていたピコ太郎。

「あいりちゃんね、来週から…また体の悪い奴退治するんだよね?大変な…」

と、あいりちゃんは、突然視線を外して顔を横にブルブル振り、悲しい顔をしました。

聞きたくないなぁ。聞きたくないんだよなぁ。

「…兎に角頑張ろう!また会いに来るから!動画も送るから!頑張っちゃお!」

あいりちゃんは…

少しずつ、

少しずつ、

…笑ってくれました。

そこから予定時間をオーバーしてしまうほどお話ししたり、また歌って踊ったり。でも、あまり無理をすると…身体に悪いからと、そろそろ。

んー…あれ?

あいりちゃん、ひょっとして…これ…

あれ?これ…治っちゃうかもよ!

馬鹿な僕は近くで、とても近くで見ててそう思い

始めました。

奇跡が起こるかも!

難しい病気…吹っ飛んじゃうかもよ!

僕やピコ太郎にそんな力などないのは分かってます。医学こそがそれであるのも。分かってます。

でも、僕は馬鹿なんです。

信じちゃうんです。

こんなに笑って、踊って、

最後はカツラを投げ捨てて、ツルツルの頭に汗かいて…はしゃいでくれる、ちぃーーっちゃな女の子…

病気なんかに負けるはずがない!

俺らオッサンならまだしも…

こんな産まれてまだ3年の…

生きる力に漲る女の子が…

勝てる!よし勝った!

まあ、ピコ太郎の力なんて微々たるものだけど…

ほんの少しでも…ほーーーんの少しでも、完治の方向への後押しになる!

思ったりしちゃうのです。

奇跡の完治だい!どうだ!って!

その後プレゼント交換をして…また会う約束をして…その日のパーティーを閉じました。ずーーっとバイバイしてくれてました。

そこから何度か、あいりちゃんの治療経過を聞いたり。たまにお手紙をもらったり…

また大変な手術をする前、ピコ太郎は…会いたかったけど…あいりちゃんもそう言ってくれてたみたいだけど……

会うのは体調的にも厳しいと言われ、動画を送る事しか出来ませんでした。

次調子よくなったら…Can you see?I’m sushiを一緒に歌おうと思ってました。

2018年9月27日

あいりちゃんは、天国に行きました。

「奇跡」は起きませんでした。

その「奇跡」は起きないのに…

天国へと飛び立った日は…

2年前、ピコ太郎が全世界に広がるきっかけとなった…

ジャスティン・ビーバーがリツイートしてくれた…その日でした。

きっとこの事で知ってくれたはずのあいりちゃんが…その日に。。

 

…そして今日…9月29日の事です。

場所は今ここ…スペインの首都マドリード。

驚く程の大熱狂のピコ太郎ライブを終えて、お客さんからの質問に答える「Q&A」イベントは始まりました。

その時…一人の…とても可愛らしい自作のピコ太郎のシャツを着たスペインの女の子が、どうしても聞きたい質問があるのか、物凄く元気に、何度も何度も手をあげてました。

年の頃なら…8~10歳くらいかな…。

背がちっちゃくて、中々質問を取り上げてもらえてなかったので、気づいたピコ太郎が地元のMCさんにその子の質問を聞いてくれと頼んでました。

マイクを持ったその女の子が、顔を紅潮させ、しかしながら満足げにこう質問しました。

「好きな動物はなんですか?」

なんたる可愛い質問!!

なのにまた、ピコ太郎は、どうしようもないわかりづらい答えを出す。

「アルパカです!」

…アルパカぁ!!?

本当にピコ太郎はアルパカが大好きだとは思うけど…

アルパカって日本でいろんなメディアに取り上げられて大人気だけど…スペインではほとんど知られていないらしく…その女の子は

「???…分かりません?どんな動物?…んーー。わからないよぉ~。」と困っていました。

そこでピコ太郎が

「プリーズ、Google!」

女の子は大きく頷き…会場は笑いに包まれてました。

そんなやりとりがありまして…

次のイベント、サイン会です。

別室に設置した会場で100人限定、ピコ太郎お面にサインをして一緒に写真を撮る…。ありがたい事にソールドアウトしてもらって…。

スペインの方やヨーロッパ各地の方が沢山来てくれて、とても和やかにサイン会が行われているその時…

さっきの女の子が、パパを引き連れてやって来ました。

…ん?んんんん???

何と!手に持っていたのは…

レインボーカラーの…

アルパカのぬいぐるみΣ(゚Д゚;)!!??

「Googleで調べて…買ってきたの!!

探せてよかった!これ、ピコ太郎さんにプレゼント!」

どこで手に入れたぁ?!!

あれから1時間ほどしか経ってないのに!!

…泣くよ。泣くって。

ピコ太郎は驚きと喜びに満ち溢れていたが…

僕は…涙が出てしまいました。。

俺らは幸せ者だよ。。

そして…

「抱きついていい!?ねえ、ハグしよ!!」

両手を羽根のように広げてニコニコしながら…ギューーーッてピコ太郎を抱きしめる。

泣きます。

「ありがとね!…サイン書くよ…」

ピコ太郎は、海外でサインの横に名前を書く時、

スペイン語やフランス語など、文字が難しい場合スタッフに予め名前をアルファベットでメモに書いてもらってそれを渡してもらう。それを見て書くことがあるのですが…

その名前…

その名前はこう書いてありました。

「AIRI」

奇跡だ。

奇跡だよ。

あいりちゃんだよ。

少なくとも、僕はそう思って止まないんです。

奇跡が起こったんだ。

起こらない奇跡と起こった奇跡。

遠い日本とスペインの

二人の「AIRI」。

スペインの名前としてもかなり珍しいみたいで…。だとしたら、尚の奇跡。。。

今回、こんなに長く、重く、更に書かなくてもいいことを書いたのは…

この2つの…奇跡。。

起こる奇跡と起こらなかった奇跡。

これを、あいりちゃんのお母様に伝えたくて…

そして…

そして、

そんな小さくて強くて可愛くて頑張ったけど…

早すぎる死を迎えた…あいりちゃんを、

僕なりに送ってあげたくて。。

名前はあくまでも名前だし、こんなの偶然だよ!と、言う人もいるかもしれないけど…

果たして…どれくらいの確率なのか??

とんでもない確率なはず。

僕は奇跡だと思う。

そうだ。

奇跡なんだ!!

AIRIちゃん…

とても可愛いアルパカ…ピコ太郎は宝物にするって。ありがとうって言ってるよ。

Alpaca muy linda! Piko Taro dice que sea un tesoro. Estoy diciendo gracias.

あいりちゃん…

もう、辛い治療はしなくても良いよ。

痛い思いしなくても良いよ。

ピコ太郎は永遠に君のことは忘れないよ。

ゆっくり休んで。

また、面白い事するから…

一緒に踊ってあげて。

どうせ、ピコの事だから、しょうもない歌しか作らないだろうけど…

また飛び跳ねてね。

一旦…おやすみなさい。

またね。

ピコ太郎

古坂大魔王

 

 

執筆: この記事はピコ太郎プロデューサー、古坂大魔王さんのブログ『古坂大魔王のブログンだい魔くん!』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2018年10月3日時点のものです。

―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』

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