代表初得点シーンを振り返る武藤「時が止まったようだった」

ゲキサカ / 2014年9月10日 4時16分

代表初得点シーンを振り返る武藤「時が止まったようだった」

[9.9 キリンチャレンジ杯 日本2-2ベネズエラ 日産ス]

 自慢の快足ドリブルでピッチを縦に切り裂いた。「ヨッチー!」の大声援に乗って後半からピッチに立ったFW武藤嘉紀(F東京)が0-0の均衡を打ち破ったのは後半6分だ。

 最終ラインのDF水本裕貴から最前線のFW岡崎慎司にロングパスが出たのに合わせてスタートすると、岡崎と競った相手DFの落としたボールが目の前に。武藤はセンターサークル付近からペナルティーアークまで約30m、素走りと変わらぬスピードのままドリブルで突き進んだ。

 背後からボールを奪いに来たDFのボディコンタクトを受けたものの、バランスを失いかけたのは一瞬だけ。粘り腰で持ちこたえ、最後は目の前にいる4人のDFをものともせずに左足を振り抜いた。

「最初はシュートのイメージはなかった。どちらかと言うと、最初の一人目のDFがファウルを狙ってくると思い、そこで倒れなければ絶対にチャンスになると思った」

 右にはFW本田圭佑、左には岡崎。ブラジルW杯で日本が挙げた全2ゴールの得点者だ。しかし武藤は、2人にパスを出すという選択肢もある状況でシュートを選択した。ボールはほんのわずかだけ対応が遅れたGKの脇を抜いてゴールに吸い込まれた。

「たぶん、あそこの早めの段階で打つと思わなかったんだと思う。パスの選択肢もある中でシュートを打つことで、キーパーも迷うと思っていたので、そこは思い切って打った」

 何というスピード、何という技術、何という度胸。「(代表デビューだった)ウルグアイ戦でだいぶ硬さも取れたので、今日はスムーズに試合に入ることができた。前半は1本のパスで深い位置に切り込みすぎているように見えたので、自分が入ったら真ん中でもらったり間に入ったりして攻撃を活性化させればいいと思っていた」と振り返る口調に興奮はない。実に冷静だ。

 ゴールした瞬間は「時が止まったようだった」と言う。「ドリブルのときも、ゴールが入ったあとも歓声が聞こえなかった。今まで経験したことのないことだった」。その声はどこまでも澄み切っており、照れは見えない。「僕の場合、狙って柔らかいボールで巻くというのが得意ではない。だから思い切って蹴ろうと思った」。プレーも気持ちも“ダイレクト”なのだ。

 後半22分には自陣でのMF柴崎岳とのパス交換から左サイドの岡崎に展開し、柴崎の代表初ゴールの起点になった。アギーレ監督は「新しく代表に来た選手がいいプレーをし、しかも結果を残した。この期間を通して何が良かったかと言えば、新しい血が注入されたということ。将来があるということだ」と新顔の活躍に目を細めた。

「最初に代表メンバーに選ばれたときは、選ばれたことに喜んでいた。今は定着したいという気持ちが強くなった」。自信と意欲を手にした22歳の若武者から目が離せない。

(取材・文 矢内由美子)

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