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15世紀中世をリアルに描く『キングダムカム・デリバランスII』メディア向けイベントレポ&インタビュー!前作との繋がりや進化したポイントとは?【TGS2024】

Game*Spark / 2024年9月29日 20時30分

2024年9月26日から29日まで、幕張メッセにて開催されている世界最大級のゲーム展示会「東京ゲームショウ2024」。本イベントにあわせ、Warhorse Studiosが開発中の中世オープンワールドARPG『Kingdom Come: Deliverance II(キングダムカム・デリバランスII)』のメディア向けイベントが、プレイオン主催のもと開催されました。


2025年2月に発売が予定されている本作。開発陣によるプレゼンや試遊、そしてインタビューなど注目の内容をまとめてお届けします!


リアルな中世ヨーロッパを描くARPGの続編が登場!前作から“進化”したポイントとは


トビアス・シュトルツ=ツヴィリング氏(左)、川谷 久海氏(右)

今回作品のプレゼンやインタビュー行ってくれたのは、Warhorse StudiosのPRマネージャーであるTobias Stolz-Zwilling(トビアス・シュトルツ=ツヴィリング)氏と、コンセプトアーティストを担当する川谷久海氏のおふたり。


本作は2018年にリリースされ、世界で600万本の販売本数を記録したアクションRPG『キングダムカム・デリバランス』の続編となるタイトル。ストーリーは前作からの続きとなっており、15世紀の中世ヨーロッパ、ボヘミア(現在のチェコ)を舞台とした鍛冶屋の息子「ヘンリー」の壮絶な物語が描かれます。


建物や風土はもちろんのこと、中世を生きる人々の生活や文化を細部に至るまでを歴史学者監修のもと、徹底した考証によって再現。「リアリズム」や「圧倒的な没入感」など前作の良さはそのままに、今作ではさまざまな要素がパワーアップしています。ちなみに、前作をプレイしていなくても問題なく楽しめるとのことです。


物語が展開されるフィールドは前作の2倍にスケールアップしているほか、戦闘システムも合理化されたことによって、より直感的な操作が可能となりました。剣ではコンボを駆使した流動的な戦い方が特徴ですが、「斧やメイスで敵の頭をカチ割る」といったシンプルでパワフルな戦い方も可能です。


また、「プレイヤーの選択」もストーリーの進行上で重要となる要素。エンディングやストーリーの本筋といった部分はどのプレイヤーも共通なものの、そこに至るまでの過程は千差万別。会話中の選択肢や、プレイヤーの行動によってヘンリーの人格が変化していきます。


全体でのゲームプレイ時間は80~100時間ほどを想定したかなりのボリュームで、戦闘以外にも多くのコンテンツが用意されています。


続いて登壇したのは、Warhorse Studiosでコンセプトアーティストを務める川谷久海氏。東京藝術大学で油絵を学び、留学で訪れたチェコの大学院から縁がありWarhorse Studiosに入社したという、ユニークな経歴の持ち主です。


川谷氏が担当している「コンセプトアート」は、映画やゲームなど作品のビジュアル全般、デザインの方向性を決定する重要なお仕事で、キャラクターのデザインはもちろん、服装や装飾、持っている道具、建物や自然といった環境、壁画や挿絵などゲーム内のイラスト…などなど、あらゆる面で携わっています。


今回のプレゼンで紹介されたのは、ゲーム内で登場する単語や文化、歴史の詳細が確認できる辞典「コデックス」機能。ゲームの進行に応じて内容がどんどんとアンロックされていき、社内の歴史学者によって監修された説明文を挿絵とともに楽しめます。


例として挙げられたのは「悪魔」で、どういった姿で描かれていたのか、中世ヨーロッパではどのように信じられていたのかなどを深く学ぶことができます。


また、日本人のデザイナーとして苦労したポイントなど貴重なこぼれ話を聞ける場面も。例えば日本人は「江戸時代」という言葉を聞いたときに、建物や人物の雰囲気など、「なんとなくこんな感じ」というイメージを思い浮かべることができますが、この感覚はどこかで学んだというわけでもなく、その土地で生活するなかで培ってきたものでもあります。


