[MOM1175]膳所GK陰山航平(2年)_転向5か月、GKとして初の公式戦で番狂わせ起こす

ゲキサカ / 2014年10月31日 8時49分

[MOM1175]膳所GK陰山航平(2年)_転向5か月、GKとして初の公式戦で番狂わせ起こす

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.30 全国高校選手権滋賀県予選2回戦 比叡山高 1-1(PK1-3)膳所高 野洲高G]

 土壇場での同点弾で勢いに乗り、PK戦で掴んだ勝利。膳所高が総体予選で涙を飲んだ初戦を突破出来たのはGK歴が半年にも満たない“素人”GK陰山航平(2年)の活躍があったからだった。

 毎年、国公立大の現役合格者を輩出する膳所は入学のハードルが高く、思ったように選手を集める事が出来ない。中でも足りないのはGK。「昔は困らなかったけど、最近はまったく入学してこなくなった」と山本裕幸監督がこぼすように、現在プレーする4人のGK全員が“素人”だ。

 陰山も多分に漏れずフィールドプレーヤー出身の守護神。今年の総体予選まではCBとしてプレーしていたが、敗退直後の5月末にGKが2人では怪我人が出るなど何かあった時に不安という事で、白羽の矢が立った。

 選ばれた理由は「膳所の体力テストで一番になったり、身体能力には自信があった」という事だけ。「ホンマにノリだけで選ばれただけです。先輩からのムチャブリでした」と苦笑いしたように些細な理由がコンバートの理由だった。

 迎えたこの日はCB時代も含めて、初めての公式戦。GKに転向して以来5か月間、基礎を徹底して練習したものの、緊張しないはずがない。「昨日もまったく寝られなかったし、試合の入りはガチガチだった」と振り返ったように緊張からゴールキックをあさっての方向に飛ばしたかと思えば、山本監督が「セーブの形を見れば、素人なのが丸わかりでしょ」と苦笑いしたようにキャッチミスを筆頭にGKとは思えない危うさもあった。だが、「3年生を勝たせてあげたい。自分の大会ではなく、3年生たちの大会だと思っている。『僕が勝たせてあげる』位の気持ちでいた」と気持ちでボールに必死に喰らい付き、1対1を止めるなど失点を1に抑えた。

 そして、迎えたPK戦。 練習でも一回も止めた事がないという苦手な舞台で、彼はヒーローとなった。右隅を狙った比叡山1人目のキックをドンピシャの読みで見事にセーブ。2人目のキックは読みが外れ、バーに当たりながらゴールラインを割りそうになった所を寸での所で抑えた。3人目のキッカーにこそネットを揺らされたが、4人目は止める事は出来ないながらも再びコースにしっかりと反応。ボールが右ポストに当たって勝利が決まった瞬間、「きっちり仕事をしなければダメだと思っていた」と振り返ったように、安堵からその場で崩れ落ちた。 

 自身も認めるように決して上手くはない。だが、PK戦で見事なセーブを見せたように“何かを持っている”のが彼の武器かもしれない。その運を引き寄せるのも気持ちがあったからに違いない。「3年生は本当に良い先輩たちばかりで、PK戦の前にも『陰山なら大丈夫』と声をかけてもらって、泣きそうになった」。一日でも長く先輩たちとプレーを共にしたい、という一心で次戦も勝利を手繰り寄せるはずだ。

(取材・文 森田将義)▼関連リンク
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