「私は大丈夫」と思わないで! コロナ禍の2021年急増している「恋愛詐欺師」の手口
ガジェット通信 / 2021年8月29日 21時0分
どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。
現在Web上で女性をターゲットにした「恋愛詐欺師」が激増中なのをご存知ですか?
「恋愛詐欺師」といえば以前であれば、結婚相談所で知り合う、異業種交流会で知り合う、そこから恋愛関係に発展して金品を巻き上げられる、というのが常套手段でした。
しかしこのコロナ禍では人と会うこともままならず、「恋愛詐欺師」との接点が絶たれたように思われます。しかし、半グレなどの参入によってその手口が様変わりしているのです。今回は女性が被害に遭わないよう注意喚起、啓蒙活動として詐欺手口をレクチャーしていきたいと思います。
SNSやチャット、出会い系アプリでカモになる相手を物色している
恋愛詐欺師は、まずSNSやチャット、出会い系アプリで女性を物色しています。コロナ禍で人と人との関係というのは希薄になり、おのおのの孤独な時間が増えていることからも、以前より出会い系アプリの登録者数も増えているとのこと。またコロナがもたらしたのは孤独だけではありません。コロナがもたらした“経済的な不安”は「結婚して生活を安定させたい」という男女が増えたということにもつながるでしょう。
そこで恋愛詐欺師は言葉巧みに自分に興味を持たせるようなプロフィールを掲載して、女性からの“一目惚れ”を狙います。
【IT企業に勤めているのでコロナ不況はあまり関係がありません。年収は1,000万円くらいです。いつも女性に裏切られてばかりなので、派手な女性ではなく清楚な女性を求めています。そんな女の子と早く出会いたいなぁ~】
多くの女性が興味を持ちそうなプロフィールと、闇バイトで拾ってきた「男前の捨て駒要員」の画像を貼りつけ、それを様々な媒体に複数掲載するわけです。これは昔流行った『スター・ビーチ』(2009年サービス終了)を真似た、サクラを使った出会い系サイトを運営していた半グレたちならチョロいものでしょう。時代は巡ってくるというものです。
女性の心理は?
サクラを使った出会い系サイトの頃とは年代が変わりましたが、今の女性たちもアプリ経由で理想の相手と出会えたと錯覚してしまうわけですね。魅力的な条件の男性のもとには複数の女性があれよあれよとコンタクトを取ってきます。そこで、複数の半グレ男女がチャットやSNSでやりとりするわけです。
そのやりとりでは、相手を褒め殺しして「早く会いたいね」「デートしたいよ」などという文言を打ち込み、心地よいやり取りで相手をその気にさせていきます。電話でしゃべりたいという相手には電話をして話しますし、FaceTimeしたいという相手には相手のプロフをしっかりと頭に叩きませて捨て駒バイト要員が対応。これが、性的脅迫(セクストーション)詐欺の手口です。
そして相手の個人情報を聞き出します。家族構成、どこで仕事しているのか、よく行く場所はどこか、付き合いのある一番の人間は誰かなどなど。個人情報をダダ漏れにさせます。
そこで改めてわいせつな写真を送らせる
数ヵ月のやりとりをしていると、自分では恋愛対象としてみている相手の本性を見抜くことができなくなってきます。疑いを持たずに信用してしまうこと……。そこで仕上げです。
【ねぇ、〇〇ちゃんの裸が見たいな】【写メで送ってよ、FaceTimeでもいいよ】
女性側は、今までやりとりをしてきて信頼しているので、その男性に嫌われたくないという強い恐怖心を抱いてしまい、断ることができなくなってしまうのです。のちに性行為の動画を取られて、リベンジポルノにもつながる状況なのですが、その男性のことしか見えなくなっているのでわいせつな画像を送ってしまうわけですね。
女性はなぜ画像を送ってしまうのか?
最近では、10代の女性も被害に遭っていますがこれは目的が異なり、恋愛詐欺師が狙っているのはあくまでも「金銭目的」です。
多くの女性は、恋愛の感情を持つ相手に対して冷静な判断をしづらくなる傾向があります。特に恋愛当初は一途なので「この人は運命の人だ」「私のわいせつ画像を悪用できるはずがない」と、自分自身を納得させます。その状態に陥った場合にはわいせつ画像を送信したり、撮影させたりすることに抵抗がなくなるのです。
理不尽な要求に応えてしまうのは「あの人のためならどんなにイヤなことでも私は何でもできる」=自分は彼のために特別なことが出来る存在であると勘違いしている発想に及んでしまうわけようです。
そこからは脅迫の日々
裸の写真は、公開されるだけではなく、金銭の要求などの脅迫に使われることもある。
ある女性は、以前交際関係にあった男性から、以前に送った裸の写真を買い取るよう要求され、「買い取ってくれないのであれば、他に買ってくれそうな人を探す」と、お金を払わなければ写真をばらまくことを示唆されたという。
<弁護士ドットコムより引用>
上記の記事の例に漏れず、筆者が実際に取材で出会った中にもこのような事案がありました。
ある日、いつも通りメールなどで会話をしていると、相手の態度が急変。「この画像をバラ撒かれたくなかったら、100万円用意しろ。貯蓄くらいあるだろ? さもないと、勤めている〇〇商事に封書で送りつけるぞ!」「同僚の〇〇ちゃんはどう思うかな」「よく行ってるお店のオーナーにも送っておくよ」などなど……。
こうして別の男に脅された段階になると、今まで恋愛感情を持っていた“彼”が電話口に出ることはありません。
泣く泣く100万円を振りこんだ被害女性も多いとのこと。こんなことがコロナ禍で続発しているというのです。
リスクヘッジに乏しい
恋愛詐欺師による被害女性の傾向として、交際した経験が少ない女性や、SNSやチャット・出会い系サイトで実際に結婚まで至るケースばかりを見ている女性、離婚を考えている主婦などがあります。こうした人たちの中には「わいせつ画像を送ることにどのような危険性をはらんでいるのか」を全くわかっていないという女性もいました。
残念ながら、自分の裸をネタされて脅迫されるという発想まで至らなかったのです。
世の女性のみなさん、コロナ禍で便利さに拍車がかかったSNSやチャット、出会い系サイトではありますが、その便利さを詐欺師たちは利用してきます。ご利用はくれぐれもお気をつけください!
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)
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