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Netflix映画『ミッドナイト・スカイ』監督/製作/主演のジョージ・クルーニーに聞く「コロナ禍とのリンク」「人類の努力には価値がある」

ガジェット通信 / 2020年12月25日 12時0分

『ゼロ・グラビティ』「オーシャンズ」シリーズで知られるジョージ・クルーニーが監督/製作/主演を務める映画『ミッドナイト・スカイ』がNetflixにて独占配信中。《滅亡の危機に瀕した地球》と《広大な宇宙》を舞台に描く本作で、ジョージは、ある理由から北極に残り続ける孤独な科学者を演じます。

【ストーリー】滅亡の危機にある地球で、“ある理由”から最後の撤収便に乗らず、北極に残り続ける孤独な科学者オーガスティン(ジョージ・クルーニー)は、ある日、地球に残された謎の少女と出会い、不思議な共同生活を始めることになります。そんな中、オーガスティンは、長い探査任務を終えて地球へ戻ろうとする宇宙船の乗組員サリー(フェリシティ・ジョーンズ)らの存在を知り、交信を通じて地球の惨状を伝えるべく奔走。果たして、孤独な男は宇宙船の面々を救うことができるのでしょうか?そしてオーガスティンが地球に残ることを選択した衝撃の理由とは?

ジョージ・クルーニーさんにリモートでインタビューを敢行。作品へのこだわりについてお話を伺いました!

――本作大変楽しく拝見しました!監督・製作・主演の3役を務められていますが、同時にこなすことは簡単なことではないと思います。

ジョージ・クルーニー:僕のパートを先に撮れたのは良かったよね。そのあとで他の部分を撮影したから、最初に自分のパートに集中して演出することができた。秘訣は準備万端でいることかな。撮 るものの準備を8、9か月の間、しっかりとしていれば、カメラの前にパッと立って演技をして、カメラの後ろに戻ることはそう難しいことじゃない。準備ができているかが重要だと思う。

――地球が滅亡の危機という設定や、VRで離れた家族と過ごす宇宙船の乗組員の姿が、コロナ禍の2020年の世界とリンクして見えました。企画・撮影は数年前だと思うので偶然だと思うのですが……。

ジョージ・クルーニー:リンクはしているよ。この作品を作りたいと話し始めた当初から、良く話をしていたんだ。35、40年前に科学を否定したことで、または、軋轢や嫌悪を助長したことで、僕らがどのくらい地球を傷つけてしまったのか。劇中、何が原因で地球が滅びたかには言及していない。でもいろいろ原因はあり得る。核による大惨事や気候によるグローバルな壊滅……。でも、製作が立ち上がった当時はパンデミックは 考えていなかった。2月に撮影が終わった後は、編集においても、このストーリーを綴ることにおいても……。(コロナの存在で)そう編集せざるを得なかったんだけど。この映画も、物語も、人がいかに誰かと深く繋がる必要があるのか、いかに「home」に戻りたいのか、いかに愛する人々の近くにいたいのか、そういうことについての作品になったのは明らかだった。

――なるほど。いかに「home」に戻りたいのか、というのは本当に現実の世界と共通していますね。

ジョージ・クルーニー:家族と繋がれるVRルームや必死に繋がろうとするサリーとオーガスティン、そして「home」 に戻ろうとする彼ら。映画の登場人物だけに限らず、誰もが「home」に戻りたいと思っているんじゃな いだろうか。僕も実生活では母と父と一緒にいたい。彼らももう若くはないし。愛する人と会えずに辛い気持ちになっているのはみんな一緒だと思う。『ミッドナイト・スカイ』を観て、誰もが経験するこの人間的な葛藤には、葛藤するだけの価値があると思う。人類の核の部分にあるものは善きものなのだと、戦うに足る価値があるのだと、そう感じてもらえたらと思っている。例え全員が生きのびることができなくても、僕らが対峙するこの葛藤には戦うだけの価値がある。僕らはこの映画で、最初から、そういうところを強調したいと思っていたんだ。

――宇宙を舞台にした壮大な映画でありながら、非常にパーソナルな家族愛を内包した物語でした。 原作のどういう点に一番惹かれ、映画化したいと思ったのですか?

ジョージ・クルーニー:まず脚本を読んでから原作を読んだのだけど、ハッと理解したんだ。このストーリーは贖罪の物語なんだってことに。僕の演じるキャラクターは後悔の念でいっぱいだ。特に年を取ると、償えないし、取り戻すこともできない。その状態は人を機能不全に陥らせる。この物語が好きなのは、贖罪を深く必要としている男がそれを見つけるところなんだ。特に今はみんな(コロナで)感情的に枯渇している。だからこそ『ミッドナイト・スカイ』の終わりには希望がなければいけないと思った。人類の努力には価値があるんだと、ね。そこがストーリーの美しいところだと思ったんだ。

――疲れ果てた老人というオーガスティンのキャラクターがリアルで、ジョージ・クルーニーさんのイメージとは全く異なるので驚きました。苦労した点はありましたか?

