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現実と虚構の闘いの最前線は野球にあり!『プロ野球スピリッツ2024-2025』プレイレポ―あなたの妄想が生みだす虚構の野球が現実に通用するか試せ

Game*Spark / 2024年9月24日 12時0分

現実と虚構の戦いの最前線。これはSF映画とか一部のアニメがテーマにしがちなものですが、案外、野球こそがそうだと踏んでいます


昔から野球は漫画、アニメ、映画などである種の虚構……いや、観客側の妄想が大量に描かれてきた場でもありました。


ところが今はどうでしょうか? 現在の野球界で大谷翔平選手のように、野手と投手の二刀流でどちらも高い実力を持った選手がメジャーリーグで大活躍し、連日報道されるという漫画やアニメのようなことが現実になっています。人間が想像することは、わりと現実になってしまうんですよ。そういう意味でビデオゲームこそが、観客が妄想する虚構が現実になりうる可能性を試せる場と言えるでしょう。


そう、現実と虚構の闘いとはメタなSFゲームの十八番ではないのです。実は『プロ野球スピリッツ2024-2025』(以下、プロスピ2024)こそが人間の想像と現実を闘い合わせる最大の場所なのです。プレイボール!さあ現実……かかってこんかい!


圧倒的な試合風景のシミュレーション



妄想が現実に通用するかどうかを試す場という意味で、今回の『プロスピ2024』のリアリティの上昇具合はすごいわけですよ。


本作のプラットフォームはPS5に加え、シリーズで初のPC(Steam)での展開されることからわかるように、ハイエンドな機種による日本野球のハイパーリアリズムを追求しているのです。いくつか「ほぼ現実」となっている要素を見てみましょう。


・ボールの挙動がほぼ現実


なにせボールの物理挙動が、現実の試合にかなり近いものに変わっていますから。これまでの「プロ野球スピリッツ」シリーズもリアリティを追求してきたゲームでしたが、ボールの動きに関しては、ある程度はゲーム的にわかりやすい挙動にしてきたそうです。


ところが『プロスピ2024』ではボールの挙動を全面見直し。打球の空気抵抗まで加味した、現実をシミュレーションしたものに仕上げています。しかも試合中では打った際に、角度や速度のデータも表示されるトラッキングデータも実装。いわば “ゲームから現実のシミュレータ”の方向を強めているわけです。


・選手のグラフィックとモーションがほぼ現実


さらに各球団の選手たちのグラフィックやモーションも向上しています。肌の質感は産毛まで映るほどの作りこみを見せ、記者会見のスーツ姿の時にみせる普段のヘアスタイルなども再現。本シリーズではピッチングやバッティングの動きはモーションキャプチャで作られてきましたが、「プロスピ2024」ではプロ野球選手の実際の守備の動きまでも収録しています。


特に福岡ソフトバンクホークスの捕手・甲斐拓也選手との協力によって、より細やかなキャッチャーの動きも実現。さらにリアリティを上昇させています。


・スタジアムの観客たちと音がほぼほぼ現実


リアルなのは選手のパフォーマンスだけじゃありません。スタジアムの観客席も現実的になっております。


試合をプレイしている向こうで客席に座る観客たちは、老若男女が1人ずつ詰め込まれており、どういう流れで今日の試合を見に来たのかすら想像させるほど。筆者は実際の野球の試合中に、XなどのSNSで、試合を見ている人の感想が流れるのを良く見るのですが、本作の観客席を観ながら「あーこういう人が速報をポストしているのかなあ」という気持ちにもなれるほどです。


観客席からの音もまた、今回は作り込まれています。今回はPS5で、PULSE3Dワイヤレスヘッドセットを利用して試遊できました。そのため、PS5の特徴である3Dオーディオによってスタジアムの音もかなり現地に近いリアルさを感じられます。


たとえば投手としてプレイしているとき、周りから観客の歓声はもちろん、応援団の歌がホームチーム側から聴こえたり、よくよく耳をすませるとビールの売り子の掛け声まで聴こえたりするほど。この音の作りこみもまた、現実のシミュレーターとしての「プロスピ2024」を感じさせることでしょう。


ちなみに「よく聴くとスタジアムの客席からとんでもない野次が聴こえる」ということはない優しい世界なので安心してください。いやだ!そんな綺麗な世界は現実じゃない!虚構に過ぎない!野次も欲しい!そんな奇特なプレイヤーは、現実でそういう友達を呼んで
隣で文句を言ってもらいながらプレイするのがいいでしょう。筆者ならそんな友達はLINEブロックしますが。


