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腸が第二の脳と呼ばれる理由。腸内環境を決して軽視できない圧倒的な根拠とは。(note)

ガジェット通信 / 2019年10月5日 13時0分

今回は はがくんの『note』からご寄稿いただきました。

腸が第二の脳と呼ばれる理由。腸内環境を決して軽視できない圧倒的な根拠とは。(note)

 腸内細菌は少なくとも1000種類。40~100兆個の菌が私たちの腸で共に生きていると言われています。重さにして1.5kgにもなるこれらの細菌がいるのです。

 人間の細胞は60兆個といわれていますから、私たちは自分たちの細胞よりも多くの細菌と共に生きているということに!

 近年の研究で腸内環境がメンタルや他の疾患に強く影響していることが分かってきています。うつ、認知症、糖尿病などどれも根本的な治療法のない病気ばかりです。私たちは腸内環境の重要性をあまりにも軽く見積もっています。

 今回は腸内環境について簡単に、でも”ディープに”ご紹介します。

・腸が第二の脳と呼ばれる理由

・アルツハイマー型認知症を引き起こす腸内環境について

・うつ病を引き起こす腸内環境について

・糖尿病を引き起こす腸内環境について

 この記事を読んでおけば、腸内環境や腸内フローラの基本的な知識は全て網羅できます。そして、根本的治療法がないうつ病や認知症を避けるような生活を選び取ることが出来るようになります。

 知っておいて絶対に損のない”腸内環境”の話。スタートです。

腸が第二の脳と呼ばれる理由。

 専門用語では、腸‐脳軸(Gut-brain axis)とも言います。言葉の意味が分かりにくいので、もっといい名前つけてくれればよかったのに…!!と思いますが、めちゃくちゃ簡単に意味を説明すると「腸と脳はお互いに連絡を取り合ってますよ~」という意味です。は?連絡?と思ったヒト。安心してください。僕も最初はそう思いました。簡単に書くと、連絡経路は2つです。

 1つ目:直接経路

 こっちはわかりやすいです。腸と脳はダイレクトに迷走神経という神経を通して連絡しています。

 2つ目:間接経路

 腸内にある分泌細胞からは5-HTやコレシストキニン、GLP-1などのホルモンを放出し、血流にのって脳にアクセスします。また、SCFAsと言われる短鎖脂肪酸を放出して神経伝達を制御することも明らかになっています。

 ちょっとわかりにくいですが、この2つの経路を使って『腸は脳に影響を与えることが出来る』ので、腸-脳軸(Gut-brain axis)は科学的にも根拠ある理論として栄養学や神経科学分野で通説になっています。

 これが、腸が第二の脳と呼ばれる理由です。

アルツハイマー型認知症を引き起こす腸内環境。

 アルツハイマー型認知症はつい最近まで「ボケる」という言葉で表現されていたものです。特徴は何と言っても記憶障害ですが、今までできたことが出来なくなる実行機能障害や、言語能力が衰える言語障害など、症状は広範囲に渡っているのが特徴です。

 脳神経細胞は酸化ストレスによりダメージを受け、その能力が低下することが明らかになっています。これがアルツハイマー型認知症を引き起こす一つの原因となっているようです。

 腸内細菌の作るSCFAと呼ばれる物質は酸化を防ぎ、脳細胞を守ります。さらに、ビフィズス菌のような善玉菌がダイレクトに腸のコレステロール吸収を抑えることも脳を守る機能として働いているようです。その他にも、脳の記憶を司る部位である海馬の機能を維持するレプチンのレベルを増加させ、記憶障害を予防することも明らかになっています。

 加齢とともに腸内環境は悪化していく為、これらの機能が維持できなくなることが認知症の発症に関わっていると考えられています。

 実際に2016年の研究では、乳酸菌とビフィズス菌を含む薬をアルツハイマー型認知症患者に使うと、中性脂肪と認知機能が改善するというデータが発表されています。

 どの菌種をどのように投与するのが最適かまでは判明していない為、現在どの様な治療が有効なのかを世界中の研究者が探し求めています。

うつ病を引き起こす腸内環境

「名倉潤は術後のストレスが要因…うつ病の特徴」2019年8月1日『日刊スポーツ』

https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201908010000754.html

 最近だとネプチューンの名倉潤さんが発症して休業宣言をしたことでも有名なうつ病。精神的なストレスが原因になることが多いですが、腸内環境も腸。いや、超影響するって知ってました?