チェコ人にはチェコ人の、ヨーロッパにはヨーロッパの「ざっくりとしたイメージ」があり、川谷氏と現地の人では“なんとなく”の感覚にギャップが生じることも。「何が違うのか」というズレの具体的な言語化は、双方ともに苦労したようです。


川谷氏は実際にチェコに数年滞在したうえで、同僚からもヒアリングを重ねるなど「チェコらしさ」の感覚を養って掴んでいったとのこと。他のゲームでは味わえないような、現地の人が描いたからこその「リアリティ」や「没入感」が本作の大きな魅力であると語っていました。


自由度の高いゲームプレイではプレイヤーの「選択」がなによりも重要


プレゼンテーションの後には、実際に本作を試遊することもできました。


主人公の「ヘンリー」

今回の試遊では主人公の「ヘンリー」が、ドイツから来た剣の達人「メンハルト」と都市で出会う場面からスタートします。メンハルトは当時のボヘミアの王によって招かれていたものの、彼が到着したころには国王の交代やすでに別の剣術士たちがギルドを立ち上げており、立場のない“よそ者”として酒に溺れる自暴自棄な日々を送っていました。


自称剣の達人「メンハルト」

そんな彼に絡まれたヘンリーは路上での模擬戦を申し込まれますが、騒ぎを聞きつけた剣術士たちや評議員たちにより、「城内で許可なく剣を抜いた」として罪を追及されます。この口論となる場面では複数の選択肢が用意されており、嘘をついたり、勢いよくまくし立てたりとプレイヤーの選択によって展開が変化していきます。


選択肢は「説得」「魅了」「強制」「脅迫」などさまざまなものが用意されており、前作と同じくプレイヤーの装備や見た目、NPCからの評判といったステータスに応じて反応が変化するようになっています。布のシャツを着ている人より、ガチガチに鎧を着込んだ人に脅される方がもちろん怖いですよね。


罰金を支払うこととなったヘンリーとメンハルトですが、自身の腕前を証明するため、そして剣術士ギルドの面子を潰すために、メンハルトは相手のギルドに決闘を申し込む計画を企てます。なりゆきでメンハルトの手伝いをすることなったヘンリーは、ギルドの訓練場にある剣「ギルデンシュベルト」を盗んでくるよう依頼されます。


その剣を盗み、街の役所に掲げることで「ギルドは決闘を受け入れる」というサインになるとのこと。つまり、相手を土俵に引きずり出したところで、メンハルトが決闘を行う計画のようです。


街やギルドは人で賑わっており、白昼堂々侵入して盗むといったことはほぼ不可能です。さらに各所の扉は施錠されており、ピッキングをすることで解錠できますが、こちらも人の目があっては怪しまれてしまいます。そのため、人々が寝静まる深夜まで待機して時間を進め、真夜中に計画を遂行することになります。


忍び込んだギルド内には人がいるものの、ベッドで眠っていたり、机に突っ伏しで眠っていたりと無防備な姿を見せており、ギルデンシュベルトは簡単に盗むことができました。トビアス氏の解説によると、この盗みをバレずに成功させるかどうかでも、決闘の場面で相手の反応が変化するとのこと。


もし盗んでいるのがバレてしまうと、決闘を行う相手の装備がしっかりとしたものになり、かなり不利な戦いを強いられるようになるそうです。


自由度の高いゲームプレイのほかにもグラフィックなども注目の要素で、柱や梁が露出したデザインの「ハーフティンバー様式」と呼ばれる建物、活気のあふれる街の屋台や人々など、“その時代に生きている”という雰囲気をしっかりと感じることができます。


