[MOM1095]前橋育英MF渡邊凌磨(3年)_主役候補が実力見せつける2G1A
ゲキサカ / 2014年8月3日 3時30分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.2 全国高校総体1回戦 京都橘0-4前橋育英 押原公園人工芝G]
「驚くほど緊張が無くて、楽しみでしかなかった」。自然体で挑んだ夏の大舞台。前橋育英高(群馬)の注目MF渡邊凌磨(3年)がありのまま、能力の高さを見せつけた。
まずは前半3分、MF吉永大志からの長めのスルーパスをPA右に飛び出し、ボールを受けると、寄せたDFを切り返しでかわして冷静にゴール左隅に流し込む。「あそこで決めなければ上に行く選手ではない。『決める事が出来て、良かったね』ではなく、『決めなければいけない』場面だと思う。あれが当たり前の選手になりたい」。そう振り返った一撃でチームを勢いに乗せると、以降は中盤を縦横無尽に動き、ボールキープでチャンスを演出。守備にもしっかり顔を出し、攻守両面で存在を示した。
後半になってからも、見せ場は続いた。6分には右サイドでボールを持った吉永からのパスをPA外で受けるとすかさず、ゴール前に浮き球を配球し、FW青柳燎汰の得点を演出。24分には青柳とのワンツーでPA左に抜けると、GKの位置を冷静に見極め絶妙なループシュートをネットに沈めた。2ゴール1アシストと最高のスタートを切り、「この試合までに練習や試合を重ねながら、自分の持ち味を意識していたので、結果が出たのは自分だけでなくチームにとっても自信に繋がる」と満足げな表情を浮かべた。
この試合に限って言えば、満点に近いパフォーマンスを見せた渡邊だが、自身の現状には満足していない。目標とする世界一のプレーヤーになるための未来予想図を描いているが、「自分が描いていたストーリーにはまだ、ほど遠い。描いていた理想は年代別日本代表の一員として、ワールドカップに出場し、海外クラブから声がかかる活躍を見せる事だった。そして、下級生からインターハイや選手権での活躍するつもりだった」と話すように、小さい頃に描いていた予想図と今の自分にズレが生じている。
そのズレを埋めるために取り組んでいるのは日常生活からの小さな積み重ね。普段の練習から意識を高く持つ事はもちろん、「ダラダラしていたら、普通の選手。私生活から他の選手と差をつけたい」とエアコンの温度、食事や睡眠時間の管理と些細な事にも拘り、成長のきっかけを探る毎日を続ける。
元々は練習後に遊びに誘われたら、ついて行くような流されやすいタイプだったという彼がそこまで徹底するようになったのは2年前の夏の事。1年の春からAチーム入りしており、総体の登録選手にも入ると信じ込んでいたがあえなくメンバー落ち。一方で同級生のMF鈴木徳真が登録され、「プライドが傷ついた」。その事が彼の性格を変え、絶え間ない努力で、鈴木と共に前橋育英の顔として君臨するまでになったが、メンバー入りした昨年の夏はまさかの1回戦敗退に終わった。高校生活最後となる今年は描いたストーリーに追いつくためにも、頂しか眼中にない。この日の活躍は序章でしかないはずだ。
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