[MOM1689]鹿島学園FW上田綺世(2年)_高速ドリブルと自信のヘッド、5戦連発エースが際立った存在感
ゲキサカ / 2016年1月23日 22時48分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.23 茨城県新人戦準決勝 鹿島学園高 2-1 水戸商高 鹿島ハイツ]
準決勝での2得点に続いて同日午後に行われた決勝でもDF3人を振りきってのドリブルシュートなどで2得点。茨城県新人戦の主役は間違いなく、鹿島学園高のエースFW上田綺世(2年)だった。
180cmの長身で50m走6秒ジャストの快足。加えて、水準以上のテクニックも備える。鹿島学園の鈴木雅人監督も「サイズも、スピードも、パワーもある。(上のステージで戦える選手に)育てていきたい」と期待する注目ストライカーは、右大腿肉離れの負傷明けで万全でなく、大会序盤は出場時間が限られる中でのプレー。コンディションは「まだ運動量は足りていないですね。もう少し体のコンディション良くなればもっと速く、もっと量もいけると思います」という中だったが、それでも1回戦から決勝まで全5試合でゴールを決め、際立った存在感を示した。
この準決勝では0-0の前半に相手の守備の乱れを逃さずにPAで1タッチゴール。そして同点に追いつかれた後の後半17分には右SB滝本柊平のクロスに体を投げ出して合わせて決勝ゴールを決めた。準決勝、決勝で決めた4得点のうち3得点が1タッチシュート。一方でDFが警戒している中でもドリブル突破してシュートへ持ち込み、「ヘディングは絶対に負けたくないですね」というヘッドも相手の脅威となった。
現在こそ180cmの長身だが、中学3年生になるまでは170cmに満たなかったという。だが「親がデカくて、自分もデカくなるだろうと飯もいっぱい食っていて、デカくなった時に活かせるようにヘディングもずっと小さい頃からやってきた」というヘディングは強力。また当時からヘディングと並行して行ってきたというドリブル、走りこみの成果によって「足の速さとドリブルには自信がある」というFWは高速ドリブルでも違いを生み出している。
鹿島の育成組織である鹿島アントラーズノルテジュニアユース(日立)出身。志望していたユースチームに昇格することはできず、また茨城県外の強豪校に挑戦するもその目標を叶えることはできなかったという。だが地元である茨城県北部に残るのではなく、同県南部の強豪・鹿島学園への進学を決めた。上級生たちとポジションを争った昨年はまだまだ抜きん出た存在ではなかったが、「(中学時代の)他のチームメートに県外志望がいなくて、自分だけ(県外に)挑んでいるのにダメで県内になったのが悔しかった。(当時のチームメートたちと)違う学校に行って絶対に負けたくないと思った」という思いと努力は徐々に実りつつある。
優勝に貢献した試合後も過信したような素振りは全くなかった。「まだまだです。もっと収めていい判断もできた。点取れたことは良かったけれど(準決勝も、決勝も)2得点なので。もう1点取れればまた違う世界が見えるはず。コンスタントに決めれる選手になりたいので毎試合ゴールというのは頭に入れています。(また、)ロングボールだったりを収めて、マイボールにできるように。ヘディングでは自分が勝っても五分なので胸でコントロールしたり、収めることを意識しています」。自分自身に高いノルマを設定してクリアしていく。これから、ライバルたち以上の成長を遂げることができるか。はっきりと「プロ」を目標に掲げるストライカーが茨城だけでなく、全国でも相手に怖れられる存在になる。
(取材・文 吉田太郎)
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