冨樫監督「育成だけでは、こうはならない」、東京V躍進を影から支える男たち
ゲキサカ / 2015年8月10日 13時40分
[8.8 J2第28節 横浜FC1-6東京V ニッパツ]
“緑の血”が流れていなくても、思いはただひとつ。J1昇格だ。3位・東京ヴェルディは横浜FCに6-1で大勝し、4年ぶりの5連勝を飾ると、J1自動昇格圏の2位・磐田へ勝ち点2差に迫った。下部組織出身選手の活躍が光るなか、“外”からやってきた選手たちが“緑の愛”を胸にチームを引き締めている。
この日の一戦。東京Vは下部組織出身の選手が9人も先発した。後半23分にMF中後雅喜に代わって、MF高木善朗が投入されると、東京Vユースを経た10人が同時にピッチへ立った。6得点の内訳も下部組織育ちのFW高木大輔、FW南秀仁、DF安在和樹が各2得点を挙げている。
それでも試合後、冨樫剛一監督は「育成上がりというのは自分たちにとって大事な部分」と話しながらも、「それでも優也や井林や中後たち、クラブへ思いを持っている選手たちがヴェルディを上へ向けようとしてくれている。そういう中心の人たちが若い選手を自由にさせているからこそ、チームとしての成長を感じる。クラブを思う人間たちの集団なんです」と今のチームを表現した。
下部組織出身ではない、いわゆる緑の血が流れていない選手は、5戦1失点に抑えているGK佐藤優也や主将のDF井林章、中盤に君臨する中後らに当たる。
下部組織から東京Vで過ごしてきた選手たちにとって、育ってきた環境を好きになるのは、至極当然のこと。そのチームをJ1へ引き上げたいと思うのは、当たり前の感情だ。一方で、様々なチームを経験してきた選手が、新たなチームを愛することは簡単にはいかない。比較対象があることで惑わされ、調子が悪いときには「あのクラブでは評価してもらえたのに」と自分自身への言い訳も生まれるからだ。素直に現状を受け入れられないまま、空虚な時間を過ごす選手も少なくない。
それでも、今の東京Vの選手たちは、全員が真っ直ぐにチームを愛している。そしてその思いが結果へつながっている。冨樫監督は言う。
「自分たちはここ(東京V)で育っているから、もちろんここが好き。でも彼ら(下部組織出身ではない選手)もクラブへ愛を持ってくれている。愛というのは優しさだけではない。厳しさを持てるのも愛ですから」
「自分たちだけの集団だと、甘えが出てきたり、『そこそこいい』と自負してやってしまうかもしれない。でもそこで中後が『そうじゃない』と声をかけたり、井林が身体を張ってみせたり、優也を含めてやってくれることが今のヴェルディの良さ。育成だけでは、こうはならない」
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