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「フリー化・無料化」という引力 ~それでもネットでカネを稼いでいく方法~

ガジェット通信 / 2013年2月27日 18時0分

「フリー化・無料化」という引力 ~それでもネットでカネを稼いでいく方法~

今回はnumb_86さんのブログ『正義と微笑』からご寄稿いただきました。

■「フリー化・無料化」という引力 ~それでもネットでカネを稼いでいく方法~

あらゆる分野で、無料化が進んでいる。

ゲームも、音楽活動も、あらゆる領域でそれは進むだろう。情報や文化は、どんどんタダに近づいていく。様々な分野の論者が、それを論じている。

「パズドラをダシにソシャゲを語るよ」 2013年02月04日 『島国大和のド畜生』

http://dochikushow.blog3.fc2.com/blog-entry-2497.html

「「同人化」する文化」 2012年08月03日 『sociologbook』

http://sociologbook.net/?p=406

要因は様々だ。

インターネットによって、発信や交流が容易になったこと。

ツールや機材が進化し、敷居が低くなったこと。

あらゆる情報がデジタル化して、複製や拡散が簡単になったこと。

様々な要因が複合的に、絡み合っている。

とにかく、この流れは決定的で、この事実は誰も否定出来ない。

これは引力であり、逆らえない。あらゆる情報や創作物の価格が、限りなくゼロに近づく。

当然、作り手は困る。食っていけない。制作費も生活費も捻出できない。

とはいえ、恩恵もある。

創作や表現、発信が容易になった、それ自体は素晴らしいことだ。誰もが表現者になれる。

作り手が増えればその分、その分野の文化は豊かになる。多様なものが生まれるだろう。

また、無料になることで、誰もがそれらの情報や文化を享受できるようになった。無料で消費できる娯楽が、爆発的に増えた。ニートとインターネットは、相性が良すぎるくらいだ。

俺個人としても、恩恵を受けている。消費者としてのみならず、作り手としても。

このブログや、なむナビ。

何者でもない素人の俺でも、全世界に向けて主張や表現を発信できるのだ。

参入障壁も既得権益もない。

ノマドライターとして契約できたのも、簡単に発信ができる世の中だからこそ。ネットがなければ、こんな機会は得られなかったはずだ。

しかしそうは言っても、やはり、創作物に対してろくな対価を得られないというのはまずい。

俺みたいなペーペーが食えないのはともかく、かなりの労力を割いている作り手まで食えないのは、よくない。

「カネの回らないコンテンツは衰退する?」 2012年10月11日 『phaの日記』

http://d.hatena.ne.jp/pha/20121011/1349959001

「本業」としてやっていける人がいなくなれば、やはり、衰退するのではないか。無くなりはしないだろうが、創作物のクオリティは全体的に下がるように思う。裾野の広さこそが、豊かの源泉だと俺は思っている。

どれだけ質の高いものをつくってもそれがカネにならないのであれば、本業にはならない。それに全力を注ぎ込むことは難しくなる。

いくら「評価」や「名誉」を得られようとも、それで腹は満たされない。

分野によっては、質の高い作品を作るためには資金が必要な場合もある。素材や資料などを揃えるために。

情報の無料化は進むが、それ以外は簡単には無料化しない。

情報の無料化によって、作り手自身も、たくさんの情報を摂取できるようになった。素材や資料を無料で得られることもあるかもしれない。それは素晴らしい。だが、情報では腹はふくれない。寒さも防げない。モノも買えない。食料も、衣服も、住居も、貨幣がなければ入手できない。いくら情報を無料で得られても、それだけでは生きていけない。生きるためには、カネを、貨幣を得なければらないのだ。

***

では、どうすればいいのか。

対策には、大別して二つの方向性がある。

一つは、フリー化そのものを食い止めようというタイプ。

フリー化は引力であるからどうにもならないが、少しでもそれを押しとどめる。

ダウンロード罰則化も、このタイプと言えるかもしれない。マイナス面のほうが大きく支持できないが、少しでもフリー化に抗う動きと見れなくもない。

罰則を設けることはしなくても、「タダなのはおかしい! 文化が崩壊する!」と訴えたり。無料化とはちょっと文脈が違うけど、日本の伝統文化の一部も、これだと思う。収益が立たないけれど、国や自治体に保護してもらうことで、成り立たせる。