さらに本作では字幕だけでなくボイスもフルボイスで日本語に対応しており、試遊の範囲では翻訳などに違和感を感じるような場面が一切ありませんでした。




トビアス氏にインタビュー!日本コミュニティからの反響や前作との“つながり”は


試遊の後、トビアス氏に個別やメディア合同でのインタビューも行われました。日本のコミュニティとのエピソードや失われた風景の再現など、興味深いトピックもたくさん飛び出しています。


~個別インタビュー編~


――本作は日本語字幕だけでなく、日本語のフルボイス対応も予定されている珍しい作品です。前作を含め、日本のコミュニティからの反響はどのようなものでしたか。


トビアス氏日本のファンの皆さんからは、すごく沢山のフィードバックをもらいました。前作は日本でビックリするぐらい成功を収めており、「実際のチェコの文化や歴史はこうだったんだ、ということを知れた」「中世のことや実際に起きた出来事に興味が湧いた」といったような反応が多くみられました。


実は6月に、プラハで日本のファンの方にお会いすることがありました。その人は前作をプレイしたことでチェコに強い興味を持ち、ゲーム内で訪れた場所を実際に訪問するという旅行をしていたそうです。


本来なら秘密にしておくものですが…本作に登場するロケーションに、日本から来たスペシャルなお客様を案内することもありました。(笑)


――前作についてはどのようなフィードバックがあり、そのフィードバックを受けてどういった部分を変化させ改善していきましたか。


トビアス氏フィードバックをもとに改善した点として大きなものは、コンバットシステムが挙げられます。本作でも「実際の戦闘で使われていた動き、戦い方を再現する」という部分は変わっていませんが、動きのバリエーションを増やしたり、あまり時間をかけずとも操作をマスターできるような改善をしていきました。


もう一つ挙げられるのは、セーブのシステムです。前作では「ポーションを飲まないと任意のタイミングでセーブができない」(※シナリオの区切りのオートセーブや、宿屋でのセーブ、中断時のクイックセーブは可能)という仕様で、このあたりにも少し手を加えています。


前作ではポーションの入手も難しく、とくにキャラクターが弱い序盤は苦労する場面が多くありました。本作でもポーションによるセーブなど基本的なシステムはそのままですが、ポーションを序盤から入手しやすくなるように改善しています。


――本作は前作に比べて、2倍の広さとなったマップが用意されています。ストーリーの舞台となる地域や、訪れるバイオームなど、ロケーションにはどのような変化がありますか。


トビアス氏前作の舞台であった「ラッタイ」から、本作では別の場所に移動しています。マップは北部と南部のニ種類が用意されており、北部のほうがサイズとしては少し小さいです。


北部では森林や砂岩など自然豊かな地形がある一方で、南部のマップでは銀の採掘場や工場など発展した工業都市が描かれています。


――本作は前作に引き続き、「ヘンリー」が主人公となっています。前作と本作の間には、どれぐらいの年月が流れているのでしょうか。


トビアス氏だいたい5~6日ぐらいでしょうか。前作のラストは、ヘンリーと仲間の兵士たちが夕陽に向かって駆けていくというものでした。本作は直接的にストーリーが繋がっているため、ヘンリーと兵士たちがこちらに向かってくる、という始まり方をします。


――今回「フス戦争」をストーリーの背景に選んだ理由は、どういったものなのでしょうか。


トビアス氏この時代を取り上げた理由ですが、ゲームの題材として歴史を見たときに「興味深く、短期間のうちに狭い地域でさまざまな出来事が起こる」というところに着目しました。


戦争や内乱の直前ということで、登場人物の誰もが漠然とした不安を抱えていたり、緊張感のある空気が漂っています。そういった雰囲気も、ゲームの没入感や面白さを引き立てるような要素になっていると思います。


――前作では多数のDLCにより、コンテンツやプレイの幅をさらに広げることができました。本作でも同様に、DLCなどの展開は計画していますか。


トビアス氏前作のリリース時はセールス面などで不安があったものの、成功を収めることができました。本作も同様に多くの人がプレイしてくれることを望みつつ、キャラクターやコンテンツなどを拡張していこうと考えています。


