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“ラ・ラ・ランド暗黒版”?! 超キテレツな謎満載のノワールサスペンス『アンダー・ザ・シルバーレイク』

ガジェット通信 / 2018年10月13日 11時30分

フィリップ・マーロウ、リュウ・アーチャー、イージー・ローリンズ、エルヴィス・コール、アイゼイア・クィンターベイ……古典から現在まで、ロサンゼルスには魅力的な探偵が数多く生まれてきました。ハリウッドやビバリーヒルズにサンタモニカなど明るく華やかで活気に満ちたイメージの一方で、ありとあらゆる犯罪が起きてもおかしくない謎に満ちた都市。斬新すぎるホラー『イット・フォローズ』(2014)でコアな映画ファンをもうならせたデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の最新作『アンダー・ザ・シルバーレイク』は、そんなロサンゼルスの迷宮に観客を一人残らず問答無用で放り込む、超キテレツな謎満載の妄執爆裂ノワールサスペンスです!

自分には何か特別なことができるはず!と思っていながらも、仕事もやる気もなくダラダラとその日暮らしをしているサム(アンドリュー・ガーフィールド)。近所では飼い犬が殺される不気味な事件が多発していました。そんなある日、同じアパートにサラ(ライリー・キーオ)と名乗る美女が越してきます。首尾よく知り合いになれたものの、あとひといきというところで邪魔が入り、翌日再度彼女の部屋へ行くと、サラも持ち物もきれいさっぱり消えていたのです。呆然としながらも空っぽの部屋に謎の記号を見つけたサムは、まるでうさぎを追いかけるアリスのように、サラの行方を追ってLAの暗い暗い地下に足を踏み入れてしまったのでした……。

“犬殺しに気をつけろ”という物騒な落書きから始まり、大富豪の失踪事件、不気味な同人誌、狂乱のパーティ、謎の暗号、怪しい人物……意図せず探偵役となった主人公に次から次へとふりかかる奇妙な出来事は、現実と虚構の境界線をあいまいにしながら観客を驚愕の真相へと導いていきます。

白い大きな帽子をかぶった美女を探し続けていくうちに、血なまぐさい闇に引きずりこまれる主人公。ウィリアム・アイリッシュの『幻の女』を彷彿とさせる魅惑的な出だしから、ヒッチコック映画で有名なバーナード・ハーマンの楽曲にインスパイアされたという、さも何か起こりそうな不穏な旋律をバックに、物語はねじくれた方向にどんどんと進んでいきます。主人公を襲う突然の暴力や真相究明への妄執といったモチーフは、まさしくノワールそのもの。サムがLAの街を車で流すシーンの撮り方は、雰囲気のある音楽とあいまって探偵映画好きにはこたえられない場面となっています。

伏線回収や謎解きのヒントはもちろん、行方不明の富豪の車がエラリイ・クイーンの愛車デューセンバーグだったりと、ミステリファンなら絶対に見逃せないこの映画。カラフルな悪夢をすみずみまで堪能するためには、同監督の『アメリカン・スリープオーバー』(2010)を観ておくことをおすすめします。アンドリュー・ガーフィールドのファンのあなたは、クライマックスで真相に直面した時の彼の絶妙な表情に全神経を傾けてください! あのシーンだけでも全映画ファン必見です! “ラ・ラ・ランド暗黒版”ともいうべき『アンダー・ザ・シルバーレイク』。このあまりにも稀有で挑戦的でマジカルな映画体験を、一刻も早くぜひお試し下さい。

(C)2017 Under the LL Sea, LLC

【書いた人】♪akira

翻訳ミステリー・映画ライター。ウェブマガジン「柳下毅一郎の皆殺し映画通信」、翻訳ミステリー大賞シンジケートHP、月刊誌「本の雑誌」、「映画秘宝」等で執筆しています。

―― 会いたい人に会いに行こう、見たいものを見に行こう『ガジェット通信(GetNews)』

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