[総体]大会の主役へ、成長続ける大津10番・葛谷「自分の中で一番いいプレーができた」
ゲキサカ / 2014年8月7日 21時27分
[8.7 全国高校総体準決勝 大津高 1-0 前橋育英高 韮崎中央公園陸上競技場]
「残り5分が長く感じた」。大津高MF葛谷将平主将(3年)は「初めて攣りました」という足の異常を感じながらも最後まで走り切った。「しっかり後ろが耐えてくれていたので、クリアボールをボクだったり、前の一美(和成)が拾っていけば時間も過ぎていくし、相手も落ちていくと思っていました」。懸命に1点リードを守るCB倉本龍吾やGK井野太貴(ともに3年)らの頑張りに攻撃陣も応えなければならない。前線へ蹴り出されたボールをFW一美和成(2年)や交代出場のFW橋田夏希(3年)らとともに全力で追い回し、迎えた試合終了の瞬間。大津としては初となる全国大会決勝進出だったが「昨日から勝っても次があるから喜ばないようにとボク自身は思っていました」と、背番号10の視線はすでに決勝へと向けられていた。
4日の3回戦で負った右足甲の負傷を抱えながらも、日本一のために戦う10番。この試合もその戦う姿勢は非常に印象的だった。ボールを持てば、果敢にゴールへ向かって前進し、左足でシュートを放っていく。プレッシャーの中でも平然とDFの逆を取るボールコントロール技術を見せ、後半10分には絶妙なスルーパスでMF坂元大希(3年)の決勝ゴールをアシストする大仕事。そして球際で見せる逞しさ、足が攣るまで走りぬいたハードワーク、そしてチームメートを叱咤する声からは勝利への執念が誰よりも感じられた。
対戦した前橋育英にはともにU-19日本代表のMF鈴木徳真とMF渡邊凌磨がいた。自分の現在の物差しを図るためにも全身全霊で戦い、自分も彼らと変わらない位置にいることをそのプレーと勝利で証明した。その葛谷について平岡和徳監督は「満身創痍だったけれど、ボランチに14番の鈴木君がいたのでモチベーション高く、ゲームをできたんじゃないですか。珍しく足攣ったりもしていましたからね。彼のキャリアの中では大きかったと思いますね」と目を細め、葛谷本人も「今までの試合で自分の中で一番いいプレーができたと思うので、そこは自信になりました」と胸を張った。
チームの歴史を変え、自分自身にとっても非常に大きな意味のあった70分間。葛谷自身はもちろん、大津が成長を遂げたことを証明する格好の相手が決勝で待っている。東福岡高(福岡)とは6月の九州大会決勝で戦い、0-2で敗戦。U-18日本代表MF中島賢星という年代別代表選手もいる強敵と日本一を懸けて再戦することになった。「相手の10番(中島賢星)も身体も強いと思うので身体を当てられないようなプレーして、相手にストレスを与えていきたいです。九州大会で負けているのでしっかりリベンジしたいです」。大津にとって悲願の全国タイトルまであと1勝。全国舞台で成長を遂げ、準決勝で大きな「自信」を得た今大会の主役候補・葛谷は主将として、チームメートと最後の1試合を全力で戦い、勝利を掴む。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
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