ゲキサカ特別インタビュー『岡田武史ブラジルW杯観戦記』中編
ゲキサカ / 2014年9月19日 17時18分
▼『岡田武史ブラジルW杯観戦記』前編
ドイツ対ブラジル ブラジル大敗退 ディフェンスに大きな穴が空いていた
コートジボワールに負けたあとも、日本のグループリーグ敗退が決まったあとも、泣きたくなるほど悔しかった。その後でがっくり来たのがブラジルの敗戦。世界的にはこちらの方が圧倒的に衝撃的だった。南米と欧州を代表する大国同士の戦いが1-7に終わるなど、だれも予想できなかったと思う。
戦う前から、力はドイツが上なのは分かっていた。それに加えてブラジルは主将のチアゴ・シウバが警告の累積で出場停止、得点源のネイマールが準々決勝で重傷を負って戦列を離れることになった。ブラジルにすれば絶体絶命のピンチなのだけれど、私は逆にそれがブラジルを開き直らせて、死に物狂いで頑張ることにつながるのではないかという淡い期待も持っていた。
試合が始まると、ドイツの良いところばかりが目立つ試合になった。理由の一つにセンターバックのチアゴ・シウバの穴がある。もしかするとネイマールの穴より、こちらの方が深刻だったかもしれない。立ち上がりはいい感じで入ったブラジルだが、すぐにディフェンスに欠陥があることが見て取れた。
本来のブラジルのセンターバックは左がダビド・ルイス、右がチアゴ・シウバという並びなのだが、左利きのダンテが左に入ることで、ダビド・ルイスは不慣れな右につくことになった。大一番、それも自分が所属するバイエルンの選手を向こうに回して戦うことに気後れしたのか。ダンテはやたらと深いポジションを取って、左サイドバックのマルセロとのバランスを大きく崩した。ドイツに決められた2点目、トーマス・ミュラーに横からの侵入を許した場面など、『なんでそんなに後ろにいるの?』と首を傾げるほど、ダンテのポジションはひどかった。
この2点目から5点目まで、ブラジルの4失点はわずか6分の間に生じた。普通ならあり得ないことである。
もともとブラジルの守備は、チアゴ・シウバとダビド・ルイスの個の力で最終的にしのぐことが多かったから、この2人のどちらかが欠けたら大量失点する危険性はあった。スペインがオランダとのグループリーグ初戦で大敗したときにも感じたことだけれど、ディフェンスリーダーの有無も、こういうときに踏ん張れるか否かの境目になる。
そういう意味で4年前のスペインにはカルレス・プジョルがいた。今回で言えば、アルゼンチンのハビエル・マスチェラーノ。こういうリーダーがいるチームはやはり大崩れしない。ドイツ戦のブラジルはその任をキャプテンに指名したダビド・ルイスに託したが、無理があったようだ。
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