[MOM1279]日章学園MF河野翔太(3年)_仕掛けて良し、射止めて良しの好調MFが2発
ゲキサカ / 2015年1月1日 0時32分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 新屋高 0-2 日章学園高 駒沢]
初戦をなんとか勝ち抜いたものの、チームが狙う中盤での守備が機能せず、不満が残る試合となったのが宮崎代表の日章学園高。それでも、苦しい戦いを制すことができたのは、「今日の切り崩し役というか、キレていたのは彼でしたね」と早稲田一男監督が認める働きを見せた左MFの河野翔太(3年)がいたからだ。
立ち上がりから、思うように流れが掴めない中、最初の見せ場を作ったのは前半29分。後方からのロングボールにPA右で反応したFW村田航一(3年)のクロスを、反対サイドからゴール中央に走り込み、ダイレクトで合わせてゴールネットを揺らした。本人は「そんなに緊張もしてなかったので、いつも通り点で合わせにいった感じ」と話したが、相手DFの動きを見て自ら走り込む位置を急きょ、変更。短い時間の中でも、しっかりとボールの落下点に入って、確実にミートさせる難易度の高いプレーだった。
後半からはFW目黒貴大を起点とした攻撃で新屋に押し込まれる場面が増えたが、河野は何度も左のスペースへ飛び出し、独特の間合いを持つドリブルで2点目を狙った。試合を再び動かしたのは後半23分。村田のスルーパスにゴール前に抜け出して反応。落ち着いて振り抜いた左足シュートが決まり、新屋を突き放した。2得点とも中学時代からプレーをともにする村田のアシスト。「翔太は技術がある選手。自分が持った時に動き出してくれて、フリーになっていることが多いので必ず見るようにしている」。村田がそう話す息の合ったホットラインがチームに白星を呼び込んだ。
ドリブルと得点力で攻撃力の高さを示した河野だが、元々はボランチの選手で、サイドハーフに持ち場を移したのは昨年になってから。高校入学した直後は「守備的なアンカーという感じだった」と攻撃に自信はなかったという。だが、新たな役割を得たことで「ボランチはスペースを消したり、攻撃から守備への切り替えなど、まずは守備が一番。サイドでプレーしていると攻撃に速く移れるので、ボランチが奪ったらすぐに相手の裏というのを意識している」と動き方に工夫を始めた。変化はすぐに生まれ、持っていた攻撃力が覚醒。2年からスタメンを掴むとともに、「ドリブルしていく中で、フェイントだけじゃ抜けないと思ったので、ステップを入れるようになったら、自然と抜けるようになった」と仕掛けの切れ味も増していった。
「昨年もベスト8を経験できたけど、個人的には悔しい思いしかしていない。県大会から調子が良いので、手応えや自信はある。裏への動き出しを増やしたら、相手の駆け引きの回数が増えて、相手と距離が離れるようになった。自分の間合いでドリブルが仕掛けられたり、余裕を持ってプレーができるようになった」。そう自信を口にするように、県予選の決勝、宮崎日大高戦で2得点を奪うなど好調をキープした状態で、リベンジを狙う選手権に突入している。仕掛けて良し、射止めて良しの今の彼を止めるのは容易いことではない。今大会の日章学園の運命を左右する存在となりそうだ。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 森田将義)▼関連リンク
【特設】高校選手権2014
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2014
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