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[選手権]「東京五輪世代の逸材集結!冬の主役候補たちvol.9」四日市中央工MF森島司(3年)_希有な能力持つ頭脳派MF、「試合を決める存在に」

ゲキサカ / 2015年12月28日 7時2分

第94回全国高校サッカー選手権

 四日市中央工高に進んだ長男と、四中工とライバル関係にある県内の強豪・海星高に進んだ二男。この2人の兄の背中を追ってサッカーを始めた三男の森島司は、兄との1対1や兄のチームに混じってサッカーをしていくうちに、持っているポテンシャルをどんどん磨き上げていった。恵まれた環境の中で育った彼は、長男と同じ四中工へ進学し、3年となった今年、選手権を彩る主役候補の一人にまで成長をした。

 彼の特長はピッチを俯瞰で見渡す「鷹の目」を持っており、それをパスとドリブルいう媒体を介して表現する。四中工では1年時からレギュラーを掴むと、その年の選手権でいきなり全国ベスト4を経験。ボランチの位置から多彩なパスと、上級生相手でも臆さない堂々たるプレーを披露し、たちまち全国区の存在となった。

 だが、昨年の1年間は脚光を浴びた一昨年とは裏腹に、チームとして「どん底」を味わった。全国高校総体予選で敗れた後、選手権予選でも決勝で伏兵の宇治山田商高に敗れた。リーグ戦も県リーグでのプレーを強いられ、陽の当たる舞台に立つことは出来なかった。

 もちろん、彼が下手になったからではない。視野の広さと正確なパスは全国トップクラスであることに、疑いの余地はなかった。しかし、自覚が足りなかった。欠けていた自覚とは、「攻守両面において責務を全うする力」だった。攻撃力はある。しかし、守備の意識が薄く、それが時として緩慢なプレーを生み出してしまっていた。

 樋口士郎監督は昨年から何度も彼に「オマエが中心にならんとあかんのや。オマエがさぼっていたら、チームに良い影響は与えない」と、叱咤を繰り返していた。宇治山田商戦の後、失点の原因を作った彼に、樋口監督は厳しい檄を送った。
「自覚は無いのか!それでいいのか!」。
 結果が出ない1年を過ごしたことで、樋口監督の言葉は徐々に彼の胸の奥に響いていった。「自分が甘かった。この甘さが有る以上、絶対に勝てないし、僕自身も成長しない。もっと厳しく、やるべきことをやる。その上で自分の持ち味を出す。昨年は僕のせいであんな結果になったからこそ、今年はもっと自覚と危機感を持ってやりたい」。

 精神的に成長を見せた彼に、樋口監督は更なる厳しい注文を出した。「オマエが試合を決める存在になれ。自陣のPAから敵陣のPAでまでを行き来し、決定的なピンチを防ぎ、チャンスを作るだけでなく、決める。攻守にすべてに関わる選手になれ」。今年は名将から示されたこのタスクを、より高いレベルでこなし続ける濃い1年を送った。結果、彼はハードワークをベースにし、試合の要所で展開に関われる力を身につけた。さらに試合終盤に決定的な仕事をこなす機会が増え、プレーのムラが確実に減っていった。

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