超便利なキュレーションサービス「SmartNews」は果たして平和に存続できるのか?
ガジェット通信 / 2013年1月31日 20時30分
iPhone用に提供されているニュースアプリの「SmartNews」が、いい意味でも悪い意味でも注目を集めている。
SmartNewsは現在話題となっているニュースの記事を集め、毎日自動的に配信してくれるアプリ。自分のTwitterアカウントを登録しておくと、フォローしている人たちが話題にしているニュースも収集してくれる。
実際に使ってみたところ、レイアウトや操作性に優れており、集めてくるニュースの精度もかなり高く、利便性は非常に高い。少なくともウェブ上で話題になっている主だったニュースは、このアプリひとつでほぼまかなえるといっていいだろう。
ちなみにこの手のニュース収集・まとめサービス、一般的にキュレーションサービスと呼ばれるものはこれまでにも多数登場している。TwitterやFacerbookアカウントを登録することで自分に合った記事を収集してくれるものとしては、最近だと「Gunosy」、少し前だと「Paper.li」が話題になったと記憶する。
ユーザー自身が何らかのテーマでウェブ上のデータをまとめるサービスも多い。Twitterの発言をまとめられる「togetter」や、もっと幅広いウェブサイトを扱える「NAVERまとめ」あたりが代表格か。「はてなブックマーク」を中心とするソーシャルブックマークサービス各種や、2ちゃんねるのまとめサイトなども、広義のキュレーションサービスといえるかもしれない。
SmartNewsはこうしたキュレーションサービスの進化系として登場し、各種ブログで絶賛された。そしてすぐに問題視されてしまった。その理由は、大まかにいえば、ニュースの作成者に無断で勝手に記事を転載しているから、というもの。それをいったらこれまでのキュレーションサービスだって同じような気もするが、SmartNewsに搭載されている「すぐ読む」機能、どうやらこれが問題の焦点のようである。
従来のキュレーションサービスは、記事の転載というよりもリンク集のようなものだった。見出しや記事の冒頭は転載するが、本文を読みたい場合はリンク先の元記事を参照、というスタイル。しかしSmartNewsの「すぐ読む」機能を使うと、元記事から本文テキストを抽出して表示する。各サイトのデザインやサイドバーのリンク、広告などを省くため、読み込みに時間がかからず「すぐ読む」ことが可能となっている。
で、これが記事の無断転載なのではないか、とされ議論を読んでいる部分である。ニュースを読む側としては「すぐ読む」機能は便利なことこの上ない機能なのだが、記事作成者側としては困る。なぜなら元記事も読者は無料で閲覧可能だが、記事の作成にはカネがかかっており、そのカネは掲載されている広告等から得ているからだ。なのに広告等を一切省いて、しかし記事本文は丸ごと表示されてしまったら、そりゃいい気分はしないというものだ。
SmartNews側はこの声に対し、合法の範囲内と考えているとのコメントを出しており、現在もSmartNewsからは最新のニュースが配信され続けている。しかし記事作成者側はそもそも転載されることにカチンときている以上、仮に合法だったとしても怒りが静まるわけではなかろう。
ひとまずの解決策としては「すぐ読む」機能を取っ払ってリンク先は元記事の表示のみとするのが一番だが、その分表示に時間がかかることになる。だが、一度高機能を味わうと劣化版は許しがたくなるのが人間というものだ。「すぐ読む」機能がなくなることで急激にSmartNewsが人気を落としてしまう可能性は十分にある。
そこで例えば、「すぐ読む」機能は残す、「すぐ読む」画面に独自の広告を表示、広告収益から支払うという条件で各種ニュースサイトから転載許可を得る、というのはどうでしょう。とはいうものの、これだと許可してくれないサイトからのニュース収集はできなくなり、ということは今までのような精度が期待できなくなるということでもある。現在の精度と速度を保ったまま、誰もが嬉しい方法って何かないもんですかね。
(田中元)
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