『麻希のいる世界』新谷ゆづみインタビュー「“意思や考えを持つ”ということの大切さを作品を通じて感じられた」
ガジェット通信 / 2022年1月28日 12時0分
『害虫』『抱きしめたい 真実の物語』の塩田明彦監督が、元「さくら学院」の新谷ゆづみさんと日髙麻鈴さんをダブル主演に迎えた映画『麻希のいる世界』が1月29日より公開となります。
2019年に公開された『さよならくちびる』に、新谷さんと日髙さんが出演したことをきっかけに、塩田監督が2人を想定してオリジナル脚本を描き上げた本作。2人のみずみずしい魅力によって、辛く痛いのに何よりも幸福な青春が見事に表現されています。窪塚愛流さん、井浦新さんによる共演、向井秀徳さんにより劇中歌も話題の本作。新谷さんに映画について色々とお話を伺いました。
――映画を拝見して、本当に素晴らしかったです。まず、このオファーを受けた時、どういうお気持ちでしたか?
塩田監督とは、『さよなら、くちびる』で、お仕事させていただいていて。「また、お仕事できたら嬉しいな」と思っていたので、まさか私と(日髙)麻鈴を見て、脚本を書いてくださるとは…とても驚きました。
――『さよなら、くちびる』で監督とご一緒して、どんな印象をもっていましたか?
監督はすごく優しくて、色々なお話をしてくださるんですね。『さよなら、くちびる』の打ち上げで、おすすめの映画の話とか、こういうのできたら面白いねって話をしてくださって。今回もご一緒して変わらずとても優しかったので安心して撮影にのぞめました。
――衝撃的な展開もある作品ですが、脚本を読んで抵抗や緊張はなかったですか?
緊張は、もちろんありました。最初、脚本を読んだ時点で全てを理解できたわけではないので、本当に手探りな撮影期間ではあったんですけど、その分、色々なことを考えるきっかけになって。すごく勉強になりました。
私が演じた由希は、麻希のことが好きで、麻希のためなら、全然知らない人にもついていっちゃうっていう。好きだからこそ、そういう行動をすることに衝撃を受けました。けど、あり得なくはないよなって思って。由希まで強くなくても、私の日常にも、そういうことって少なくとも多分あると思うから、共感しつつ、こんなに大胆な事を出来るくらい人を好きになるって、すごいなって思いましたね。
――監督は、お2人からイメージ膨らませて人物描写をしたそうですね。
ビックリしました。「自分が?!」って感じでした(笑)。
――すごく素敵に演じられていたと思います。監督からは、演じる上で、なにかリクエストありましたか?
「由希は、とにかく強いから」って言われていて。もちろん病気で弱い面はあるんですけど、内面は強い子。常に何かをしたいっていう意思を持っている子。でも、それを上手く表現することができていなかったんですよ。ある日、麻希に出会って、「生きるってこういうことなんだ」って分かって。「私も、こういうふうに生きたい」と、どんどん行動をしていきます。なので由希を演じるあたって「常に、強い芯、意思を持っていて欲しい」と監督に言われました。
その「強い芯がある」っていう言葉に助けられました。役としても、私としても、悩んだ時に常に芯というものを頭の中に浮かべたら、やりやすかったです。
――セリフが少な目だったり、目の表情で感情を出すシーンもありましたが、すごく由希の心情が伝わってきました。
本当ですか…!その言葉をいただけて嬉しいです。
――日髙麻鈴さんとの共演はいかがでしたか?
時々、麻希だけど、麻鈴に見えるし、麻鈴だけど、麻希に見える、役と現実が交差する時があって、すごく面白かったです。やっぱりお芝居をするときの表情というか、麻鈴の目がすごく好きで。話している時って意識しないけど、お芝居になると、相手からの目線から意志を感じことができて。麻鈴の目がすごく素敵ってことに、改めて気づきました。
――仲が良いからこそ、緊張する部分もありましたか?
いきなり麻希ちゃんになると、ちょっと寂しかったりしますね(笑)。でも、それがあるからこそ、離れてほしくないっていうのもあって、いい感じに現実と役とのギャップがあったのかなと。
「東京フィルメックス」での上映を麻鈴と隣の席で観たんです。舞台挨拶が終わってから、ちょこちょこっと二人で会場に入って。自分たちを見るから緊張して、ずっと二人で手を握りあって観ていました。終わったら二人で目を見合わせて。麻鈴とは共演以来プライベートでも話をするし、作品を通して、より一層、深くお互いを分かり合えた気がします。
――「さくら学院」卒業生の皆さんも公開を楽しみにしているでしょうね。
観てくれるかな、ちょっと恥ずかしいですね。…やっぱり恥ずかしいです(笑)。
――今回の主演経験を今後どのように生かしていきたいですか?
この作品で感じたこと、例えば意志を持つことだったり。大事だけど、普段あまり意識していないことに作品を通して感じることができたので、これから何回この作品を見ても、そういうことに気付きながら、意思や考えを持つっていうことを仕事にも生かしていきたいなと思います。由希ちゃんから学んだこと、たくさんあります。
――由希ちゃんって、カッコいいですよね。
カッコいいですよね。麻希ちゃんも。由希ちゃんは、自分が演じていて不思議なんですけど。すごく憧れの存在です。
――新谷さんが最近ハマっていることありますか?
爬虫類が好きということに、最近、気付いたんです。学校の文化祭で、爬虫類が展示されているのを見て「かわいい〜!」って思って。「ヒョウモントカゲモドキ」を飼いたいなって思っていて、それを考えている時が一番楽しいです。飼ったら報告します!
――いつか爬虫類の魅力を伝える方として動物番組に出演するかもしれませんね。
そんな日が来たら、本当に幸せです!
――2022年には新谷さんの出演作品が続々公開されるということで、こちらも楽しみです。昨年はどんな一年でしたか?
高校最後の1年ということがあって、「学生ではなくなる」というのがあったので、常に色んなことを考えなくちゃっていうプレッシャーも無意識にありつつも、すごく充実した1年でした。新しい作品から学ぶこともありましたし、色々な情報がインプットされた1年でした。だからそれをいつかアウトプットできるようになりたいです。
撮影:周二郎
『麻希のいる世界』
監督・脚本:塩田明彦 製作:志摩俊樹、山口貴義 撮影:中瀬慧
出演:新谷ゆづみ、日高麻鈴、窪塚愛流、鎌田らい樹、八木優希、大橋律、松浦祐也、青山倫子、井浦新
劇中歌:「排水管」(作詞・作曲:向井秀徳)、「ざーざー雨」(作詞・作曲:向井秀徳)
製作・配給:シマフィルム株式会社
重い持病を抱え、生きることへの希望が持てない高校2年生の由希はある日、破局的で美しい歌声を持つ同級生の麻希と運命的に出会い、バンドを結成する。そこに密かに由希へ思いを寄せる軽音部の祐介も加わり、由希の日常は一変していく。
(C)SHIMAFILMS
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