~合同インタビュー編~


――(本作に登場する一部のNPCはWarhorse Studiosのスタッフをベースにモデリングしているという話を受けて)主人公のヘンリーも、スタジオのスタッフをベースにしているのでしょうか。


トビアス氏残念ながらヘンリーは同僚がモデルではなく、イギリス人俳優のトム・マッケイという方をキャプチャしています。メインとなるキャラクターたちは俳優を起用していますが、農夫、悪党など、サイドストーリーで登場するNPCはスタッフをベースにしています。


ちなみに私もいますが……悪党役で、重要な役割を持ったキャラクターではありません。(笑)


――ヘンリー役にトム・マッケイさんを起用した理由はなんですか。


トビアス氏彼がスタジオにテープを送ってきたことがきっかけでした。そのテープを見たクリエイティブディレクターが、「声も顔も、彼こそがヘンリーにふさわしい!」ということで決定しました。


また、作品ではハンス・カポン卿を演じているルーク・デールさんも、当初はヘンリーの役を希望していました。ですが、こちらもクリエイティブディレクターがチェックしたところ「ちょっとヘンリーとは違う…でもハンス・カポンにピッタリだ!」ということで現在の役になっています。


川谷氏ちなみに、貴族のなかにもスタッフをベースにした人物がおり、地位の高い貴族はCEOのMartin Fryvaldsky氏をキャプチャしています。


――スタッフをNPCとして登場させるとき、役の希望などをするのでしょうか?それとも、見た目など独断で判断されるのでしょうか。


トビアス氏判断はデザイナーが行っています。実際に顔を見て、どういった役割がふさわしいかを想像してキャラクターを制作します。私の場合は「悪党」ですが、CEOの場合は…さすがにウチのデザイナーも悪党にはしなかったようです。(笑)


トビアス氏と、モデリングされたキャラクター

――本作ではヘンリーとハンス・カポンが手紙を届けることになる「トロスキー城」という城は、17世紀ごろに焼け落ちてしまい、資料が残っていないという話を伺いました。そうした状況のなかで、焼け落ちてしまったトロスキー城をどのように再現したのでしょうか。


トビアス氏とてもいい質問ですね!今日はネットも繋がっているので、トロスキー城について私がガイドします。現在のトロスキー城は完全に破壊されており、遺跡のようになっています。本来この城は14世紀の末に完成したもので、本作の設定と照らし合わせると完成してから数年しか経っていないような時期です。


つまり、この城がどのような形であったのかを見られるのは本作だけ、ということになります。開発チーム内の歴史学者や美術館、建築家などから情報を集めたり、同年代に作られた他の城の建築様式を参考にしたりしながら、「このような感じであった可能性が高い」というものをオリジナルで制作しています。


ゲーム画面(左)とトロスキー城跡(右)。窓の形などに注目

――先ほどのインタビューでも、日本のコミュニティから大きな反響があったという話がありました。本作を楽しみにしているユーザーへ向けた、メッセージをお願いします。


トビアス氏まずは、本作を日本のユーザーの皆さんに向けて発表できることを嬉しく思います。本作は歴史について学ぶことができる作品で、学校の授業のように退屈なものではなく、楽しく実際の中世ヨーロッパの世界に触れて、知ることができるゲームです。


本作はまるで、“ヨーロッパに舞台を移したサムライ”の物語という風に解釈することもできるとと思います。「すべてを失ってしまった人がそこから立ち上がり、色々なことを学びながら最終的に仇を討つ」というストーリーは、日本の作品でもみられるようなものではないでしょうか。


そういったストーリーがヨーロッパではどのようにして描かれるか、600年前の世界はどんなものだったのかということを、このゲームを通じてお見せしたいと思っています。日本のファンの皆さんには、「すごくカッコイイゲームなので、ぜひプレイして楽しんでください!」と言いたいです。




15世紀の中世ヨーロッパ世界、チェコの風景や歴史をリアルに描いた『キングダムカム・デリバランスII』はPC(Steam, Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに2025年2月12日発売予定です。


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