新人ミステリー作家・葉真中顕こと人気ブログ『俺の邪悪なメモ』運営者過去ログ抹消事件

ガジェット通信 / 2013年3月7日 12時15分

新人ミステリー作家・葉真中顕こと人気ブログ『俺の邪悪なメモ』運営者過去ログ抹消事件

第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作『ロスト・ケア』が光文社から刊行された。帯には同賞選考委員の綾辻行人氏、近藤史恵氏、今野敏氏、藤田宜永氏という、錚々たるメンバーによる絶賛コメントが並ぶ。

内容は介護を題材とした相当に骨太な社会派ミステリーとのことで、読書家たちの間でさぞかし話題だろうと思いきや、実際にはまったく異なる部分が話題となっている。

著者は葉真中顕氏。『ロスト・ケア』がミステリー作家としてはデビューとのことなのだが、実は彼ははてなダイアリーの『俺の邪悪なメモ』の管理人として数多くの読者を集める人物でもあったのである。

しかし話題となっているのは新人作家が人気ブロガーと同一人物だったことを暴かれたから、ではない。作家デビューについては本人が自身のブログできちんと報告をしている。問題は作家デビューにあたり、これまで多くの読者を集めたブログを閉鎖したことだ。

これに噛み付いたのが、やはり人気ブログ『404 Blog Not Found』を運営している小飼弾氏だ。曰く、一度世に出た作品を抹消するのは子殺しのようなもの、とのこと。

といっても、小飼氏は単純に過去ログを消すことを批判しているわけではない。単なる一ブロガーなら、過去ログを削除しようとおそらく彼に批判されるようなことはない。

小飼氏が問題視しているのは、葉真中氏が「作家」として生きることを選んだのなら、彼が発表したものは「作品」であり、「作品」とは作者だけでなく、読者のためのものでもある、ということだ。小飼氏はこの件を、Amazonが遠隔操作によって電子書籍を削除した問題、つまりは電子書籍は購読権はあるのに所有権はないのはおかしいのではないか、という問題に絡めて述べている。確かに小飼氏がいうことは説得力があるし同意できなくもない。

しかしものすごく単純に考えて、「作家」の「作品」とはデビュー後の商業ベースに則って発表されたモノなのではないか。であれば、それ以前に書かれたものは、書き手本人の判断で消してしまってもそこまで怒られる筋合いのものではないのではないか。単に『俺の邪悪なメモ』ファンだったから過去ログが読めなくなるのは嫌だという意見なら分かるし、プロ作家として生きていく上で公開しっぱなしにしておくと何か問題ある記事でもあるんじゃないのと邪推する人たちの気持ちも分からなくはないけど。

一応、現状はこうした騒動に対して『俺の邪悪なメモ』上に謝罪が掲載されるとともに、他サイトに提供された一部の過去ログがサルベージされており、騒動も沈静化しているようだが、さて新人作家の前途はいかに。

(田中元)

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