あとは、エコやフェアトレードなどの考え方を取り入れるとか。「この商品は環境に優しいです」とか「この商品を買うことが途上国への支援になります」みたいな感じで、商品に付加価値をつける。そうすることで、消費者は進んで、カネを払うようになる。情報そのものはタダだが、そこに付加価値を付けることで、無料化を防ぐ。

もう一つは、フリー化してしまうのは不可避の前提として受け入れ、そのうえで、対策を考えるタイプ。

情報が無料化してしまうのは仕方ないと受け入れ、別の方法で対価を得ようとする。

一時期話題になった「フリーミアム」は、この一種だと言える。

基本的なサービスや情報は無料で提供し、それに満足できないコアユーザーを対象に、高度なサービスや情報を有料で提供する。一番わかり易いのは、グリーやモバゲーなどのソーシャルゲーム。他には、新聞社などの有料サービス。基本的な記事は無料だが、より深い考察記事などは、一部有料になっている。

このブログは「はてな」のサービスを使っているが、これもフリーミアム。基本はタダだが、より高度な機能を利用するためには、有料会員にならなければならない。

フリーミアム以外の手法としては、広告収入がある。サービスや情報の一部に広告を表示することで、広告主から広告料をもらう。

「はてな」はこれも導入している。無料会員のブログには、広告が出る。このブログもそうだ。

やったことはないから分からないが、スマホの無料アプリ(ゲームなど)も、広告が付いているものが多いのだろう。新聞社のサイトやウェブメディアも、大抵は広告がついている。ニート界の星であるphaさんも、そうだ。自作のウェブサービスに広告を付けている。

最近知ったが、動画による広告収入、というのもあるらしい。

「収入源は動画投稿~急増 アマチュア映像作家~」 『クローズアップ現代』

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3309_all.html

最後に紹介するのが、評価経済。

いくら作品が無料になろうとも、素晴らしい作り手は多くの「評価」を得られる。これは変わらない。

その獲得した「評価」を武器にして、何か別の経済活動を行う。

「作品」によって手にした「評価」を活かし、「作品」以外のもので、カネを得る。

一番わかり易いのが、アルファブロガー。

ブログ記事自体は無料だから、カネにはならない。だが、素晴らしい記事をたくさん書き、多くの読者を得ることが出来れば、それを活かして経済活動を行える。書籍を出版したり、講演会やセミナーを行ったり。アフィリエイトという広告収入も、この一種かもしれない。そのブロガーに対する評判や信頼があるからこそ、紹介した書籍は購入される。

パブリックマンさんのスカイプ相談*1もそうだ。これまで積み上げた「評価」があるからこそ、氏に相談しよう、相談してみたいと、思ってもらえる。

*1:「Skype 相談サービスはじめます」 2012年02月28日 『elm200のノマドで行こう!』

http://d.hatena.ne.jp/elm200/20120228/1330402358

また、これもパブリックマンさんの事例だが、エルム・ラボ*2。詳しいことはリンク先を見て欲しいが、一種のコミュニティを運営し、それに見合うだけの会費を払ってもらう。MG(X)*3も、そうだ。有料のサロンのようなものを運営する。これらもやはり、これまでの「評価」があったこそ。彼/彼女のコミュニティに入りたいと思わせるだけの「評価」を蓄積していたからこそ、実現できた。

*2:「オンライン学習コミュニティ「エルム・ラボ」はじめます」 2012年06月05日 『elm200のノマドで行こう!』

http://d.hatena.ne.jp/elm200/20120605/1338866119

*3:「MG(X)編集部を発足しました~!」 2011年09月03日 『女。MGの日記。』

http://d.hatena.ne.jp/iammg/20110903/p1

メルマガは、フリーミアムモデルに近い。ブログは無料で公開し、そこで得たファンを有料のメルマガにつなげる。だが、コミュニティ運営の一種とも言えるかもしれない。コミュニティの会員のみが情報(メルマガ)にアクセスできるという意味で。