 いくつかのビフィズス菌と乳酸菌は腸壁のバリア形成に役立っていることが分かっています。普通の状況では腸のバリア機構のおかげで悪玉菌による毒素はわたしたちの体に影響を与えることが出来ないのですが、心理的・身体的ストレスが多い状況では腸のバリア機構はめちゃくちゃ弱まることが分かっています。そのせいで、悪玉菌が作った毒素は腸を通り抜け、私たちの脳に炎症を引き起こし、うつ病を作る原因の一つになっています。

 まだまだ研究データは矛盾している場合もあり、正確な調査が必要な状況ではあるのですが、

・ストレスホルモンであるコルチゾール分泌を減らす

・幸福感を高め、うつ病傾向を減らす

・うつ病患者に特有の腸内細菌バランスが見つかる

 などなどたくさんの研究成果が発表され、「サイコバイオティクス」と呼ばれる新しい科学分野が始まりつつあります。

糖尿病を引き起こす腸内環境

「糖尿病、初の1000万人突破:国民健康・栄養調査」『nippon.com』

https://www.nippon.com/ja/features/h00249/

 最後は糖尿病です。WHOによると、2014年に世界の成人の糖尿病発症率は8.5%に到達したと報告しています。日本人の2000万人が糖尿病といわれ、12.1%の日本人が糖尿病だと推計されています。

 糖尿病のヒトには肥満・メタボのヒトが多く強い関連があると言われていますが、このような特徴をもつ人々は腸内環境に大きな問題があることが大きな関心を集めています。

 動物実験によると、肥満のマウスの糞便を痩せたマウスに移植すると、痩せていたマウスが高確率で肥満になることが示されており、ダイエットにも腸内環境が強く関係していることが分かっています

 

もっと分かりやすく、体系的な知識を手に入れるシンプルな方法。

「あなたの体は9割が細菌」『amazon.co.jp』

https://amzn.to/2M0qBgS

 この本がとっっても参考になります!

 というのも、腸内環境や腸内細菌についてココだけで説明するのは、あまりにも膨大な量になってしまうので良い方法ではないのです。

  腸内環境は今紹介した以外にもアレルギー、自己免疫疾患、自閉症など幅広い病気や症状に関連しています。書ききれません。

この本には、

・体の表面や体内にいるたくさんの微生物と共生している。

・ヒトゲノムの数は多くはないが、多くの活動を体外の微生物にアウトソースすることで、ヒトは複雑な機能を獲得した

・抗生物質により腸内のマイクロバイオームが撹乱されると、体調が乱れたり、深刻な病気になったりする

・経膣出産で母親から受け渡される初期の細菌を、帝王切開で生まれた子どもは受け取れなくなる。

*https://booklive.jp/review/list/title_id/392594/vol_no/001より引用

など、興味深いトピックスが盛りだくさん。私のnoteで腸内環境や腸‐脳軸(Gut-brain axis)に興味を持ってくれた方ならヨダレものの知識が書いてあります。

 343ページの本ですが面白すぎて、私は一晩で読んでしまいました。(笑)

 私のnoteを読んで面白いと思ってくれるアナタなら、この本は本当にオススメです。客観的な証拠をベースに、筆者のただの感想は極限まで少なくしたうえで、現在分かっている腸内環境についての知識を”わかりやすく”・”詳細に”・”写真付きで”紹介してくれる良書。もっと幅広く知りたいアナタは是非読んでみてください。

 

引用

Luca, Maria, et al. “Gut Microbiota in Alzheimer’s Disease, Depression, and Type 2 Diabetes Mellitus: The Role of Oxidative Stress.” Oxidative medicine and cellular longevity 2019 (2019).

http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/MM1410_03.pdf

https://www.hindawi.com/journals/omcl/2019/4730539/?utm_source=researcher&utm_medium=cpc&utm_campaign=hdw_mrkt_gbl_sub_resr_pai_auth_jour_oximed_10042

 

はがくん@一歩踏み出す薬剤師

日本人は『信じるもの』が無い人が多い。 でも、宗教や権力者に従うだけの人生は面白くない。 科学は客観性を大切にする、みんなのモノです。 古典的な概念に縛られずアップデートもできます。 僕はそれを『信じて』生きていきます。 成果の出ない毎日から、一歩進み出しませんか?

https://note.mu/our_evidence

 

執筆: この記事は はがくんの『note』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2019年10月3日時点のものです。

―― 面白い未来、探求メディア 『ガジェット通信(GetNews)』

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