iOS6地図は元データや文化の差異ではなく、ずさんなエンジニアリングが原因

ガジェット通信 / 2012年9月28日 14時0分

iOS6地図は元データや文化の差異ではなく、ずさんなエンジニアリングが原因

今回は森亮さんのブログ『横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama』からご寄稿いただきました。

■iOS6地図は元データや文化の差異ではなく、ずさんなエンジニアリングが原因

iOS6の地図のお粗末さが大変大きな話題となっている。話題にしているのは地図関連の人たちだけではなく、実に広範な人たちである。それほど、スマートフォンにおいては、地図が「欠かせないもの」なのであることを改めて感じる。そして、日本のスマートフォンのおよそ3台に1台がiPhoneであることを考えると、地図をアプリに活用している多くのサービス事業者にも多大な影響が出そうだ。

私も先週のサンフランシスコ出張中にiPadをiOS6へとアップグレードして、その地図を確かめてみた。なるほど、これは品質が良いとか良くないとか言うレベルでは無くて、欠陥商品のレベルである。この状態でiOS6の標準地図として提供するのは、そもそも誤った企業方針である。

ちまたには、データソースがゼンリンではなくてインクリメントPであるからだとか、海外の地図やOpenStreetMapを採用しているからだとか、知ったかぶりのコメントや記事を目にするが、少なくとも今回の問題はデータ提供会社の責任では全然無いレベルで発生している。私の会社では、ゼンリン、インクリメントP双方のデータを業務上扱っており、その品質は知り尽くしている。少なくとも一般利用者の視点からは、その品質差をとうとうと語れるような差異はない。

また、米国と日本との地図の文化の違いだ、という指摘もある。これはあるレベルでは正しいと思うが、少なくとも今回の問題は、文化の違いが原因で発生しているレベルでは無く、ひどくずさんなエンジニアリングによって発生している。ここまでレベルの低い作業を見るに、およそプロの手がかかっているとは思われない。

どういうことかというと、まず、Appleは、インクリメントPから提供された地図データの仕様を正しく理解できていない。都市部でのニーズが高い街区ベースの地図(1/2,500系)の存在がするっと抜け落ちている。そればかりか、測地系の間違いか何かはわからないが、地物(POI)の位置がずれているし、カテゴリの当てはめがデタラメである。

次に、チェックが全くなされていない。地図作成に素人であっても、Googleマップとの比較は簡単にできる。もし、日本の主要都市を数カ所ずつサンプリングして比較を、ただの一度でもしていたのであれば、iOS6の地図が、とんでもない低レベルであることは「一目瞭然」である。つまり、そうした基本的な作業を怠っている。あり得ないエンジニアリングプロセスだ。

ともあれ、お粗末さも極まれり・・というところだ。Appleも平気でこのような失態を演じるものなのだ・・

私は日本の「デジタル地図」をずっと見てきてかれこれ20年になるが、ゼンリン、インクリメントP、アルプス(今のヤフー)などの地図会社各社が切磋琢磨しながら上げてきた品質をリセットするような、とんでもない代物を出してきた。20年に1度の「記念碑的」事件とも言える。

さて、この先どうなるのだろう?もし、Appleが地図の品質のどこに問題があるのかを認識できていて、地図データ処理のプロの手によって作業が行われるのであれば、品質を改善するのには2~3ヶ月でやってやれないことは無さそうだ。ただ、そんなにスムーズに行くとも思えない。さらに北米以外の全世界的に地図の問題がありそうなので、そこも考えると日本の地図の改善には半年から1年は少なくともかかるのではないだろうか。気長に待とう。

執筆: この記事は森亮さんのブログ『横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama』からご寄稿いただきました。



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