さらに突き進めば、経済活動(講演活動や書籍出版、コミュニティ運営など)を行わず、「評価」を直接換金することだって出来る。

phaさんが分かりやすい。自身の生活そのものをコンテンツ化することで、それを「評価」「支持」する人たちからモノやカネをもらっている。ブログ記事そのものは無料記事だが、それを読んだ一部の熱心なファンが、カネをくれる。

文脈は違うが、NPOなどの「寄付」もこの一種かもしれない。活動自体はあまり利益にならないが、その活動に共感してくれた人たちによる寄付が、活動の支えになっている。ウィキペディアが寄付を募っているのも、このパターンか。

ここまでいろいろ書いてきたが、例を出して具体的に考えてみよう。

あるアプリ開発者。素晴らしいアプリをつくった。カネをとれるレベルだと自負している。しかし、フリー化という「引力」はどうにもならない。では、どうやってカネを得るのか。

まず、フリー化に抗うという道。

フリー化に頑なに抵抗し、アプリを有料で提供する。厳しい道だが、非常に高いクオリティのアプリならば、上手くいくかもしれない。広告・宣伝に力を入れるのも重要になるだろう。

あるいは、「この売上は(より高度な)次回作への制作費にします!」とか、「この作品はこれだけのコスト(自身の生活費含む)がかかっているのだから、その分は回収したいんです!」とか、何とかして消費者に、有料であることを納得してもらう。

そして、フリー化した上で、別の方法で対価を得ようとする道。

フリーミアムの場合。基本的な機能はすべて無料で利用できるが、より高度な機能は、有料版でのみ利用できるようにする。

広告収入の場合。アプリの一部に、広告を表示する。アプリが大ヒットすれば、それなりの広告収入を得られるのではないだろうか。

評価経済の場合。アプリ開発の本を出したり、有料のプログラミング勉強会・講演会を開いたり。大ヒットアプリの開発者となれば、そういう道も見えてくるはず。その腕を見込んで、受託の仕事を得られる可能性もある。

こんな感じか。

とにかく、フリー化(無料化)は「引力」であり、それに逆らうことは誰にも出来ないのだ。どうにもならない。

その現実を見据えた上で、どうやって食い扶持を稼いでいくのか、考えていく必要がある。

***

荒削りだし、かなり長くなってしまった。だがこの記事は、書く必要があった。

会社員はもううんざりで、出来るだけ働きたくない。向いてないし。今の暮らしが、性に合っている。だからインターネットでカネを稼ぎたいし、自由にモノを作っていたい。出来ればそれで生活したい。

だが現実は、そんなに甘くはない。楽な道ではない。

だからこそ、現実を見据え、自分なりに考えを整理していく必要がある。そうしなければ生き残れない。

そのために書いた。

それにしても、phaさんやパブリックマンさん、MGさんは、本当にすごい。

俺がここに書いたことなんてとうの昔に見抜いていて、とっくに実践している。そして今はもう、次のステージに移っていて、俺には理解すら出来ないようなことを考えているのだろう。

偉大すぎる先人たちに、敬礼!

余談だが、彼らはここのところ、ソーシャルメディアと距離を取るような発言をしている。単なる「SNS疲れ」とは違う、明確な距離感。

常に未来を切り開いてきた彼らだけに、ちょっと気になる。これからはネットと距離を取るのが「未来」なのだろうか?

「ソーシャルメディアについて思うこと」 2013年02月01日 『Eiji Sakai blog(JA)』

http://elm200.tumblr.com/post/42015713589

「現代における出家」 2013年01月27日 『MGの日記。』

http://iammg.net/?p=445

この記事はnumb_86さんのブログ『正義と微笑』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年2月26日時点のものです。

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