圧倒的に現実的なゲームの野球世界で、ファンの妄想を試せるか


前作から3年。リアルだがゲーム的だったところから、今回は現実のシミュレーションへと針を進めたことで、より野球ファンが妄想を試す舞台が整ったと言えるでしょう。本作ではファン側の妄想を実現できるモードが、大きいところから小さいところまで取り揃えられています。


たとえばペナントモードはついに年数無制限でプレイ可能に。これまでは最大で30年までに制限されていたのですが、今回から制限が撤廃され、ファンがペナントの世界線の構築を可能に。年数無制限は『eBASEBALLパワフルプロ野球2022』ですでに導入されていましたが、ついに「プロ野球スピリッツ」シリーズも同じ道に足を踏み出しました。


野球殿堂博物館による「日本野球の歴史」によれば1950年に現在の2リーグ制がスタートし、現在までに74年の歴史を重ねているわけですが、本作ではそんな日本野球の歴史を上回る年数でペナントをプレイできるわけです。


ゲームという虚構で体験する100年の歴史は、現実の野球史より豊穣になるでしょうか。いや、無制限なのでプロ野球で人類誕生から現在を越える歴史も体験可能です。まあそこまでやる時間があるプレイヤーがいる確率は、地球最初の生命が誕生する確率くらい少なそうですが。


虚構の選手が現実に通用する可能性があるかを試せ!


未来に登場する可能性のある架空の選手をシミュレーションすることも遊び方によっては可能です。そう、これは現実の日本野球シミュレーターであるとともに、異様な選手が実在可能かを試すシミュレーターでもあるのです。


そうですね……。ちょっと極端な虚構がこの現実に存在したとしたらどうかを試してみましょうか。


たとえばコロンビア出身のよくわからない59歳投手「ガルシア・建児・ゲムスパ」が突如日本野球界に登場し、活躍できるかなんてシミュレーションはどうでしょうか。球界の歴史で最年長選手の活躍は、2015年に50歳で登板していた山本昌氏が有名ですが、その時の年齢を9歳も覆す選手は通用するのでしょうか?


いや、それより筆者妄想を細かく言いますと「コロンビアのソレダートから来たプロ経験がまったくない奇妙な壮年が、奇妙な形で日本球界での選手登録が実現してしまったら何が起きるか」という、なんか裏がありそうな人間が球界に入るというようなものなんですが。


あとでコアな野球ファンから「あの選手は一体何だったんだ……」と語り草になるような、記録よりも(良くも悪くも)記憶に残るような虚構が実現しうるのか、ちょっと試してみましょう。


本作でも「スピリッツ」モードで選手を作成していくゲームプレイは健在。こちらはポーカーの形式で選手のステータスを構築していくという、シンプルな遊びになっております。こうしたミニゲーム形式で獲得したポイントを、最後に各種パラメータに割り振ることで選手の初期ステータスを確定させていきます。


こうして作り上げた妄想の選手で「スタープレイヤー」モードに挑み、現実の球界に通用するかを実践できます。


ちなみに、初期ステータス設定のなかで、筆者の妄想が加速したのが選手のパーソナリティに関わる設定です。


「知力」や「分析力」といった選手の資質に関してはわかりやすいんですが、筆者が今回の妄想でツボを突かれたのが「行動力」と「トーク力」。世の中で「なぜあんなうさんくさい人が表舞台に登場するようになったのだろうか」ということが起きる背景には、口八丁と異様な行動力が裏にあるということを踏まえまして、このパラメーターを高めに設定しています。


このモードは、プレイヤーが一プロ野球選手として、試合の実践や様々なイベントをこなしながらキャリアを積んでいくのが特徴です。


筆者の妄想による選手、謎の還暦前コロンビア人・ガルシアが現代の球界になぜ登場できたかというミステリーの舞台は北海道日本ハムファイターズ。「この行動力とトーク力で新庄ビッグボスの懐に入り込んでやるぜ」という野心に満ちた瞳を持ったまま入団します。


しかし、新庄監督に下心が見抜かれているのかそうではないのか、序盤は試合に使われる機会はあんまりなかったりします。


このモードで面白いのは、試合前や休日などに選手や監督と話したりできることです。会話の選択肢によって選手の調子が変わったり、新しい能力を獲得できたりするのですが、筆者的に面白かったのはネタ的に作った選手の各種イベントでの反応です。


先述した通り、ガルシアはトーク力と行動力が高い謎の人物という設定なんですが、試合前にバファローズの他の選手と雑談すると話が盛り上がらず全員がみるみると調子を崩していったりしました


