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「お上意識が抜けてない役人のマインドを変えたい」 平井卓也デジタル担当大臣が『Clubhouse』で勉強会を公開

ガジェット通信 / 2021年2月10日 17時30分

平井卓也デジタル担当大臣が、2021年2月9日にiOS用音声SNSアプリ『Clubhouse(クラブハウス)』上で勉強会を開催。神成淳司副政府CIOがモデレーターを務め、村井純慶應義塾大学教授をゲストに迎えてデジタル庁のあり方などについて意見交換を交わしました。

同日の閣議後記者会見で、勉強会を行うことについて「2021年はより一層国民の関心を高めるためという意味で、国民目線のデジタル庁のビジョンや我が国のDX推薦策などについて、私が直接有識者と対話することによってによって、国民の皆様にダイレクトに情報発信をする場にしたい」といい、『Clubhouse』に対して「デジタル改革担当大臣としてはまず使ってみなければだめだろう」と語った平井大臣は「IT業界の社長はほぼ全員使っている。どこが優れているのかが、私自身の関心事」と述べていました。

本来、『Clubhouse』のポリシーでは「Record(録音・記録)」や他媒体での内容の掲載は禁止とされていますが、内閣府より「Clubhouseの規約に基づきスピーカーより了承を受けているため、対話内容の書き起こし・録音いただくことは可能です」という通達が出されているので、ここではその模様をレポートします。

『COCOA』は「導入の際にはあまり皆さん期待してなかったはず」

デジタル改革関連法案が閣議決定された当日に公開された勉強会。デジタル改革関連法案ワーキンググループの座長を務めた村井教授は、「通常のワーキンググループは事前に官僚がまとめてレクの準備があるが、今回は違う形。委員で提言をとりまとめた」と振り返り、平井大臣は「役所の方にもともとの設計図がなかったので、一緒に作ろうというスタンス。デジタル庁の法案準備室があって、それを体系的に追加してまとめたのが村井座長」と延べて、「霞が関は改善する事は出来ても、スクラッチで何か作るという事は苦手。まして省庁横断というのは最も苦手。民間の方と一緒にやってよかったと思う」と語りました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、デジタル化の機運が高まったことについて、村井教授は「厚労省のアプリの問題やマイナンバーの問題で、裾野が行き届いてないことが明らかになった」と指摘。接触アプリ『COCOA』について、平井大臣は「導入の際にはあまり皆さん期待してなかったはず。個人情報やプライバシーの問題を排除して、疫学調査に使えず、自己申告ベースでデータも残らないというのは、デジタルの世界ではなかなか考えられないことで、“ちょっと安心程度”のものを目指したと思う。(不具合が発覚して)逆に注目を浴びたことにより問題になった」と見解を述べました。

これを受けて、村井教授は「システムは使われてなんぼ。毎日動かすシステムは動いているか、直すところはあるか、運用することはデザインして提供するのとは別の違う力がいる」と述べたのに対し、平井大臣は『COCOA』の不具合が『Github』上で報告されていたことを見逃していたことに触れて、「エンジニアとのコミュニケーションを置き去りにしてきた。(デジタルでは)これで完成形があり得ない。エンジニアの皆さんとの対話をしながらバージョンアップしないとならない」と応じています。

村井教授はデジタル庁に期待する事として、「霞が関の完全デジタル化」と「地方行政のデジタル化」を挙げ、特に後者についてが課題だと述べました。平井大臣は「地方のシステムと国が連携していく。自治体向け予算を用意して、一緒に作っていく。共創プラットフォームではワクチン接種でも忌憚のない意見をもらっている」と語った一方で、「地方の自治体でテレワークを本気で考えているところがないように思う。そういうところをマインドセットから変えて行かなければいけない。デジタル庁では“サービス”という言葉を入れることによって、行政をサービスと思っておらず、お上意識が抜けてない多くの役人のマインドセットを変えていきたい」といいます。

また、デジタル庁が求める人材像について、平井大臣は「今までの霞が関と違った組織を作ろうということに共感してくれている人が多いと思う。今までの当たり前を当たり前だと思わないところからスタートしないといけない。新しいものを作ることに生きがいを感じる人達に集まってもらいたい 保守・管理やシステム更新ということよりも、新しい価値をどのように作るのか、行政サービスを一緒に考えてワクワクする人たちを求めたいと思う」と述べました。村井教授は「オードリー・タンのような、テクノロジーのことを全部分かっている人材がいるだろう」と話すだけでなく、「オペレーションで最後までカスタマーに満足してもらうことにこだわりがあるという人は、官民両方にいる。こうった人たちを引っ張り込んで頂くのがいいと思う」と提言しました。

平井大臣は500人体制が見込まれるデジタル庁について、「フェローとしているコアな人たち、協力者になってくれる会社のパートナーのほかに、今日(『Clubhouse』に)集まっている皆さんのような“フレンズ”を作りたい」とも語っていました。

終了後には「デジタル庁大丈夫か?」という「Room」も……

予定された30分を大きくオーバーした『Clubhouse』の「Room」を用いた勉強会では、筆者の目視で最大2600人が参加している時間帯もあり、関心の高さを示していました。また、参加者から2名が直接質問をする機会が設けられました。

ただ、平井大臣と村井教授が旧知の間柄ということもあって、抽象的な話が目立ち、細部にまで議論が及ばなかった印象を持ちました。さらに、平井大臣や村上教授らが落ちた後、モデレーターが「Room」を終了させず、中座した質問者がマイクオフで残るというシュールな事態となっていたこともあり、新たなWebサービスに知悉した人材の必要性が明らかになったようにも感じました。

勉強会終了後には『Clubhouse』で「デジタル庁大丈夫か?」といった議論を交わす「Room」が複数立ち上がっていました。とはいえ、議論の発端となること自体で試みが成功していると捉えることもできるでしょう。今後は、さまざまなアイディアや懸念点を掘り下げてキャッチアップしていくことが出来るかどうかが、成否に関わってくるのではないでしょうか。

締めの挨拶で、平井大臣は「最近はコストコのプルコギを食べている」と発言。「小分けにしてシェアできると便利」という言葉は、おそらく「共有が大事」という事を意味していると推察されますが、若干唐突感が否めなかったのはご愛嬌でしょうか。神成副CIOは「2回目も『Clubhouse』でしましょう」と提案していましたが、今後の展開を注視したいところです。

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