ジョージ・クルーニー:まずだね、そこまでかけ離れていないよ。実際に年取ってきているからね(笑) 。今年60歳だよ。年齢はどんどんやってきちゃうんだよ。打つ手立ては何もないんだよ(笑)。

このオーガスティンというキャラクターは……最初は監督じゃなくて出演でのオファーだったんだけど、これはいい役だと思った。演技入門編みたいな話になるけど、『ER 緊急救命室』に出演していた時、僕は小児科医を演じていて、常に子供と仕事をしていた。キャラクターはアルコール依存症だし、女たらしでちょいワル。でもいつも子供の面倒は見ていて。すると皆「子供が好きなのか、じゃあ、いい奴だな」ってなる(笑)。 その時に、役者として「キャラクターの造形と演技の組み合わせで何でも出来る」と思ったんだ。本作でも、守らなければいけない少女がいるというだけで、観客は彼の応援をしたくなるし、少女のキャラクターがいてくれたことはオーガスティンを演じる上で大きく役立ったんだ。

――これまで監督、製作を兼ねた作品のなかでも一番スケールの大きな大作になったと思います。一番大変だったシーンと、完成した作品の手応えを聞かせてください。

ジョージ・クルーニー:一番誇らしく思っているシーンは血のバレエのシーンかな。(※怪我をしたマヤの出血した血液が空気中に漂うシーン)。映画では今まで観たことがないし。僕のアイデアだったんだよ。最初、脚本では酸素が切れってなっていたんだけど、『ゼロ・グラビティ』でもうやっていたしね。宇宙飛行士が水滴を空気中に広げて水を飲んでいる映像にインスパイアされて、VFXのチームに連絡を取ったんだ。「水の代わりに血液が、どこか踊っているような、エレガントなものにできないだろうか」って。「できると思います」って言われたから次にアレキサンドル・デスプラ(劇伴担当)に電話をして「血のバレエの音楽を書いてくれ」って言ったら、フランス人らしく「え、血のバレエ????」って言うから、「そう、血のバレエだ」って答えた(笑) 。彼は本当に美しい曲を作曲してくれた。難しい、デリケートさが要るシーンだったから、すごく誇りに思っている。

――宇宙空間の描写が印象的でした。宇宙船の造形などもすてきでしたが、美術に対するこだわりが あれば聞かせてください。

ジョージ・クルーニー:ポイントだったのは2点。まずは宇宙船そのもの。どこにでも登場しそうな見たことのあるものにはしたくなかった。プロダクション・デザイナーのジム・ビッセルがたくさんのNASAのエンジニアと会って、 未来がどんなものなのか聞くところから始めた。レーザープリンターがどう応用されているかとか、外装がケブラー素材に近いもので、それが外骨格に覆われているような宇宙船をいかにここ暫くは研究しているんだとか。それに加えて中で暮らし、植物などを成長させるなど色々な事をしなくてはならない。2つめのポイントは「K23」のデザインだった。地球とは違った外観が必要だったけど、人類が生活できそうなだけでなく、そこで生きる価値を感じさせる惑星にしなければいけなかった。ある意味、美しくなければいけなかったんだ。そこでVFXのマット・カスミールと撮影監督のマーティン・ルーエと共にデザインし、撮影したのが、まるでヨーロッパのロッキー・マウンテンのような風景。そこには代わりに木星があって、空はブルーじゃなくてオレンジなんだ。

――Netflixでの作品だからこそ、今回初めてできたこと、チャレンジできたことがあれば教えてください。

ジョージ・クルーニー:『ミッドナイト・スカイ』は僕がいつも作っているサイズの映画じゃないよね。大抵は小さい映画を作ってきた。『グッドナイト・グッドラック』なんて600万ドルだったしね。でもどの作品にも共通しているのが ーソナルな物語だという事。そして、(そういったパーソナルな物語を)Netflix はこのスケール感で作ることに同意してくれたんだ。大作だし、作っていて楽しいし、Netflix は本当に大きなスケールの物語を語る機会を与えてくれた。彼らには電話して、アクション映画ではないことは伝えたんだよ。アクションの場面はあるけど、人類という存在を瞑想・熟慮(メディテーション)する作品になるし、ペースもゆっくりで、静かで、ある意味、沈黙がキャラクターになる映画だと言った。そしたら、Netflix は「オッケー」って言ってくれたんだ。すごいことだよね。Netflix のことはリスペクトしているよ。

――近年、アルフォンソ・キュアロンやスティーヴン・ソダーバーグ、チャーリー・カウフマンら、過去にクルーニーさんが仕事をしてきた映画人がNetflixで作品を発表しています。彼らと同じくクルーニーさんはスクリーンで映画を観て育ってきたと思いますが、彼らが Netflix で作品を発表することに刺激を受けたりはしましたか?

ジョージ・クルーニー:僕が仕事をしているNetflixの人たちはみんな知り合いなんだよ。映画部門を率いるスコット・ストゥーバーもユニバーサルのトップ時代から知っているし、正直言って、Netflixと仕事をするのは映画のスタジオと仕事をするのと何ら変わらない。唯一の差が(観客への)アクセスと、作品を届ける能力だ。『ミッド ナイト・スカイ』は65mm で撮影したから巨大なIMAXのスクリーンでも楽しめるし、大きなスクリーンで 体験してもらうことも想定して作ったけど、パンデミックの今、学校や教会に行っちゃダメなのに、「僕の映画は映画館で観てね」とは言えないよ。だから、僕たちとしては Netflixと組んでこの作品を作ったこ とは本当に本当に運に恵まれていたと思っている。

――今日は貴重なお話をたくさん聞かせていただき、ありがとうございました!

『ミッドナイト・スカイ』Netflixにて独占配信中!

【動画】ジョージ・クルーニー主演『ミッドナイト・スカイ』予告編

https://www.youtube.com/watch?v=yGtANmgQUFk

―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』

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