新庄監督と話をしてみたら叱られるなど散々なことに。全員がうさん臭さに気づいているのかもしれません。ようやく登板させてもらえても、なかなか活躍できないことに……。


現実、手ごわい。このようにプレイヤーの妄想は簡単に通用しないようにもできています。まあ筆者の適当な設定で通用されても困るんですが。


球団の運営から、甲子園の監督まで。


規模の大きなファンの妄想といえば、「GMとなって球団を運営してみたい」というのもあるでしょう。そんな妄想を実現するモードが「myBALLPARK」です。


このモードではプレイヤーがGM兼社長となり、選手の獲得や育成の他、球団の設備投資を行ったり資金繰りを行い、シーズンを戦っていくことが目的。ここでは球団運営側の視点から、単に試合で勝っていくだけではなく、いかにプロ野球を盛り上げていくかも重要なのが面白いところでしょう。


しかし……ここまで現実のシミュレーターとして優秀な本作ですが、明らかに「これはフィクションだろ!」としか言いようのない要素がこのモードにあります。それが秘書としてあのちゃんが登場することです。


あのちゃんを秘書にするとお菓子を分けてくれたりするイベントなどユーモアあふれるシーンが多数追加されており、ゲームとはいえモード中のGM兼社長が心配になってきます。


そんなあのちゃんですが、ゲーム中では優秀なキャラとして活躍します。本モードでは秘書に様々な権利契約を取ってきてもらい、資金を調達するコマンドがあるんですが、あのちゃんは高い「制作力」によってバンバン広告のスポンサー契約を締結させていきます。


まさかの開発チーム側からの“虚構が現実に通用するか”という、プレイヤーへの挑戦。特にサブカル~アイドルオタク兼野球ファンなら、この現実と虚構の闘いの圧力を体感できることでしょう。


ちなみにあのちゃんは、先述の「スタープレイヤー」モードにもイベントの進め方によって選手の恋人候補として登場するとのこと。「コロンビアから来た59歳の投手との恋愛が実現可能か?」とか、ぜんぜん試合とは関係がないシミュレーションもできるのでした。


ええい、球団運営も簡単に妄想が通用しない!だったら高校野球で甲子園優勝する妄想しかない!そんなプレイヤーのために「白球のキセキ」という、高校の野球部監督となるモードも用意されています。


このモードで試すとしたら弊誌Game*Sparkの持つ力がそのまま高校の野球部になったとしたらどうか?多彩な企画を行う編集部、さまざまな背景や実績を持つライターといった力を野球力(なんだそれ)に変換した瞬間、高校野球史は変わるのではないか? 「ゲムスパ高校」こそすべてを変える虚構になりうるのではないか?という問いでしょう。


本モードは簡潔なシミュレーションゲームとしての色合いが強く、監督として日々の練習を指示し、試合ではさまざまな戦術を出すことで進めていきます。


さあGame*Sparkの概念を結集させた野球部であれば鼻歌まじりで即、甲子園出場だろという感じで練習試合をやってみたんですが、まさかのコールド負け。一体どういうことなのか……ここでも妄想が簡単には通用しません。なぜだ、「あんまり部員が疲れないように休日を増やそう」という現代的な指導が間違っていたのか?


ちなみに、先述の精細な観客席の描写や、3Dオーディオのおかげで地方の高校で行われる野球の雰囲気もかなり出ており、体験してみる価値はなかなか高いです。なんというか高校のころに見た野球場の空気感さえ思い出すといいますか。いや雰囲気が出てる分、強豪校に当たってコールド負けした寂寥感まで生々しく感じてしまったんですけども


ともあれ、一選手としての人生から球団運営まで、様々な視点でファンの妄想が現実に通用するかを試せる一作に仕上がっているのは間違いありません。圧倒的な現実のシミュレーションによって、ファンの作り上げた虚構がどこまで通用するかを試せるものになっているのです。


『プロ野球スピリッツ2024-2025』は10月17日にPS5/Steamで発売を予定。リリースまでに、ファンは未来の野球で起こりうるだろう妄想を貯めておきましょう。その妄想は、やがて現実になるかもしれません。まあ、59歳でプロ野球の現役投手を続ける選手の登場はまだまだ遠そうですが。


さあぶち込めよ。現実を越えるお前の作り上げた虚構を……

一般社団法人日本野球機構承認 Konami Digital Entertainment/WBCI ©2024 SAMURAI JAPAN
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