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「色」が見えたU-16静岡県選抜、“国体前哨戦”でU-16東京都選抜とドロー

ゲキサカ / 2016年3月6日 17時3分

「色」が見えたU-16静岡県選抜、“国体前哨戦”でU-16東京都選抜とドロー

[3.6 ヤングサッカーフェスティバル(U-16の部) U-16静岡県選抜 0-0 U-16東京都選抜 藤枝総合]

 3月6日、静岡県ヤングサッカーフェスティバルが藤枝総合運動公園サッカー場で開催された。静岡県の育成年代の選抜チームが県外の選抜チームを迎えて行うこの大会の初戦で、U-16静岡県選抜はU-16東京都選抜と対戦。岩手県で開催される秋の国民体育大会少年男子の部の“前哨戦”とも言えるカードで、腕試しを図った。

「お互いに攻撃的で、“お祭り”らしい試合」(静岡・渡辺勝巳監督)において序盤から主導権を握ったのは静岡だった。奔放に動くFW塩浜遼とトップ下の清水綾馬の静学中コンビが推進力のあるプレーでチームを引っ張り、ボランチの山口晏侍(藤枝東高)のパスからサイド攻撃も加えて東京を押し込んでいく。ただ、東京のMF天野悠貴(FC東京U-15むさし)らの粘り強い対応を崩し切れない。時間の経過と共に東京が静岡の攻めに慣れてくると、「無理に持ってワッと囲まれて、つぶされることが多くなってしまった」(塩浜)。

 後半に入ると、東京もFW小久保佳吾(町田ジュニアユース)のドリブルシュートやFWケント龍生(FC東京U-15深川)のキープ力など個々の良さが出てきてチャンスを作るが、こちらもチャンスで決め切れない。結局、スコアは0-0から動くことなく、35分ハーフの試合は終了。「細かいところをもっと合わせていかないといけない」という山口主将の反省は、両チームに共通する事柄と言えそうな内容だった。

 ただ、完成度はともかく静岡には楽しみな「色」が見えた。「ここのところ(国体で)静岡は勝てていない」という現状を受けて就任した渡辺監督だが、「オーソドックスじゃなく、異色のチームにしていきたい」と野心的な構想を語ってくれた。「昔のように静岡が圧倒して勝つという時代じゃない。まず粘り強く、泥臭く戦っていくことをベースにした上で、そこに“静岡らしさ”を乗せていきたい」と言う。

 意図しているのは、バラエティーに富んだ静岡のチームの色を組み合わせたチームである。「たとえば静学の子はすごく個性がある。それを生かしていきたい。彼らに『ツータッチでさばけ』と言っても、それは無理。今日も(静学の二人には)『観客をキャーッと言わせてこい』とだけ言いました」と笑いつつ、「清水東ならサイドアタックが特長で、そこで良さを出せる選手がいる。藤枝東の子なら堅実にパスをさばいて戦える。それぞれに良さがあるし、みんながそれぞれのチームの色を自然にリスペクトしてくれているので、お互いを尊重しながら組み合わせていければ」と言う。

 いまはまだ道半ば。それぞれの「色」は見えたが、組み合わさって新しい「色」が見えるまでには至っていない。ただ、指揮官が持つ一つの「色」に合わせることを求めがちな選抜チームにあって、それぞれの「色」を出すことが静岡らしさの表現なのだという渡辺監督のアプローチは興味深い。3月末にはメキシコ遠征も予定しており、今後はU-16日本代表組も合流してくる。さらなる「色」を加えたチームが秋の岩手で「静岡の虹」を描き出せるかどうか。楽しみに待ちたい。

(取材・文 川端暁彦)

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